27日のキングジョージに11頭がノミネート[和田栄司コラム]

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欧州競馬上半期の総決算キングジョージ6世&クイーンエリザベスS(距離マイル&ハーフ)に、11頭が最終登録した。5日前の月曜日に締め切られた登録リストの中に、大本命セントニコラスアビーを抱えるバリードイルのエイダン・オブライエン調教師は、ペースメーカー役のシャモニーとアーネストヘミングウェイの2頭も残している。

ドバイシーマクラシックで2番手競馬からジェンティルドンナを2馬身4分の1差振り切って2分27秒70のトラックレコード勝ち、前走コロネーションカップではペースメーカーのシャモニーを使って3馬身4分の3差で3連覇を達成、今季の2戦を見る限りでは否の付け所が無い。キングジョージは一昨年と昨年の連続3着、調子の良さで克服してしまうのか。

G1・6勝は、コロネーションカップのエプソム、シーマクラシックのメイダン、BCターフのチャーチルダウンズ、いずれも左廻りの競馬場で挙げた成績である。どうしても右廻りだと追い出しが遅れて勝てないケースが目立った。ジョセフ・オブライエン騎手は雨を期待しているようだが、今年の英国/愛国は好天に恵まれ、どこもグッドトゥファームと堅い馬場で行なわれているのが現状である。

2番人気はG1・3勝馬の仏シリュスデゼーグル。アスコットはチャンピオンSで1着、2着、昨年の2着は怪物フランケルからの1馬身4分の3差である。シーマクラシックで3着したカタールのヴェリーナイスネームがエントリーした為、オリビエ・ペリエ騎手が使えなくなったが、クリストフ・スミヨン騎手と再度タッグを組む事になりそうだ。

ドイツから参戦するノヴェリストは、先月フランスに遠征してサンクルー大賞典をライアン・ムーア騎乗で勝ってG1・2勝。ミラノのジョッキークラブ大賞典も勝っていて輸送競馬にも強いのが魅力である。マイケル・スタウト調教師がG2キングエドワーズ7世Sを勝った3歳馬ヒルスターを使って来た為、ライアン・ムーア騎手に替わる騎手探しに懸命。ウィリアム・ビュイック騎手が使えなければ、ジョニー・ムルタ騎手になりそうだ。

3歳馬はヒルスターの他にもう1頭、愛ダービー馬のトレーディングフェザーも登録して来た。今年のダービーは例年に比べるとかなりの低レベルのレースで、勝ったルーラーオブザワールドは愛ダービーで5着、2着リヴァタリアンは愛ダービーで8着、3着ガリレオロックが愛ダービー2着、4着バトルオブマレンゴはキングエドワーズ7世Sで2着したもののパリ大賞典では7着と惨敗した。

愛ダービーの勝ちタイムは2分27秒17とガリレオが勝った2001年の2分27秒10に次ぐ3番目に速い記録(レコードは1992年のサンジョヴィの2分25秒60)だったが、レースは捨て身の逃げを打ったラルストンロード、ゴドルフィンのペースメーカーのキャポラッシュズの3番手から比較的前が残る楽な競馬になった。古馬60.5キロに対し3歳馬55キロの斤量差を生かせられるかも注目点になる。

他の登録馬は、5月のアスコットの準重賞バックハウンドSで6馬身差を付け逃げ切ったエクティハーム、前走のG2ハードウィックSでも先行したものの半ばでバランスを崩し騎手が落馬してしまった。スノーフェアリーの引退を発表したエド・ダンロップ調教師は天皇賞(春)で3着したレッドカドーを登録している。しかし、ここ2戦の動きを見ていると疲れが出ている点が心配。春先のドバイから使い詰めでG2を2勝したユニヴァーサル、今季これが11戦も常軌を逸している。

2013年のキングジョージ6世&クイーンエリザベスS、みどころとしては一叩きされたシリュスデゼーグル、セントニコラスアビーの左廻り克服、重賞3連勝中のノヴェリストの上り調子、そして3歳馬トレーディングレザーが古馬相手に通用するのか、注目の発走は27日の英アスコット競馬場、15時50分(日本時間23時50分)である。


海外競馬評論家 和田栄司
ラジオ日本のチーフディレクターとして競馬番組の制作に携わり、多岐にわたる人脈を形成。かつ音楽ライターとしても数々の名盤のライナーを手掛け、海外競馬の密な情報を把握している日本における第一人者、言わば生き字引である。外国馬の動向・海外競馬レポートはかねてからマスメディアで好評を博しており、それらをよりアップグレードして競馬ラボで独占公開中。