平林雅芳の目

トピックス

土曜東京11R
青葉賞(GⅡ)
芝2400m
勝ちタイム2.26.2

勝ち馬:アプレザンレーヴ(牡3、栗東・池江郎厩舎)

アプレザンレーヴ。ダービー切符を奪取!

どうせなら勝ってダービーへとの思いで、ダービー切符を虎視眈々と狙う馬ばかりが集った青葉賞
ワクワクする気持ちで見ていたゲートだったが、あろう事かバアゼルリバーの出が今ひとつ速さに欠けた感じだった。
嫌な予感で最初のコーナーに入る馬を観ていたが、やっぱり後方での競馬となってしまった。
長い直線の府中でも、後ろからだけの競馬では、なかなか勝つまでの脚は使えない。
好発からジワッと下げて、後方に位置するのとは違う。
まして長丁場で、前はジンワリと行き有力馬もソコソコの位置での競馬となるだけに、払い戻し窓口に並べない予感がした。

圧倒的一番人気のアプレザンレーヴはと見ると中団、大外枠だけに外々を廻っているのは仕方ないが、そんなに前からは遅れをとってはいなかった。
そんな人気馬を観る形で他の馬の出方もジワッとした流れとなって、ますます最後の直線での決め手勝負となりそうだった。

そんな流れで、直線に入って横一線に並んだのが、後2Fあたりの処。
内々を手応えよく廻っていたマッハヴェロシティが、どこを割ってこようかとの勢いだった。
満を持して追い出したアプレザンレーヴの外へ、スルスルと外からトップカミングが並んできた。
アプレザンレーヴの脚色よりも、むしろ外のトップカミングの方が勢いがあった。
一旦外から出たかのように見えた時に、2頭の馬体がぶつかるような感じがした。その後は、トップカミングは反対に外へと逃げ気味となった。
かたやアプレザンレーヴは、その間に馬体が合わさって馬の闘志に火がついたのか、瞬時に離すように伸びた。
トップカミングがもたつく間に、内のマッハヴェロシティが伸びて2着。
トップカミングは後続馬にも飲み込まれそうになりながらも、何とか3着は死守。しかし3着ではあるが、今回の3着には値打ちがあった。
内ラチ沿いから、直線半ばでは凄い勢いを見せていたイネオレオの脚色だったが、最後は同じような伸びとなってしまい5着止まり。
逆に外から伸びてきていたピサノカルティエが、勢いどおりに4着に突っ込んできた。
バアゼルリバーは、後方から直線入り口で外へ出してどれだけ伸びるのかと思った途端に内へモタれ出してしまい、全然脚を使うような感じではなかった…。

アプレザンレーヴは、今回もケイコでは相手にアオられ気味で、決していい動きとは言えない内容だった。
しかし、本番ではキッチリと答えを出す実戦タイプ。
今回はゲート中もうるさくなく、五分のスタートから能力をキッチリと出し切った。
もう少し切れる脚を使えるようなので、本番でどんな切れを見せてくれるのかに期待だ。
マッハヴェロシティはずっと王道を歩んできたが、今一歩力を出し切っていなかった様子。
内々を上手く廻る競馬で遺憾なく力を発揮できた。
この3頭がダービーへの切符を手に入れた。
アンライバルドの前に立ちはだかる事が出来るのだろうか、そこらがこれからの注目点だ。


日曜京都10R
天皇賞・春(GⅠ)
芝3200m
勝ちタイム3.14.4

勝ち馬:マイネルキッツ(牡6、美浦・国枝厩舎)

マイネルキッツ初重賞勝利が天皇賞制覇の偉業!!

やはりゴールデンウィーク。朝から京都競馬場も人、ひとで溢れ出していた。

家族連れが多く、アチコチに陣地をとっては座り込んでいた。
しかし馬券売り窓口はそれほどの込み具合ではなかった。
ここらに、今現在の馬券売り上げが伸び悩んでいることを垣間見ることができる。
社会的にも閉塞感があるのに、そうおいそれとはガマグチはゆるまないのは当然だろう。

いつもよりもパドックに群がる人が多すぎて、昼過ぎぐらいのレースから生で馬を観るのは無理な状態になってきていた。
地元京都で行われる天皇賞のパドックをゆっくり鑑賞できないのは残念だが、あきらめて馬場入場で我慢しようと、頭を切り替えた。

3コーナー手前からのスタートだから、遠くてオーロラビジョンで確認するしかない。
場内放送が『3時現在で8万人の入場者』とアナウンスした。
ファンファーレが鳴る前から、大勢のファンのボルテージは頂点に達した。
スターターが壇上に上がった途端に大きな拍手、ファンファーレの生演奏に共鳴して手拍子がこだまし、そして春の天皇賞がスタートした。

押してテイエムプリキュアが先頭に出て行った。
しかし、ホクトスルタンもスンナリと2番手で黙っているわけではなく、坂の下りからは先頭を奪った。
最初の4コーナーを廻る時には、3番手のシルクフェイマスが辛抱せずにトップに躍り出た。
僅か千メートルも走らないうちに、先頭を行く馬が3度変わるめまぐるしさとなった。
人気馬はと見ると、スクリーンヒーローが前を行く3頭の直後グループに位置取っていた。
外枠で外々を廻らせられるのを嫌ってのこの位置だろう。
アサクサキングスも、ちょっと後ろを廻っていた。
ただ枠順で内へは入れないでいた。

2コーナーを過ぎて、再びホクトスルタンが先頭を奪い返すと、後続を少し引き離した。
モンテクリスエスは後方で、ジャガーメイルはさらに後ろ、ブービーを進み、最後方はゼンノグッドウッドだ。

3角過ぎで、好位を進んでいたコスモバルクの脚色がややなくなった感じで、その直後につけていたサンライズマックスが、避ける形で内へと進路を切り替えた。
先行グループのテイエムプリキュアシルクフェイマスの脚色が極端に鈍ってきて、それらを裁くのに内々を通っていた馬に動きが出た。
好位グループの馬の中にいたアルナスライン、その後ろのマイネルキッツは、内目でかなり手応えが良かった。

4角手前でスクリーンヒーローが早くも2番手まであがり、アサクサキングスもその外へと上がってきていた。
そして、大外をモンテクリスエスがまくり気味にあがってきた。
ジャガーメイルもエンジンがかかった様子で勢い付いた。

直線入り口で、逃げたホクトスルタンの内へ、後ろからそのままマイネルキッツが潜り込んだ。
逆に、アルナスラインは馬場の真ん中へと進路を取って追い出しにかかった。
中団にいたドリームジャーニーも、馬場の真ん中から追い込んできた。
しかし前はアルナスラインが一旦先頭に立ったかと思った瞬間に、内からマイネルキッツがスルスルと伸びだして先頭になった。
内外離れていた2頭がだんだんと馬体をあわすように接近しだしての追い合いとなった。
ゴール前では、内のマイネルキッツがやや出たかと思えた瞬間、松岡Jの左手がサッとスタンドへ向けて上がったのが見えた。

スクリーンヒーローは早めの競馬をしたが、最後の直線では脚も残ってなくて14着。
アサクサキングスも前のスクリーンヒーローを見る形での追走になり、4角3番手ぐらいまで上がったが、伸びを欠き9着と敗退。
⑯番枠に⑰番枠といった極端な枠を貰っただけに好位での競馬をしたのだろうが、これほど終いを無くす結果になるとは。
逆に勝ち馬マイネルキッツアルナスラインは内枠で、道中内目での追走となり無駄な脚を使わずに直線でも残った脚を使えたもの。
やはり競馬の基本の枠順の有利さがモロに出た結果となった。

4着サンライズマックスは、道中コスモバルグ等をさばく連続の動きをして多少のロスがあっただろうが、大勢的にはまずまず結果を出したもの。
ジャガーメイルは、3角ブービーからの追い上げでは苦しい。 せめて最内でもつけていたら違っただろうが、馬が多くそれも叶わぬ話だった。
5着は仕方ない結果か。
ドリームジャーニーが外目を廻った馬の中では一番伸びてきていて3着。
しかし前の2頭からは水をあけられたもので、差のある3着だった。
モンテクリスエスは器用さがないだけに大外からの競馬になったが、4角でもうその脚も使い果たし感じであった。

与えられた枠順を生かし内々をロスなく競馬して、最後の直線でも最短コースの最内を伸びてのクビ差勝ち。
松岡J会心の騎乗であり、馬の能力を最大限に発揮したもの。
『僕は跨っていただけ』と謙虚に語るあたりがいい。
そして闘いすんでマイネルキッツの1着の枠場のところで、国枝厩舎のスタッフと握手していたのが池江寿厩舎の吉村助手。
栗東では厩舎が近いこともあるし、最終調整もマイネルキッツの併せ馬は池江寿厩舎のダノンカモン
お互いが同じレースに臨んでおり、レースの間だけは敵となるが、あとはお互いの健闘を褒め讃え合っていた。
ここらがスポーツマンシップであり、競馬人のいい処である。
ごく普通の競馬をしただけかも知れない松岡Jだが、その普通がなかなかに出来るものではない。アッパレであった。