「秋に展望を広げたい」プリメーラ試金石の一戦へ…ポプラS

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この春はチューリップ賞で2着など、クラシック戦線で活躍をみせたウインプリメーラ(牝3、栗東・大久龍厩舎)が戦線復帰。土曜函館のポプラSで約4ヶ月半振りのレースを迎える。

上半期は中山のフェアリーSに始まり、桜花賞まで4戦を消化。さすがに桜花賞では小柄な馬格もたたり、使い詰めが堪えて11着に敗退したが、その後は放牧で英気を養った。

「フェアリーSは初めての長距離輸送。それに桜花賞の本番が4戦目というのは、もともと線の細い馬でしたし、やっぱりしんどかったのかなと思います」と谷口辰夫調教助手は振り返る。

函館には約2週間前に帰厩。放牧先でも乗り込まれていたようだが、ここ2週は新コンビを組む柴田大知騎手が、函館にまで駆けつけて、追い切りに騎乗。
追い切り本数こそ少ないものの、放牧先での乗り込み量でカバー。息の入りも良好で、一週前にしっかりやって、今週は青写真通りに軽めの調整。攻め時計以上に仕上がりの良さを掴んでおり、調整に狂いはないようだ。
また、もともと実戦と調教では違った一面を覗かせる馬。攻め馬では押していかないと動かないところをみせるが、直線では持ち前のバネを感じさせる動き。「ジョッキーの皆さんはそこを評価してくれますね」と語るように、その感触の良さを鞍上は感じ取ったようだ。


3歳春だけに成長は顕著。カイ食いがよくなっただけでなく、馬格も大きくなって帰ってきている。「バネが凄い馬で、今までは持ち前のバネだけで調教している感じだったのですが、そういう馬はゆったりした調教でフラフラしてしまうんですよね。
でも、今回は力が付いたのか、しっかりと歩けたり、ゆっくりしたスピードのキャンターも踏めるので、その点、力はついたのかなと思います」と成長曲線を描いている。

父は今をときめくステイゴールド。今春もゴールドシップなどの活躍で、競馬界を賑わせたことは記憶に新しいが、この馬も父の傾向を受け継いでいる。
「性格は(ステイゴールドらしく)うるさいところがありますね(笑)。普段はおとなしいのですが、気性的なスイッチのオン・オフがハッキリしていますね。スイッチが入ると一発やってしまうので、いつも凄く慎重に乗っています。
それでも、そういう面も成長してきて、難がなくなってきたりしているので、そういう意味でも、今回の放牧は色々な意味でプラスに向いているのかと思いますね」

心身共に上積みが見込める今回。それでも、初の古馬との対戦だけでなく、初めての2000m戦、悪天候が予想される中の道悪競馬など、こなすべき課題は多い。
「距離は今までだったら、ちょっと厳しいかな、と思っていました。追い切っても息が荒いところを見ると、マイルまでの馬なのかな、とも思いましたが、放牧から帰って来て成長しているのか、息がすぐに入るんですよね。その点、もうちょっと延びても面白いかなと。対応はできるかなという感じになっていますね。とりあえずは、コーナー4つを経験させて、折り合いを完璧にしたいなと思っています。
洋芝で雨に降られると、バネを重視する馬だと、バネがかき消されたり、確かに不安は不安ですね。
それに、馬の適性距離を人は変えられないかもしれませんが、初めてのこと(コーナー4つの2000m戦)が本番だとキツイので、ここで経験してもらって、本番に行ってもらいたいなと思います」と谷口助手は懸念材料を口にしながらも、期待を寄せる。

「能力は本当に高いですからね。1つ1つ課題をクリアして、秋に展望を広げたい」
そう語るように、初物尽くしも、全ては秋へ向けて試金石の一戦。確かな手応えを掴むために古馬に挑む。

ウインプリメーラと仲良く谷口辰夫調教助手