13年8月18日(日)4回函館2日目11R 第49回 札幌記念(G2)(芝2000m)

トウケイヘイロー
(牡4、栗東･清水厩舎)
父：ゴールドヘイロー
母：ダンスクィーン
母父：ミルジヨージ
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土曜の夜に湯の川の花火大会があるはずであった。ところが風が強くて延期。(実は日曜順延もまた延びた…)
日曜は朝から空いっぱいの雨雲。いつ降るかの問題だった。1レース開始頃からポツポツ降りだした雨、時折けっこう降ったり止んだり、稍重から7レース開始頃には重馬場となった。
新馬戦で芝コースの騎乗があった鞍上、内ラチ沿いのレースだった。『ますます悪くなりそう…』。そして9レースをネコタイショウで逃げ切り、10Rをヤマイチパートナーで逃げた馬を交して首差勝ち。もう一丁の気持ちで札幌記念を観ていた。勝負は最初のカーヴまで、そこまでに先手を取れれば何とかなるかも…と思ったとおり。2番手アイムユアーズ、その後ろのロゴタイプの手応えが3コーナー過ぎで悪くなる。《このまま行ってくれ・・！》の願いが通じたのか、押し切ってくれた。だが最後の1ハロン14.0が物語る様に、逃げていながらも脚が上がる馬場。馬の出来の良さと、こんな馬場状態をも味方につけての逃げ切り劇であった…。

前の日から函館入りしていた私。今週からCコースとなる芝馬場。トラックマン時代から聞いた事がないコース名の響きだ。悪かった内から外へと出てくるので比較的荒れてないはず。それを目の当たりにしていた土曜の競馬。外を廻る馬が届かないケースばかりだった。
そして迎えた日曜。《緩い！》《見た目以上に相当悪い！》と上がってくるジョッキーの声が聞こえる。
パドックで相手馬を観察する。ロゴタイプ、黒光りの馬体は精悍さにはまだ遠いがいい馬である。トーセンジョーダン、(少し太いな～…)アスカクリチャンにアイムユアーズが良く見える。トウケイヘイローはいつもどおり、猫を被った様に大人しく周回している。(馬体はもう見慣れた、こんなものだ…と)

ふたつ続けて勝った。やっぱり内ラチ沿いで競馬する馬が有利な馬場である。追いかける馬が3角過ぎにアップアップしだしている。この札幌記念も、要は1コーナーまでに絡まれずに、スンナリ行けるかにかかっていると思っていた。ネコパンチはそんなに最初が早くないから大丈夫だとは思うがアイムユアーズ、アンコイルドあたりが早めに来るケースだってある…と。

そしてゲートが開いた！そんなに悪くないスタートだったが、やはり外枠。内をチラっと観ながら少しずつ内へと入ってくるトウケイヘイロー。タッチミーノットの外からアンコイルド、外からアイムユアーズがやっぱりついてきている。
1コーナーを廻り2コーナーへと行くが、この2頭が1馬身ちょいぐらいの間隔でついてくる。その後にロゴタイプ。
向こう正面に入った、アイムユアーズがドンドンと積極的に来る。ロゴタイプとアンコイルドが並んで3番手だが、その後ろにアスカクリチャンが今回も内へと馬を寄せていく乗り方だ。
1000メートルを通過したあたりで、武豊Jは股の下からチラっと後ろの動きを観た様子だ。相変わらずアイムユアーズが1馬身近い差で追走している。

3コーナーへと入っていくあたりで、少しペースを上げたのか、アイムユアーズとの差が開きだす。そのアイムユアーズの鞍上池添Jの手が動きだした。3番手ロゴタイプも押して前へと促しだしたが先頭のトウケイヘイローはまだ何もしていない。4コーナーが近づいた時には、トウケイヘイローと2番手アイムユアーズとの差は4馬身ぐらいに開いた。ロゴタイプの後ろにアンコイルド、そのすぐ後ろの内にアスカクリチャンが迫っている、が前とはかなりの差だ。

カーヴをさすがに追い出しながら廻ったトウケイヘイロー。直線に入ってきて右ステッキを入れる鞍上。
残り1ハロンを切った、アイムユアーズの内から2番手に上がったアスカクリチャンとの差はまだ4，5馬身ある。どうやら急接近する勢いではないと確認。安心してゴールへと向かうトウケイヘイローを見つめる。ゴール少し前で左こぶしで小さくガッツポーズをする鞍上。


引き上げてきたトウケイヘイローの傍へと近づいて、担当の宮下助手にまず握手、そして武豊Jとも握手。この勝利がどんなにも値千金の勝利なのかを実感する握手が出来ました…。
G1馬達が数秒単位で遅れる馬場コンディション。先行馬有利、イン有利の馬場を最大限に生かしきれた勝利でもありました…。
鞍上の《馬がどんどん力をつけて来ている…》の言葉が耳に残りました。有難うトウケイヘイロー。ありがとう！函館コースとトウケイヘイローに感謝です！！

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平林雅芳 （ひらばやし まさよし）
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。