ホウライアキコ、小倉の夏を制す!!…平林雅芳の目

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13年9月1日(日)2回小倉12日目11R 第33回 小倉2歳S(G3)(芝1200m)

ホウライアキコ
(牝2、栗東・南井厩舎)
父:ヨハネスブルグ
母:ホウライサンデー
母父:サンデーサイレンス


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台風が温帯低気圧と変わった九州北部、しかし空にはまだまだ黒い雲と雨が。一日経った日曜はさらに悪くなっている芝コースの状況。しかし勝ち馬や上位入線の馬は、おしなべて道中でインコースを通ってきた馬ばかり。経済コースを通ってくる方が最後の伸びに繋がる図式なのか。

内枠有利、先行馬有利の中でのスタート。外枠ながら二の脚で先手を取って内に入っていくベルカント。すぐにホウライアキコがその後ろをキープする。3コーナー過ぎに少し離し気味の先行となったベルカント。4コーナーでは後ろをチラっと観ながら廻って外へ出してきた武豊Jベルカント。《勝利》を意識させられる手応えの直線への入りだった。
しかし先頭だったのも直線半ばまで。少し外へと流れ気味となったベルカント。ポッカリと開いたその内目をホウライアキコが脚を伸ばしていく。と、同時に内ラチ沿いから脚を伸ばすラブリープラネット。ベルカントは3着かと思われたゴール前でもうひと伸びして2着。そのちょっと先を和田J・ホウライアキコが小倉2歳の女王としてゴールインであった…。

前の日から、芝コースは4コーナーを最内で廻った馬が勝つパターンが続く。ただひとつ例外は9R、武幸四郎Jが乗って勝ったプレノタートだけが、外から伸びて勝ったもの。『気が悪い馬だから、却ってこんな馬場で気が散るのが良かった…』と彼は言う。
函館ほどではないにしろ、外を廻る馬は直線で伸びきれていない。イン絶対有利と再認識をしてレースを観る。

スタートでウインスプラッシュがアオってしまい、馬群から少し置かれてしまう。マイネヴァリエンテが先手かと思えるダッシュで前へと出たが、その外を二の脚がついたベルカントがその前へと出ていく。ハッシュの内からホウライアキコが先手を取る勢いで出てきた。
1ハロンは様子を見ながらの先行馬各馬だったが、2ハロンを過ぎる時にはベルカントが1馬身前に出た。そのあたりで武豊Jの右ステッキが入った様な格好を観た。のちほど『内へもたれだした』ジョッキーの言葉で知る。和田Jも《豊さん、前で変な感じだったもの…ね》と言っていた。

3角を過ぎたが、ここらでは2番手グループがそう離れずに来ている。ハッシュにベルルミエールウメ、マイネヴァリエンテ、そして一番内にホウライアキコと5頭が続く。その後ろは外にシゲルカガ、最内はラブリープラネット、その後ろをエイシキサナドゥで、前からは4馬身ぐらいの差。4角手前で外をチラっと観た武豊J。まだ馬はラチ沿いだ。もう一度後ろを確認して、少しだけ馬場の外目へと出してきたベルカントと武豊J。

直線、馬場の6頭分ぐらい外目を先頭で脚を伸ばすベルカント。しかし残り100ぐらいからホウライアキコが迫ってきた。
ついにホウライアキコがベルカントの前へと出た。内ラチぞいをラブリープラネットがいい感じで伸び出してきている。《ベルカント、3番手…か》と思ったが、そのベルカントがもう一度差し返す様にゴール寸前で脚を伸ばして2着に上がった。ラブリープラネットが3着。ダンツブロードが4番手に上がり、エイシンキサナドゥが5着。

すぐに検量室へ下りての入口でパトロール・ビデオを喰いいる様に観る。どうやら直線でのベルカントは、少しずつ外へ膨れ気味の様子。鞍上がそんな風に見せない技術で矯正しているのだが、きっと間違いないはず。
またPVでは和田Jが4角手前でステッキを入れていた。表彰式を終え帰ってきた彼に訊く。《怖がりな処があるんであそこで気合いを入れた》と。

デビュー戦でも、逃げていながら終い伸びているホウライアキコ。直線ではまっすぐ前を、ベルカントがいないのも良かったのかも。《乗り難しい馬だ…》と武豊J。返し馬も二人引きでキャンターをさせない様に、途中まで歩いて行っていた。

イロイロな事がある若駒達。でも結末は、この夏の小倉で目についた速い馬2頭の決着。レコード勝ちのホウライアキコが2歳Sをもねじ伏せて勝った。しかし、ベルカントは2着とはなったが、まだまだ逆転可能な感じはする。そして3着のラブリープラネットも悪くない内容。3者3様の攻め方をしてと、なかなかに見応えのあるレースでありました。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。