研究員ヤマノの重賞回顧

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5/12日(土)、京都競馬場で行われた京都ジャンプS(4歳上、JG3・芝3170m)は、中位から徐々に押し上げていった、白浜雄造騎手騎乗の5番人気キングスジョイが直線の叩き合いを制して、見事、重賞初制覇を成し遂げた。
レースは、序盤はパレスチャンピオンが果敢にハナを切って行ったが、2転3転、2週目の生垣障害あたりでは9番人気クールジョイが頭に立つも、最終コーナーを迎える時点では、スルスルといつの間にか伸びてきたキングスジョイがこれを交わして接戦をモノにした。
キングスジョイのこの激走には、実はちゃんとした裏付けがあった。
実は5/9の栗東CWの追い切りで、77.0-62.7-49.9-37.7-12.7の一番時計を叩き出していたのだ。
勿論、調教駆けした馬が必ずしも実戦で結果を出すとは限らないのだが、ノーマークにしていいはずもない。何故なら速い時計を出せるには、それなりの理由があるのだから。
直近の分かりやすい例をあげれば、NHKマイルの17番人気ピンクカメオが、栗東坂路5番時計を出していた。
どれだけの人がこのことを認識していたのだろうか?
この事実を知ってさえいれば、あの特大万馬券の脚ががりになったはずだ。
さすがに3着馬にまでたどり着く術は、小生は持ち合わせていなかったが…

同5/12日(土)、東京競馬場で行われた京王杯スプリングC(4歳上、G2・芝1400m)は、中団からレースを進めた、福永祐一騎手騎乗の5番人気エイシンドーバーがゴール前の大混戦を制して、見事、重賞初制覇を成し遂げた。
レースは、マイネルスケルツィが主導権を握るも、終始他馬にマークされる先行勢にはきつい流れになったが、重賞実績は伊達じゃなく、ゴール前まで粘りこみ大接戦まで持ち込んで、真に見応えのある一戦となった。
しかし結局、差す競馬を選んだエイシンドーバーに勝利の女神は微笑んだ。
それもレコードのおまけ付きだ。
2着にはシンボリエスケープが入線。
昨年の覇者、オレハマッテルゼは意地を見せて3着に滑り込んだ。
エイシンドーバーは当サイトの『坂路王』のコーナーでも取り上げた事のある素質馬だが、改めて戦績を調べてみると真に興味深いことが分かった。
この馬は今回も含めて全19戦で13連対しているのだが、人気を下回ったのはそのうち僅か2回だけ。
馬券を買う側にしてみれば、とてもオイシイ馬ということになる。
今後もこの傾向が続くかは定かでないが、少なくとも人気先行型の馬ではないことは確かだろう。
この馬の名前は、ぜひ、覚えておいて欲しいと思う。

5/13日(日)、東京競馬場で行われたヴィクトリアマイル(4歳上牝、G1・芝1600m)は、最後の直線でインを衝いた、松岡正海騎手騎乗の12番人気コイウタが末脚を伸ばし、初のG1勝利に輝いた。
レースは、大方の予想通り9番人気アサヒライジングがペースを握った。
調子さえ戻ればG1で2着2回の脚力は驚異。
すっかり立て直していたアサヒライジングの逃げ脚は、直線半ばでもまだ衰えを知らなかった。結局最後の最後まで粘って2着を死守した。
今回の柴田義臣騎手は会心の騎乗をしたと言えよう。
しかし彼にとっておそらく誤算だったのは、インからスルスルと伸びてきたコイウタの存在だろう。
以前の戦績が戦績だけに、今回人気の盲点となっていた。
しかし、思い起こせばもともと桜花賞3着馬。
そして前走、牡馬相手に激走したとなれば、今回の優勝もあながちフロックだとは言えないだろう。
牝馬は牡馬に比べるとガラリ一変はあまりない反面、好調を持続させる能力は長けている馬が多いように思える(勿論、フケがでてしまっては元も子もないが…)。
私も含めて多くの人は、どうも彼女を侮ってしまったようだ。
よくよく考えてみれば、調子が良く、しかも力がなければ、牡馬相手にあんなパフォーマンスなどできないのは自明の理なのだが…。
クールな思考回路こそが、勝負事に勝つための必須要素の一つなのだと改めて認識させられた。