カリフォルニアクローム2015年に向かって[和田栄司コラム]

カリフォルニアクロームは19日、ロスアラミトス競馬場に姿を見せ、半マイル49秒フラットの調教時計をマークした。二冠馬はレギュラーライダーのヴィクター・エスピノーザ騎手を背にコースに出て来た。11月29日、デルマー競馬場の芝のG1ハリウッドダービーを勝って以来の馬場入りだった。アート・シャーマン調教師は栗毛の牡馬のシーズンデビューを2月7日の50万ドル競走サンアントニオSに置いている。

サンタアニタパーク競馬場で行なわれるG2サンアントニオS(D9F)は3月に組まれるG1サンタアニタHの重要なプレップレース、しかしシャーマン調教師の頭の中は今、年度代表馬の票読みに多くが占められているようだ。カリフォルニアクロームは2014年に挙げた6勝の内、4つのG1を勝った。1月17日、エクリプス賞のディナー会場で発表される年度代表馬、カリフォルニアクロームは最有力候補になっている。

シャーマン調教師は「いよいよ近付いて来ましたね」と言う。「私はカリフォルニアクロームが少なくとも最優秀3歳牡馬に選ばれると確信しています。彼はサンタアニタダービー、ケンタッキーダービー、プリークネスステークス、3つのクラシックを勝ちました。普通ケンタッキーダービーとプリークネスSを勝てば自動的に最優秀3歳牡馬は決まりますから」と続ける。

二冠馬は三冠最終戦のベルモントSで今季6戦目にして初黒星の4着、夏を全休して臨んだG2ペンシルヴェニアダービーでバイヤンの6着、ブリーダーズカップクラシックでも3歳デビューのバイヤン、英国のトーストオブニューヨークのハナ/クビ差3着に終わった。その後デルマー競馬場の芝9ハロンで行なわれたG1ハリウッドダービーを2馬身差で勝って通算成績は16戦9勝、2着1回、3着1回。

強力なライバルは2度先着を許したバイヤン、5歳セン馬のメインシークエンスと3歳牝馬のアンタパブル。今季4戦4勝、ユナイテッドネイションズS、ソードダンサーインヴィテーショナルS、ジョーハーシュターフクラシックS、BCターフ、芝のG1を4連勝したメインシークエンス。アンタパブルは、ケンタッキーオークス、マザーグースS、コティリオンS、BCディスタフ、牝馬のG1を4勝した。

シャーマン調教師は「東部の票が気になります。その票がカリフォルニアクロームに流れてくれれば問題なく滑り込めるでしょう」と分析した。賞はさておき、レースはオーナーブリーダーのスティーヴ・コルバーン氏とペリー・マーティン氏によって決まる。カリフォルニア生まれのラッキープルピットの息子にとって、その2015年のスタートがサンアントニオSである。

「それは本当に素晴らしい1年でした。私は馬を誇りに思っています」とシャーマン調教師は続ける。「彼はその状況下で出来る全てのことをやりました。きっと偉大な4歳馬になることでしょう。私は楽しみにしています」と締めくくった。

海外競馬評論家 和田栄司
ラジオ日本のチーフディレクターとして競馬番組の制作に携わり、多岐にわたる人脈を形成。かつ音楽ライターとしても数々の名盤のライナーを手掛け、海外競馬の密な情報を把握している日本における第一人者、言わば生き字引である。外国馬の動向・海外競馬レポートはかねてからマスメディアで好評を博しており、それらをよりアップグレードして競馬ラボで独占公開中。