重賞初挑戦のカフェブリリアント勝利 ここも関東馬だ、堀厩舎!

カフェブリリアント

15年4月11日(土)2回阪神5日目11R 第58回阪神牝馬S(G2)(芝1400m)

カフェブリリアント
(牝5、美浦・堀厩舎)
父:ブライアンズタイム
母:シンメイミネルバ
母父:Caerleon

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しっかり降った雨が芝を濡らす。朝は重馬場発表からスタートしたが、ひとつ前の10Rで稍重となった。だが決着タイムは速くない。前半の3Fが34.7とゆったりの流れ。好発から好位の4番手の内でレースを進めたカフェブリリアント。先に先頭となったベルルミエールをゴールの少し前で交しての初重賞勝ちとした。3着にも内にコースチェンジをしたウリウリが追い込んできて確保。連覇を狙った1番人気のスマートレイアーは、外々を廻る競馬。悪い馬場ながら内が有利なコンディションな様で、直線での伸びが案外でもあった…。

9Rではダンディーズムーンが逃げ切り、10Rでは圧倒的人気のビッグアーサーが、内のエポワスを交すのに苦労していた。内が断然にいい。そんな事は乗っているジョッキーなら百も承知。内に入れる馬とそうでない脚質の馬といろいろとあるから、机上の計算どおりにはいかない。
だが鞍上は、今まさに乗りに乗れている福永J。スタートを決めてスッとバーバラのすぐ後ろを確保。ベルルミエールが来てすぐに内目へと入れて行く。アミカブルナンバーだけが少しだけダッシュが悪かった以外は、ほとんどの馬が互角の出であった。ウリウリの浜中Jが、スタートして少ししてから内へと進路を取り始めていくのをパトロールビデオで観る。3コーナーへ入る時には、もう内ラチ沿いに入れている。4コーナー手前で、気がつけば、ラチ沿いの馬の順で数えると4頭目であった。
2着ベルルミエールと勝馬のカフェブリリアントは、前でレースを組み立てていた馬である。内ラチ沿いで脚を貯めていたベルルミエール。その外へ出して4コーナーを楽に廻ってきて、後はベルルミエールとフォーエバーモアの間が開くのを待ってからの追い出し。実にスムーズなレースぶりとなった福永Jであった。

直線半ばでもうスマートレイアーは届かないと思えた。内から内を廻ってくる上位馬との差が歴然とついてしまっていた。2馬身はあったのではなかろうか。そこから凄い脚でも駆使できないかぎり、一番前に出るのは不可能と思えたものだった。ゴール前の1ハロンは12.0だが、この数字は今日の馬場コンディションでは相当なる数字かと思えるもの。これを上廻る切れは出せない。レース後のコメントは、《直線に入ってきた時の脚色は完全に差せると思うものだったけど、最後は伸びなかったね…》であった。
ウリウリは、何と言っても道中で内に入っていく乗り方が光る。使った脚はメンバー中最速の34.2であり、ゴール前の脚色は一番目立ってもいた。

勝ったカフェブリリアントは、上がサウンドオブハート。そう、2年前のこのレースの勝馬である。松山厩舎の管理馬で、1400芝をもっとも得意とした馬でもあった。そのひとつ下の妹である。だから初重賞挑戦でも、まるで自分の庭の様な走り。まさしく血統とはこう言った事なのであろう。競馬って本当に奥が深いスポーツであり、ギャンブルである。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。