ティーハーフ、ついに重賞を勝利 目の覚める末脚を発揮!!

15年6月21日(日)1回函館2日目11R 第22回函館スプリントS(G3)(芝1200m)

ティーハーフ
(牡5、栗東・西浦厩舎)
父:ストーミングホーム
母:ビールジャント
母父:Green Desert

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いくら函館の小廻り芝の1200戦だと言っても、3Fの33秒フラットは速すぎるだろう。
いつもならアンバルブライベンが他馬よりもすばやい出で前へ出ていき、他の馬がそれを許すぐらいの勢いを感じるもの。ところが今回はそう速く見えないほどのスタートの出であった。内からフギンがスタートを決めて行く。アンバルブライベンは結局無理をせず、2番手で行く。しかし全体に速い流れを造っていっていた様だ。
スタートで、少しだけ躓きかげんで出たティーハーフ。腹をくくって最後方の内。すぐ目の前にアースソニックら2頭が馬群から離れている。
前はひと塊り。ティーハーフは3角過ぎから外へ出し、一気に前との差を縮めていく。4角を廻ってなお加速していく。最後は抑えるぐらいの余裕でゴールを迎えた。
ここにきて、充実感のある競馬でついに重賞までたどりついた…。


1番人気コパノリチャードは、先行グループの後ろで4角を廻る時も悪くなかった。それがラスト1ハロンの時点で、急に手応えがなくなってしまっている。穴人気を受けたローブティサージュがその後ろで、さらに大差で逃げたフギンが失速気味でゴールに入っていた。結局は、3角で前から少しだけ離されたドンジリとブービーにいた2頭。4角を廻る時も差はかなりあった。それでいて、レースの上がりは11.9と速いものである。
ティーハーフの上がり3Fは34.0と、次元が違う脚を使っている。まさしく今、完成の域に達したかの様でもある。アンバルブライベンが、先行馬の中では一番の粘りの5着。

開幕週で内々が有利、と誰しもが読む。ましてオープン馬の競馬である。差しでは届きにくい競馬だろうと思えた。ところがである。33.0~44.6~56.4と、あまりにも流れが速すぎた様である。展開的にもズバっと嵌ったティーハーフであろう。だがパドックでの映像を観ていても、お尻がまるまるとして本当にいい馬体をしていた。アースソニックにレンイングランドを引き連れてきてと、3連複に3連単はかなりの大波乱。何度考えても獲れない馬券と思えてならぬ。
鞍上の国分優作騎手は、昨年の小倉2歳Sでも同じ様なレースぶりで、オーミアリスで重賞初勝ちをおさめたのを記憶してる。

火曜の朝、調教スタンドに西浦師がいた。話を訊かせて貰える事ができた。
『ええ、ここに来て馬が充実してきたからね。函館に入っても稽古に跨ってくれた勝浦が《以前と全然違う》と言っていたぐらいなんだ。出は左右から狭くなって悪くなったが、あれで開きなおったんじゃない。それにしてもいい脚だったね。最後は抜けだしてソラを使っていたぐらい。これで放牧に出して、キーンランドCを目指す。放牧から函館へ入れて調整してね』と、そして国分優作Jについても『稽古はイロイロ手伝ってくれている。ティーハーフにも2歳時から乗ったりもしている。だから今回の3連勝にも繋がったんだろう。馬もシッカリしてきたしね…』と眼を細めて語る。
そう西浦師は義理人情に厚い、昔型の競馬人なのである。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。