お見事!アクティブな騎乗でアクティブミノルが大金星!!

アクティブミノル

15年9月13日(日)4回阪神2日目11R 第29回セントウルS(G2)(芝1200m)

アクティブミノル
(牡3、栗東・北出厩舎)
父:スタチューオブリバティ
母:ピエナアマゾン
母父:アグネスタキオン

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スタコラと逃げるアクティブミノル。ウリウリ岩田Jがジワーッと内に入れて行くのが見えた。《さすがだな~》と心の中でつぶやく。ハクサンムーンが2番手につけて意外に淡々と流れて行く。ルチャドルアスールサカジロロイヤルは何もしない。バーバラが持ったまま、むしろ前に掛かり気味でインの3,4番手を追走だ。
直線に入ってきた!真中あたりで、横に広がる中団で外へ弾かれる様な動きが見えた。その馬群の中をウリウリが凄い脚で来ているのが見える。しかし内でアクティブミノルが粘る粘る。バーバラが前を交しそうな感じもある。後もう少し!、あともう少しだ!ウリウリもバーバラも届かない!アクティブミノルが逃げ切った・・!


パドックを最初から陣取って見た。まずは第一印象が大事だ。真っ先にハクサンムーンが歩く。リトルゲルダホウライアキコが細く見える。リトルゲルダは、プラス12キロだが逆に細く感じる。周回する度に、ストレイトガールとウリウリの藤原英勢が、他のどの馬達よりも外を廻るのに気がつく。意識しているのだろうか?それとも自然にそうなるのだろうか?馬の気配や歩き方は2頭とも素晴らしい。バーバラもことのほか悪くない。出来は良さそうだ。
騎乗合図がかかる前に、戻って馬場入場と返し馬を見なくては。いつもの席に戻った時には、すでに先に入った馬がいた様だ。ハクサンムーンはいつもどおり一番最後の馬場入り。それもどの馬も返し馬が終っていなくなってから。酒井学Jが先に馬場内で待っていて、担当さんと助手に引かれたハクサンムーンが入ってくる。ヒラリと飛び乗ってからクルクルと何周か廻ってから、やおら走り出して行くのがパターンだ。今日は3周と、いつもよりも少ないな~と感じた。この動きに、毎度だが場内はドッと湧く。

さあ、ウリウリが最後にゆっくりとゲート入りして、スタートの瞬間を待つ。ルチャドルアスールが行って、サカジロロイヤルが絡む。ハクサンムーンはその後ろだろうと頭の中で構築出来ている。
ゲートが開いた!しかし行ったのはアクティブミノルで、ハクサンムーンが次いで行く。予測されたルチャドルアスールは3番手が精一杯。サカジロロイヤルに至っては、そこらにいない。スタートで、ウリウリの馬体だけがとり残されている様に見えた。後で思えば、最初から引き気味の出にして、内へ入って行こうの算段が岩田Jにはあったのではなかろうか。ミッキーラブソングの内に入り、マヤノリュウジンのインで内ラチ沿いを走らせていた。
究極の速いラップで推移するだろうと思えた前半のラップが、34.0と重賞では珍しいぐらいの遅い入りである。2番手ハクサンムーンが3角と4角の中間あたりから馬体を並ばせに寄って行ったが、それまでは楽に行かせて貰ってもいた。4角を廻る時には、ハクサンムーンの方が少しは前に出たのではと思えた処もあったぐらい。ウリウリは4角を前から3列目ぐらいのインで廻っている。正確に言うならば、4角手前か。そこから少し外へと出してきている。


ハクサンムーンが前に出たのかアクティブミノルが前なのか、ラスト300mの少し前でアクティブミノルの藤岡康Jは追い出しにかかったが、まだハクサンムーンの酒井学Jは追っていない。300mが過ぎるあたりから追いだした酒井学J。しかし馬はその割に反応しなく、あまり伸びそうにない。
この時に中団で動きがあった。メイショウイザヨイが外へヨレた。そのアオリを喰ったのがストレイトガールであり、その後ろのマヤノリュウジンがかなり外へ向けないと進路を確保できなかった。メイショウイザヨイが開けた処へ、ウリウリが進路を見出して突っ込んできた。この明暗であり、運であろう。
ラスト1ハロンで1馬身近いリードとなったアクティブミノル。伸びないハクサンムーンの内からバーバラが顔を出し、前を捕えられるかの勢いと共に伸び出して行く。リトルゲルダは伸びない。アクティブミノルにバーバラが追いつきそうかと思えた瞬間に、ウリウリが姿を表わして前を呑み込む勢いでゴールを襲った。

検量室前で待っていると、岩田Jが《あれ以上はムリや~。外枠では辛いわ~》と声を出して室内に入って行った。武豊Jも『やったかと思ったけどね~』とひと言くれて入って行った。
それにしても藤岡康Jの思いっきりのいい騎乗だった。まんまとマイペースにして逃げ切ってみせた。34.0で逃げて、33.8で上がる。ウリウリが凄い脚を使っても届かない。
岩田Jらしい豪快な騎乗ぶり。いかに大外枠のハンデがきつかったかを物語る。直線半ばで横に揺れた不利も大きかったはず。それにしてもアクティブミノル。3歳馬の激走と、若さの証明でもあろう。

火曜の朝、坂路で北出師と遭遇した。お祝いの言葉をかけて少し話も出来た。『あの形が理想でしたからね~。うまく行きました。ハクサンムーンですか?いつもより廻る数が3回と少なかったですものね。元気がなかったと思えましたね…』と、同じ様に見ていたのにも驚く。

朝日杯で5着と昨年に乗せて貰ったアクティブミノル。重賞ウイナーとなって、これで晴れてスプリンターズSへ行ける。それにしても、ウリウリの機動力には改めて恐れいりました…。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。