有馬記念・ラジオNIKKEI2歳S/平林雅芳の目

トピックス

日曜中山10R
有馬記念(GⅠ)
芝2500m
勝ちタイム2.30.0
勝ち馬:ドリームジャーニー
(牡5 栗東・池江寿厩舎)

■3つめのGⅠは朝日杯についで中山。有馬記念制覇だ!!

ゲートが開いた瞬間、1頭が立ち遅れている。
ドリームジャーニーである。
しかし場内は知らぬ顔。
前が気になって仕方ないのだろうか?
誰が行く?
そんなふうに、展開面を固唾を呑んで見ていたのかも知れない。
テイエムプリキュアが速くなく、リーチザクラウンの方がやはり速く、先手を取ってスッと内へ入って行った。
ミヤビランベリも主張はしない。
結局、リーチザクラウン、ミヤビランベリ、そしてテイエムプリキュアの順で収まって、1周めのゴール板を通過。
リーチザクラウンが2番手に少しだけ水を開けて走っている。
ブエナビスタも折り合って、前の5番手ぐらいの位置にいる。
その直ぐ右にはアンライバルド。
後ろでは、セイウンワンダーにフォゲッタブル、ドリームジャーニー、そして最後方がエアシェイディの縦長の隊列となって進んでいる。

2コーナーを過ぎて向う正面に入って行く。
先頭のリーチザクラウンは、軽快ないい行きっぷりである。
2、3番手との差もそんなに変わらない。
シャドウゲイトにマツリダゴッホらも、その次ぐらいのポジションで追走だ。
ブエナビスタも絶好の手応えで続く。

そんな中で異変が起きた。
馬ごみの中でスリーロールスに何かあった様子だ。
馬群から下がり出す。
どうやら故障発生か。
後方組は無事に避けた様子だ。
そして3コーナーのカーブに入る前に、シャドウゲイトが前のリーチザクラウンの外へ並び、マツリダゴッホと並んで前へと出る。
リーチザクラウンの逃げだが、ここで捕まるとは思えない位置である。
そして4コーナー手前では、外からマツリダゴッホが、前を行くシャドウゲイトを交わす勢いで先頭に踊り出ようという感じだ。

その時にブエナビスタが出てきて、先頭に躍り出た。
外からドリームジャーニーもいいタイミングで出てきた。
前を行くブエナビスタ、その外へドリームジャーニーが並び、2頭の追い合いとなる。
やや内のブエナビスタの態勢が悪く、外のドリームジャーニーが少し出た様子だ。
後ろではフォゲッタブルが3着と思えた時に、後方からエアシェイディが伸びて際どく差していた。
その後にマイネルキッツ。
リーチザクラウンは、前からかなり置かれた後方である。
驚いた事に、その後に入ったアンライバルドがゴール過ぎてすぐに止まった。

検量室前の枠場へと池添Jが顔をクシャクシャにして泣きながら入ってきた。
沢山の大きな拍手が迎えた。
戦いは終った。
1番人気ブエナビスタと2番人気ドリームジャーニーのゴールまでの壮絶な争い。
タイムも2.30.0。
ゼンノロブロイが造った2.29.5のレコードには及ばないものの、その次に速いタイムだろう。
大勢のファンが思ったとおりに、2頭のマッチレース。
馬連740円は堂々の1番人気であった。
競馬を良く知っているのは、日本全国の大勢の正しい競馬ファンである。
フォゲッタブルはまだ早いとばかりに4着まで。
今度も専門家(本当に専門家と言えるのだろうか?我々は・・?)の見事な期待を外すような結果。

最終レースを、地下のトンネルで馬がパドックから到着するのを待つジョッキーたちが居並ぶ中で、武豊Jとちょっと会話ができた。
これだけ馬場のいい中山は珍しいぐらい。
だから順当に力のある馬の決着になったのだろうと。
リーチザクラウンは、来年はマイル路線を歩んでくれそうだ。

投票所前で大勢の報道陣に囲まれていた横山典J。
最初は普通のトーンだったが、最後はちょっと紅潮気味になっていた。
『3歳牝馬では勝てないなんて言われていたようだが、そんな事はないと思って貰えたはずだ』と声高だった。
そしてすれ違っていく時に、『でもこの結果も俺らしいよな』って・・。
『いやいやノリ、いい競馬だったし、あれ以上ない乗り方だったと思うよ』と心の中で返しておいた。

あの伝説の新馬戦の4頭。
ブエナビスタは来年も夢を求めていけそうだ。
リーチザクラウンは距離と戦い方の変更がありそうだ。
そしてアンライバルドのあの止まり方はちょっと心配。
スリーロールスもどうなのか?
でも今年の3歳馬たちには、まだまだこれから沢山のチャンスがやってくるだろう。
来年が楽しみなのは間違いない。
そんな事を、船橋法典駅までのオケラ街道の長い道のりで、考えながら歩いてました・・。

土曜阪神11R
ラジオNIKKEI2歳S(JpnⅢ)
芝2000m
勝ちタイム2.01.3
勝ち馬:ヴィクトワールピサ
(牡2 栗東・角居厩舎)

着差こそクビと少ない差ではあったが、もっと離しているかのような雰囲気に思えた程に、ヴィクトワールピサの勝ち方は強かった。
デビュー戦から1番人気に支持されるスターホース。
永遠のライバルであるローズキングダムへの追撃態勢が、やっと出来上がった。いよいよ対決する2010年が実に楽しみとなってきた。

最終レース。
馬から降りて検量室へ入る前にあたりで誰もいないのを確認してから、『何分ぐらいの感じだったの?7分ぐらい?』と武豊Jに聞いた。
帰ってきた答えが『8分かな、でも交わして行く時の脚は凄かったでしょ?最後は流してますからね』との答えを貰った。
『フムフム、なるほどね・・』とそれで全てを了解だ。

スタートから出て行ったのはやはりエーシンウェズン、スッと外から内へと入って行った。
内では好調、佐藤哲J騎乗のヘイダーリン、その外へコスモファントムがつけていて、ヴィクトワールピサはどこにと観やると、中団よりまだ後ろで、もう外目へと出していた。
2コーナーを廻り向う正面に入ると、先頭のエーシンウェズンが少し後続を離し気味。
3馬身ぐらい後の2番手には、単独でコスモファントムが上がった。
ユッタリした流れだ。

ヴィクトワールピサは、確認すると後から数えた方が早いポジションで、10番手ぐらいか。かなり後ろである。
少し行って3コーナーを廻るあたりで、やっと隊列が縮まってきた。
しかし前ではコスモファントムが実にいい手応えで先行しており、いやな予感がした。

4コーナー手前ではエーシンウェズン、その外にコスモファントムで、さらにその外のサクラエルドールは何か変な感じだ。
エクセルサス、マストハブはがいて、その後ろにメイショウホンマル、内にダノンシャンティ。
その外目にヴィクトワールピサが上がっていた。
もう先頭グループとの差はそんなにない位置まで来ているヴィクトワールピサに、やや安心だ。

そして直線へと入って来た。
やはりコスモファントムがいい。伸びだしていく。タイミングも実にいい。
外からヴィクトワールピサも伸びてきているが、グワーンという感じではなくノソッとした動きである。
残り1ハロンを切って、完全に争いはコスモファントムとヴィクトワールピサの戦いになった。
武豊Jのステッキが入る。1、2、3発と入った様子だ。
そして、クビ差交わしてのゴールだった。
最後の3ハロンが11.6-11.4-11.8の切れ味勝負。前半1000メートルが1.01.3とやはり遅い流れであった。

パトロール・ビデオを見た。
逃げたエーシンウェズンは舌を出しながらの走りだ。
最初は左で、後は右に出していた。いいとは言えない走りだろう。
そしてサクラエルドール。どうやら外へ逃げ気味な道中の走りだった様子。
矯正しながらの走行では苦しい。
目立ったのはキャリア1戦のダノンシャンティ。
道中内目の中団を進んでいたが、直線での脚の使い方がなかなかなもの。
これからが楽しみな器なようだ。

ヴィクトワールピサは、重厚な感じの伸び具合。まだ現時点ではこれでいいのだろう。
来年はもっともっと切れが要求されるわけだし、もっと完成してくるはず。
パドックでも立派な馬体でいい馬。
もっと研ぎ澄まされる馬体になっていくのは今でないからだ。
そんな感じを受けたラジオNIKKEI杯2歳Sでありました・・。