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横山典Jに脱帽!相手は前と、アンビシャスが2番手からV!!
2016/4/5(火)

16年4月3日(日)2回阪神4日目11R 第60回産経大阪杯(G2)(芝2000m)
アンビシャス
(牡4、栗東・音無厩舎)
父:ディープインパクト
母:カーニバルソング
母父:エルコンドルパサー
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G1馬が5頭。だがこのレースの焦点は、アンビシャスがドゥラメンテのいない相手できっちり勝てるかどうかに絞られていた。展開面ではあきらかに前が有利。それに対してアンビシャスがどう出るのか、どう乗るのかがポイントだと思えた。
誰しもが思う、キタサンブラックの単騎逃げ。その2番手にガッチリとつけたアンビシャス。4角からはマッチレース様相で、最後はクビ差前に出てのゴール。秋に向けての賞金加算と、大きな仕事をした。ショウナンパンドラが意地の3着。ラブリーデイは展開もあろうが、香港前のレース。多少、余裕残しの仕上げだったかも知れない…。
北村宏Jの故障で、有馬記念時にキタサンブラックに乗った横山典Jである。しぶとさは誰よりも知っている。ましてここはマイネルラクリマ以外に前に行きそうな馬が見当たらない。JC馬ショウナンパンドラがいかに牝馬で仕上げやすいと言え、予定していたレースをパスしたのは事実。パドックで見た馬体は数字ほど太くは見えない。ただヌーヴォレコルトやタッチングスピーチの牝馬らしいラインとは違ったらしからぬ馬体で、悪くはなかった。ラブリーデイは、やはり昨年の使っていた頃合いとはちと違う感じで、毛艶もまだあまり出ていない気がしていた。そしてキタサンブラック、外々を堂々と歩いてなかなかの雰囲気。朝の2レースからオーナーの北島三郎氏の姿も見えたりして、いきなりの予感がしていた。
馬場入場、みんなが返し馬で散った後。一旦、1コーナーの方へと向いていたアンビシャス。ウイナーズサークル内でカメラマンや厩舎関係者が愛馬を見ている、その傍でじっと馬まかせでいる横山典J。時折、うるさい仕草を見せるが、それでも馬の気持ちのままジッとしていた。やがてアンビシャスは納得した様で、4コーナーの方へとキャンターに移っていった。馬とのコンビネーションが実に出来ているなと感じさせられるものだった。
昼休みあたりだったか、ジョッキールームの前でPVを見上げていたら人の気配が。ノリちゃんである。いろいろと話をしたがそんな中で、《福島のラジオNIKKEI賞のビデオを見たか?》と訊く。すると彼は『ビデオはデビュー戦から全部見たよ』である。なるほど、これは前に行くつもりがアリアリだな~と感じるものだった。《馬の気持ちどおりに走らせる》それが横山典Jの常々のポリシーだと、当方は勝手に思ってもいる。それが彼の人生観だとも。
キタサンブラックの競馬は完璧だったと思う。検量室前の2番目の枠場に入ってきた武豊Jが清水久師に、《58キロもあったかも知れませんね~》と斤量差を言っていた。800mから600mの間に、股の下から後ろを観た武豊J。後続がどこにいるのかを確認したのだと推測する。そこにアンビシャスがいたのに驚いたかは知らないが、すぐ後ろに迫る馬がいたのにはビックリしたと思う。それほどにアンビシャスの乗り方は素晴らしいと、敵ながらあっぱれと思えるものだった。
一旦、向こう正面では3馬身近くまで間を開けたが、3角過ぎからはまた接近して行っている。あそこで離されない様にしていたと思える。そして4角はほとんど並び加減で廻っている。直線のラスト1ハロンの時には、一瞬だけ1馬身近く離せたキタサンブラックだが、そこからノリJの右ステッキに応えて伸びる伸びる。それでクビ差なんであるから、あの乗り方をしなかったら、軍配はアンビシャスでなくキタンサブラックに上がっていただろう。
14キロ増ながら、一番の伸びを見せていたショウナンパンドラ。やはり力は牝馬では抜けているのかも知れない。ラブリーデイはこの次に良くなる体だった。香港へと旅立つのだろう。イスラボニータが5着。牝馬勢のヌーヴォレコルトが6着。3番手から伸びずであった。タッチングスピーチは今回は細く映った。巻き返しがあるのだろうか。
合同のインタビューが終わってウイナーズサークルへ向かおうとしている横山典Jに、一言訊いた。《ノリ…。ハナでも行く気を持っていたのか…?》と。すると『うん、あんまり遅くする様ならハナを奪うつもりでもいた…』と答えた。これが出来るジョッキーは、東西でそうなかなかいるものではないだろう。
音無厩舎の黄金式。オーナー、トレーナー、ジョッキーでG1を何度か獲ったのを観てきた。秋にもまた再現があるかも知れない。
そんな春の大きなレース、産経大阪杯を終えた。仁川は桜でいっぱいだ。
平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。
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