今度は牡馬の一線級を撃破 マリアライトが再び2200mでG1制覇!

●6月26日(日) 3回阪神8日目11R 第57回宝塚記念(G1)(芝2200m)

ドゥラメンテ、キタサンブラック、ラブリーデイ、アンビシャス……。強力メンバーがひしめき合った宝塚記念を制したのは、関東の牝馬マリアライト(牝5、美浦・久保田厩舎)。コースこそ違うが、同じ関西の2200mで2つ目のG1タイトルを手に入れた。

レースはキタサンブラックがハナを切る展開で、マリアライトは先行集団を見る形、中団の外めをスムーズに流れに乗る。3コーナーの勝負どころを迎えると蛯名正義騎手が懸命に押して好位へ。馬なりで上がっていくラブリーデイとは全く手応えが違っていたが、ここからが根性娘の真骨頂、逃げるキタサンブラック目掛けて一完歩ずつ差を詰めると、先に前へ出たラブリーデイを交わし、そして、キタサンブラックを交わしてトップでゴールへ飛び込んだ。

デビューから16戦して掲示板を外したがわずか1度。今回の馬体重が438キロという小柄な牝馬ながら、タフなスタミナ勝負を得意とし、陣営も力の要る馬場を希望していたが、その願いが叶ってマリアライトにとっては最高の馬場状態。「女の仔なのにこのメンバー相手に勝てた。すごいことだよ。春3戦目で一番いいデキだった。馬場も枠順も恵まれて、どこまでできるかという思いでした。最初の入りは速いな、と思いましたが、内回りで馬場も重いので後ろからだと厳しい。思った通りのレースが出来た。周りもすっと伸びないなか、ラストは勝負根性を発揮してくれたね」と鞍上も最高の笑みを浮かべる。

昨年のエリザベス女王杯が6番人気、今回も8番人気と評価はさほど高くなかったが、有馬記念は0.1秒差の4着、前走の目黒記念も「不利がなければ」という惜しいクビ差の2着で地力を示し、今回はドゥラメンテ、キタサンブラックという現在の日本競馬のトップ2を抑えての勝利。牝馬としては史上3頭目の宝塚記念制覇で、紛れもなく日本のトップホースとなった。

管理する久保田貴士調教師も「この馬はいつも頑張ってくれるが、いまは誇らしい気持ちです。例年この時季、馬場が悪くなるのは想定していて、マリアライトにとって決してマイナスにはならないと思っていました。目黒記念を使った後、ひと叩きしたおかげで馬の状態がすごく良くなっていました。勝ち負けは運もあるけれど、馬のデキには自信を持っていました。使う以上は一発を狙っていました」と自信の仕上げ、最高の結果に胸を張る。

「あそこまで行ったら何とかしてくれ、と。この馬には素晴らしい思いをさせてもらって。大事に大事に牧場、厩舎とやりとりしながら来ました。まだまだ底をみせていないし、こちらの想像以上の成長力だと思います。今後のことは未定ですが、この勝利は先に向けても自信になりますよ」と、師は今後についての明言こそ避けたが、タフな馬場を得意とし、長距離もOKとなれば、海外遠征も視野に入ってくるかもしれない。女傑の秋が非常に楽しみとなった。

マリアライト