根性で伸びる!!ムーヴザワールド、ゴール前でグイッと出る!

ムーヴザワールド

16年9/25(日)4回阪神6日目5R 2歳新馬(芝外1800m)

  • ムーヴザワールド
  • (牡2、栗東・石坂厩舎)
  • 父:ディープインパクト
  • 母:リッスン
  • 母父:Sadler’s Wells

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エアメサイアの子供、エアウインザーが圧倒的な人気。道中の手応えはもうひとつながらも何とか直線で先頭に立ってゴールへと向かうが、そこへ内からコジ開ける様に伸びて交わしたのがムーヴザワールド。こちらもタッチングスピーチの下で、ディープインパクト産駒。最後はクビ差だったが、永遠とも思える差で勝ち名乗りをあげた。

パドックで馬が入場する時から見る。一番最初に入ってきたナイトバナレットが、初めて見るスタンドの異様感に止まってしまう。すぐに後ろで渋滞が起きる。しばらくして、後ろのサンナイトが前に出て歩き出すと、納得したのか動きだした。そして当然の様に啼く馬がいる。まだ幼稚園の子供ぐらいの感覚だろう。
今度はパドックの外ラチを、ショウナンハドルが蹴りを入れて大きな音がする。幸い軽い素材で出来ているからダメージはない。ディープインパクト産駒でも500キロ超えがいる。アドミラブルが520キロ。ムーヴザワールドが510キロだが、断然にムーヴザワールドのラインがいい。周回を見て騎乗をしてからいつもの席に戻り、馬場入場をしっかりと見届けたいと急ぐ。

ちゃんと1ハロン手前まで歩かせてから、首をゴールの方へと向けて返し馬が始まる。ゴール板過ぎのいつもの席で見ているのだが、エアウィンザーの走りが、ちと沈み過ぎる感じである。俗に言う、沈む様ないい走りと言うのではなく、硬いとまでは言わないが、ちと沈み過ぎるなと感じる。ムーヴザワールドの走りは、ディープインパクト産駒らしい走りである。

ゲートは、ナイトバナレットがダッシュがつかなかった。他はほぼ互角か。エアウィンザーもすっと4番手につけていいな~と思えた。先手は3頭の中から、オーサムバローズが出ていった。ムーヴザワールドはエアウィンザーの後ろだったのが、すっと促して1ハロン過ぎには前から5頭めにいた。逆にエアウィンザーは、下がって馬群の一番後ろの7頭目になっていた。《ちと走りが渋いな~》と内心思ってしまう。

3コーナーを過ぎて行くあたりで、エアウィンザーを促している武豊Jの姿を見る。まだペースが上がっていない中である。ちょうど前にいるムーヴザワールドが、持ったままでのいい行きっぷりなのに、こちらは手応え的に余裕がなく見える。エアウィンザーの外に、後方からナイトバナレットが上がってきている。先頭のオーサムバローズは、後続を引き連れて内ラチ沿いを行く。
一気にペースが上がっていく。ナイトバナレットの動きに合わすように、エアウィンザーも上がって前との差がいっぺんになくなる。先頭はまだオーサムバローズ、1馬身ぐらいのリードを保って直線入口からまっすぐに見えはじめる。

オーサムバローズが最内で、エアウィンザー、外のナイトバナレットと3頭が並ぶラスト300。エアウィンザーが先頭に立ちはじめる。外のナイトバナレットは、外へもたれたかで遅れ出す。エアウィンザーとオーサムバローズとの間に、ムーヴザワールドが入って前を追う。先頭に立ったエアウィンザーだが、伸びがジリ、ジリっとしか伸びていかない。そこへエンジンのかかったムーヴザワールドが鋭く伸びて交わしていく。最後はクビ差だが大きな差でもあった。
あまりにも渋いエアウィンザーであり、ムーヴザワールドの方が理想的な位置でレースをして、最後はオーサムバローズを弾き飛ばす様な勢いで駆け抜けていった。 最後の3ハロンが11.3~11.2~11.8で、最後の最後にいい脚を使ったムーヴザワールドが勝利した。

タッチングスピーチの弟であるムーヴザワールド。担当は、あのジェンテイルドンナをも持っていた日迫真吾君である。またいい馬に仕上げて来た。
負けはしたがエアウィンザーも、道中の手応えとか行きっぷりを考えると仕方ない内容か。次走はキッチリと勝って貰いたいと願う。

まだまだ新馬戦に逸材が登場して来るシーズンである。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。