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女王ソウルスターリング、桜へ真っすぐ!【平林雅芳の目】
2017/3/7(火)
17年3/5(日)1回阪神3日目11R 第24回チューリップ賞(G3)(芝1600m)
- ソウルスターリング
- (牝3、美浦・藤沢和厩舎)
- 父:Frankel
- 母:スタセリタ
- 母父:Monsun
ポカポカ陽気となってきて、パドックの廻りも土曜には珍しいぐらいにかなりの人で溢れだす。やはり強い馬に人は惹きつけられるのだろう。そんな大勢の人にも臆せず、ソウルスターリングは堂々と周回を重ねる。 1.5倍と、リスグラシューの倍近い支持。好スタートからいい位置でレースを進め、直線半ばでは一番前へと出てきた。今回はステッキを入れて追うなど昨暮れとは違う勝ち方だが、本番前にビシっと教育もいいこと。4月9日の本番へ、視界は良好であろう。
そのパドック、確か2着に来たミスパンテールは、汗で毛が少し寝ていた様に記憶しているが…。ソウルスターリングのどっしりした馬体に反して、リスグラシューの細いライン。何度か見て慣れてはいるが、もう少しフックラしてきてほしいと願うもの。
ゲートはリスグラシューの方が安定してなかった。もうひとつ出が早く出られてなかった。その点でソウルスターリングはすっと前に出ていける強み。松若Jのワールドフォーラブが先手を取り、岩田Jアンバーミニーが追いかける流れ。前半3Fを34.2で1000mも58.6はそうビックリする速さではないが、前2頭が後ろを離して行く。
ソウルスターリングの前でレースが出来るのかと見ていたリスグラシューだが、ゲートが前走の様な出遅れではないものの、ちともたつき気味。行き脚もそうなく、位置が後ろめとなっている。しばらくは内目でじっとしていく。その間にソウルスターリングはダッシュついて前と進めていく。リスグラシューとしては前に目標があるのはいいが、ソウルより勝る脚を使わねばならないのは事実。
ワールドフォーラブにアンバーミニーが外から前へと出てきた1ハロン過ぎ。内のカワキタエンカとエントリーチケットが、その2頭の勢いに負ける形で2番手に控える。その外にソウルスターリングで、ここではやや行きたがってはいた。
2頭が並んで先頭、そこから3馬身離れてエントリーチケットにカワキタエンカ。その1馬身後ろに収まったソウルスターリング。ミリッサとアロンザモナと続き、リスグラシューは、ビップキャッツアイの前の8番手。最後方に、出の悪かった重賞5週連続勝ちを目論むMデムーロJのダノンディーヴァだ。
前2頭だけが少し離して、後は縦一列となって3コーナーを廻っていく。ミスパンテールは後ろから3頭目で、前のリスグラシューを観る形のラチ沿いだ。前半3Fを34.2で通過する。さらにラスト1Fを進む間に馬群はさらに凝縮され、2番手グループには1馬身近い差まで縮まる。5頭目のソウルスターリングは、持ったままの絶好の手応えでいる。ミリッサが後ろの内ラチ。その少し外へリグスラシューが出してきて、前を行くソウルスターリングには2馬身ぐらいのところ。ソウルスターリングもそれほど外を廻っていない。前を行くエントリーチケットの横ぐらいだから、後続各馬よりは内めであろう。
4角を廻って直線に入ってきた。岩田Jのアンバーミニーは後ろへ下り、先頭だったワールドフォーラブも、先頭をカワキタエンカに交わされた。外廻りから内廻りへの間を過ぎて再びラチが表れてラスト300m少し手前、ソウルスターリングのルメールJは馬を少し促して前へとしゃくる。
オレンジ棒では、すでに先頭に立ち気味。内ラチ沿いでカワキタエンカが粘っているが、外からリスグラシューがジワジワと前へ出てきつつある。ラスト200のハロン棒を合図に、ルメールJが右にステッキを抜いて2発入れる。ほぼこの時にはカワキタエンカの傍まで寄っている。リスグラシューはまだ3番手。すぐ右をミリッサが前へと出そうな勢いだ。
ラスト100mのオレンジ棒が、再び来る。そこでまたルメールJが右ステッキを入れる。手前を大きく替えたのも見えた。リスグラシューが内のカワキタエンカを交わして2番手に上がったかと思えた瞬間に、外からミスパンテールがいい勢いで交わして行く。内ラチ沿いのソウルスターリングは、もうすでにフィニッシュの形をとって鞍上はチラっと左後ろを観ていた。2着ミスパンテールに2馬身差の完勝劇。阪神JFでつけた着差がコンマ2秒だったのが、今回はコンマ3秒の差となった。
新たに敵となるアドマイヤミヤビは、良く知っているルメールJである。第三の馬と言われるファンディーナ。あと5週間後の4月9日の桜花賞。そこまで楽しみはとっておこう。
母スタセリタでのルメールJは、3戦目からの3連勝。古馬になって香港カップとかで2戦。計5戦で手綱を取っていた。デビューから6連勝とかの10勝したスタセリタ、だが、凱旋門賞とか大一番では勝てていない様で、何か仕事をし残した感のある競走生活だったのではなかろうか。
そんなスタセリタの子供で、第二の故郷となろう日本でもっとも輝くところへ近づいているこの春。ルメールJには格別な想いがあるのではなかろうか。おそらくウイナーズサークルではまた涙を流すのかも知れないと、すでに勝ったイメージで観てしまっている。だがまだまだ戦っていない敵もいるのである。まだまだ春が確実に来た訳ではないのだ…と。
平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。
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