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芸術的な騎乗!藤岡佑Jに導かれキングズガードが重賞制覇!!【平林雅芳の目】
2017/7/12(水)
17年7/9(日)3回中京4日目11R 第22回プロキオンS(G3)(ダ1400m)
- キングズガード
- (牡6、栗東・寺島厩舎)
- 父:シニスターミニスター
- 母:キングスベリー
- 母父:キングヘイロー
地方からの参戦、トウケイタイガーが先手を取って行くが、前がやや引っ張る形となって前がかりの流れとなる。直線では一旦ブライトラインが飛びだしたが、それをかわして行ったのがキングズガード。内から馬群の中をを割って一気に脚を伸ばしてきた。矢の様に弾けて追いすがってきたカフジテイクを2、馬身もの差をつけて重賞初制覇となった。 藤岡佑Jの切れのある騎乗ぶりに導かれたキングズガードは、重賞挑戦6度目での初勝利、管理する寺島師も開業2年目での嬉しい重賞勝ちとなった。
スタートは、レヴァンテライオンが一番のダッシュ。その内から押して押してトウケイタイガーが前を主張していく。外からウォータールルドやナンチンノンの押圧で内が詰まり気味となり、トウケイタイガーの真後ろにいたベストマッチョが狭くなり、手綱を引く。その後ろ、斜め横のアキトクレッセントも苦しい位置となる。これが1ハロンを少し行ったあたりでの出来事。2列目ではあるが、リズムを失った感じとなった様である。その後もトウケイタイガーの造る流れはそう速い流れとは言い難いもの。後ろにいたイーデンホールが動き、ブライトラインがそれを追い越して行く動きがあって、4コーナーへと入ってきた。 先頭のトウケイタイガーに並ぼうとするレヴァンテライオンだが、もう手応えがない。トウケイタイガーが何とか粘ろうとするラスト1ハロン。ゴーインググレートが抜く。そこをブライトラインが差す。と思ったところへ、キングズガードがあっと言う間に抜き去って行く。さらにカフジテイクも続いて上がって行った。
検量室の中にあるPVを見る。ジョッキー達がそれを見ながら、調教師や厩舎関係者と話をしている。それを窓越しながら我々も映像を見たりしている。ゲートからじっくりと何度も見る。キングズガードに絞ってみると、あっと言う間に内に潜りこむ。カフジテイクの半馬身ぐらい後ろのラチ沿いにいる。そして圧巻は、直線でカフジテイクがだんだんと外へ進路を取ってラスト1ハロンで完全に出た時。その後を追わずに少しタイミングをズラしたかの様に、そのまま前の馬群の後ろを進み、少しずつ外へ動き前が開くのを探る。 ウォータールルドの処が空いて、すかさず入る。後ろにいたのがベストマッチョで、そのアオリで完全に戦意喪失となった。 一気に入って、前へと抜け出ようとするキングズガード。ちょうどカフジテイクが外から前へと出てこようとしているところ。その横を一気に前へと出て行った。内のブライトラインをも抜き去って、先頭へと踊り出た。
カフジテイクは、先頭には立っていなかったのである。ゴールの少し前で、ブライトラインを抜いて2着となったもの。でも力は出し切れたと思えるもの。 トウケイタイガーが造った流れは、前半の3ハロンが34.2で46.0~58.1~1.10.5。ゴール前のラスト1ハロンまで先頭であったから、この数字は彼のものだろう。そこでブライトラインが先頭に踊り出た。そしてキングズガードがあと50メートルで抜き去ったものであり、最後の1ハロンの12.4も切れに切れているものである。
TVインタビューが終わって表彰式に行く前の藤岡佑Jにちょっと訊いてみた。《あのインに入る乗り方は考えてたの?直線も外へ出す気がなかったみたいだけど》と。『エエ、道中のインは、最初から狙っていました。直線もカフジの後を追っても、あの馬の前にへ行けませんからね。一か八かで、あそこを狙ったのです』と言う。その後もまた最終レースの騎乗馬を待っている時にも接近して、再び話をした。
『道中で傍にカフジテイクがいたのですが、後ろで気配を殺してましたよ。この馬に乗せて貰って1年半経ちますが、結果を出せてなかっただけに嬉しいですね~』であった。私は彼の騎乗が神がかり気味だと言っていた様で、『そこまで言ってくれて嬉しいですが・・』とやや困惑気味ではあった。ただ、先月のマキシムドパリでマーメイドSの勝利で長いトンネルを潜り抜けた藤岡佑介J。彼にも言ったのだが、何か吹っ切れた騎乗ぶりであった。『天晴!』と言っておく。
平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。
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