重賞メモランダム【中山記念】

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金曜日から降り続いた雨で、不良馬場でのスタートとなった2回中山の開幕週。温存された内ラチ沿いが走りやすいAコースに替わり、週中は先行有利の時計勝負を思い描いていたが、土曜・芝2000mの新馬で2分10秒2との勝ちタイムが表示された瞬間に、積み上げた予想も白紙になったようなもの。

芝なのに、泥まみれで上がってくるジョッキーを見れば、とてつもない馬場であることが伝わってくる。こんなときこそ実績を度外視して、血統、体型、走法、蹄の形などなど。懸命に組み立て直して臨んでも、今年の中山記念は、簡単には太刀打ちできない波乱の嵐が吹き荒れた。

04年の同レースでサクラプレジデントが記録したレコードより、6秒8も遅い1分51秒7での決着。前半の4ハロンは、やや重の昨年と比べても1秒も速い流れである。当然、後半はペースが落ち、先行馬が総崩れとなる消耗戦の様相。 ロスなくインを回ったとはいえ、抑え切れないほどの手応えで進出し、あっという間に5馬身の差をつけたのは、13番人気のトーセンクラウン(牡6、美浦・菅原厩舎)だった。昨年のスピカS以来、1年ぶりの勝利であり、7度目の挑戦で重賞は初制覇。キャリア39戦目にして、みごとに花を咲かせた。
やはり道悪の巧拙がはっきりと明暗を分けた。父はオペラハウス、母父がダンシングブレーヴ。重厚な血が生きた結果である。泥田のような極悪馬場となった昨年の目黒記念に勝ったミヤビランべリも同じ父。もちろん、これが今後に直結するとは思えないが、イメージ以上に奥があることは確かだ。

照れくさそうに笑みを浮かべた菅原泰夫調教師に、じんとくるものがあった。当初は除外対象だった愛馬は、直前に回避馬が出て滑り込み。93年の開業以来、タイトルと縁遠く、これが平地のグレードレースの初勝利である。5大クラシックを手にしたかつての名ジョッキーも、実は苦労人。ローカルでの滞在時に調教から引き受け、コツコツと騎乗馬を増やしていった遅咲きの花だった。地道な努力が運を呼び込んだのだろう。

2着にもオペラハウス産駒のテイエムアンコール(牡6、栗東・柴田見厩舎)。父譲りの激しい性格の持ち主だが、根性はなかなか。「4コーナーでごちゃついて控えることに。ただ、それで逆に脚がたまって、最後はすごい伸びでしたよ」(浜中騎手)。今回はびっしり追い切って絞り込み、明らかに状態を上げていたが、同馬も12番人気。ここまで変わるとは。

3着のショウワモダン(牡6、美浦・杉浦厩舎)は、無理なく上がっていったが、結果的にスパートが早すぎたかたち。重の鬼として有名な同馬でも、最後は止まってしまうハードな馬場だったのだ。

4着に食い込んだセイクリッドバレー(牡4、美浦・高橋裕厩舎)にとって、道悪は決して歓迎すべき材料ではなかった。後方待機が功を奏したことも確かだが、今後につながる走りだった。上位勢のなかでは、最も将来が期待される。

雨で人気を集めたシャドウゲイト(牡8、美浦・加藤征厩舎)は、スタート後にバランスを崩し、落馬寸前の不利。トーセンクラウンと同じ37秒3の上がりを使い、6着まで追い上げただけに、なんとも惜しまれる一戦となった。

1番人気に推された7着・キングストリート(牡4、池江郎厩舎)をはじめ、「敗因は馬場」とのため息ばかりが聞こえた検量室。これも競馬である。唇をかみ締めた陣営の巻き返しに期待したい。