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テイエムジンソク、4コーナ先頭の完勝で重賞初勝利!【平林雅芳の目】
2017/11/7(火)
17年11/5(日)5回京都2日目11R 第8回みやこS(G3)(ダ1800m)
- テイエムジンソク
- (牡5、栗東・木原厩舎)
- 父:クロフネ
- 母:マイディスカバリー
- 母父:フォーティナイナー
やっと秋の日差しが戻ってきた淀競馬場。むしろまぶしいばかりの陽光のなかでのレースであった。3歳ダートの頂点であるべしエピカリスの復調なるのか、北海道シリーズで掴みそこねたテイエムジンソクの初重賞制覇となるのか。 終わってみれば、テイエムジンソクが直線入口で先頭となっての押切り。エピカリスは中団から4コーナーで3番手にあがったところで終わってしまった。2着に9番人気のルールソヴァールが来て、馬単は万馬券決着となった。
海外遠征へ行って帰って来てからの復調に手間取るケースが多い。やはり空輸が人間以上に応えるのであろうか。行く前に強かった馬が帰って来てからサッパリで、これが同じ馬なのかと思う結果にぶつかる。 エピカリスは、アメリカから帰国しての緒戦の新潟のレパードSで3着。直線で内から出られなかったがそう悪い競馬内容ではなかった。そんな後の秋緒戦で、54キロはそのレパードSで後塵を浴びたローズプリンダムが55キロに対して有利であるだけに、今回は巻き返し十分と大方の見立て。レパードSでは1.5倍だったオッズだが、今回は古馬相手だけに2.4倍の支持となっていた。
しかし以前は前々でレースをしていた馬であったのが、今回は外枠でもあり、ジワっとした競馬となった。道中は中団の後ろぐらいの外目で、前を行くテイエムジンソクからは4馬身ぐらいの後ろ。少し前の内めにはタムロミラクルがいる位置。先に動いたルールソヴァールを追いかける様に3コーナーから進出、4コーナーでは3番手までポジションを押し上げた。そこからルメールJが左ステッキで促すのだが、もうひとつ反応してくれない。ラスト200のハロン棒の前に、後ろから来た馬達に抜かれだす始末。 ルメールJのコメントに《太かったね~》とあったが、2月にヒヤシンスを勝った時の体重よりも2キロ軽いぐらい。数字ではなく、体調面を言うのだろうか。しかしこの負け方は気になるところだ。
流れとしては一度たりとも13秒台もなく、平均に流れていたレースである。3コーナー過ぎから急にペースが速くなった訳でなく、淡々とした流れ。そんな中でテイエムジンソクは、すっと前を行く3頭の4番手をキープし、早々と4コーナー手前では先頭を伺う勢い。大外枠だった馬が最終コーナーを廻ったところで、ラチ沿いの最内を通って後ろを離して行くのであるから、楽であろう。さすがに馬なりとは行かなかったし、古川Jの左ステッキが5発ぐらい入ってはいたが、これは気を抜かない様にとの叱咤激励だろうと思える。 2着のルールソヴァールは、前回に条件を勝ったばかり。だがその時の上がり脚が速いし、ブリンカー効果もあった様だ。 3着のキングズガードは、3コーナーでドンジリ追走。もちろん最速の上がり脚を駆使して突っ込んできたが、大勢を決した後でもあった。だがこれで距離も十分にこなすのが判った。
テイエムジンソクを検索してみる。 古川ジョッキーが乗ったのがこの春の5月28日。京都コースであった。そこから函館でのマリーンSまで3連勝。そして自信を持って臨んだエルムSでロンドンタウンの大駆けにあって、1番人気の支持ながら敗退した。そのロンドンタウンが韓国のコーリア・カップで前年の覇者、クリソライトを寄せつけない勝利と相手が悪かった。 そして秋緒戦の今回のみやこS。京都大好き馬にとっては絶好の舞台、エピカリスに人気は譲ったが、4コーナーではもう引っ張り切りで先頭に立っての完勝と、ついに重賞を手に入れた。デビューからダート路線を通してきた馬が23戦目にしてやっとタイトルひとつ獲れた。これからは重賞競走の常連となって、ベテラン達と切磋琢磨していくことであろう。 迅速とは言わないまでも、しっかりとした足取りである。何よりも、デビューから鞍上が竹之下ジョッキーと古川ジョッキーしか乗ったことがない馬。すぐに鞍上を替える昨今である、そんななかで前回乗ったジョッキーに誠意を持って貫いてくれるオーナーサイドに調教師、実に嬉しいかぎりである。こう言った馬が勝つのが嬉しい。
平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。
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