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重賞メモランダム【中山牝馬S】
2010/3/16(火)
古馬の牝馬戦線において、中山牝馬Sはひとつの区切り。このレースを最後に現役を退く馬が多いからだ。厚い層を誇る社台グループ関連馬には、繁殖入りの期限が6歳の3月までという規定があり、成績や状態にかかわらず堅持されている。事業形態を考えれば、目先の賞金獲得よりも、いずれ誕生する良駿の生産や販売に重きを置くのは当然といえる。高齢まで走り続けたら、繁殖としての価値が下がり、子供を産み出す活力を削ぐことにもつながる。この一戦で競走生活にピリオドを打つのが、ザレマ(12着)、レインダンス(14着)。現6歳には2年連続で年度代表馬に輝いたウオッカや、牝馬としては37年ぶりに有馬記念を制したダイワスカーレットなどがいて、スター揃いの世代である。両馬も名脇役であり、実力は確か。昨年のキストゥへヴンと同様、有終の美を飾ってほしいと期待したが、勝利の女神は微笑まなかった。
しかし、6歳牝馬のレベルは突出している。勝ったのは、遅れてきた素質馬、ニシノブルームーン(牝6、美浦・鈴木伸厩舎)だった。これがうれしい重賞初制覇。個人所有の同馬にとっては、卒業レースではなく、これが新たなスタートとなる。
離し逃げで8着に敗れたブライティアパルス(牝5、栗東・平田厩舎)が刻んだラップは、過去10年で最も速い前半35秒0。1000m通過が58秒6である。しかし、小回りの1800mだけに、後方一気が決まる展開でもない。終わってみれば、ニシノブルームーンが進んだ7番手あたりが、理想的な位置取りだった。熾烈な2着争いを尻目に、ゴール前でぐいと抜け出した。
「ひっかかるのが課題でしたので、流れも味方した。久々で14キロ増の体重でしたが、これは成長ぶん。ずいぶんたくましくなっています」
と、鈴木伸尋調教師は話す。昨春に3連勝し、マーメイドSでも2着に食い込んでいた実績の持ち主。ここにきてまたひと皮むけた印象を受ける。ハンデ53キロに助けられたことも確かだが、体質の弱さに配慮して大切に使われ、キャリアはまだ15戦。さらなる前進が見込める。
「春の大目標をヴィクトリアマイルに定め、ここから始動。忙しい流れのマイルは乗りやすいでしょうし、本番が楽しみになりましたね」
狙いどおりに賞金を加算できたことから、いったん短期放牧を挟み、GⅠに直行するプランである。ブエナビスタ、レッドディザイアらの4歳はともかく、このレースの結果を見ても、円熟期にあるはずの5歳勢には元気がない。同年齢の強力なライバルがいなくなり、非社台系の6歳が台頭してくる可能性は十分である。
2着にも6歳の女盛り、ウェディングフジコ(美浦・戸田厩舎)が入線。エンプレス杯(5着)からの転戦だが、昨年のターコイズSを好タイムで制している。芝も、この距離にも適性は高く、無欲でコースロスなくさばいたのが功を奏した。
3着のチェレブリタ(牝5、栗東・荒川厩舎)は、「抜けそうな感触があったんだが。坂は堪える。平坦ならば勝てたかも」(蛯名正義騎手)。
今後も見限れないのは、1番人気を裏切った4着のコロンバスサークル(牝4、美浦・小島太厩舎)。これまで体験したことがない速い流れに戸惑い、一瞬の切れを生かせなかった。
後方待機で、最大の武器である瞬発力に賭けた7着・リビアーモ(牝5、美浦・高橋裕厩舎)も、大外を回して34秒3の上がりを使っている。評価を落とすわけにはいかない。
案外だったのは、9着のジェルミナル(牝4、栗東・藤原英厩舎)。久々が響いたかたちだが、プラス18キロでも外見は仕上がっていた。昨秋の成績からも、クラシックに全力投球した疲れが抜け切っていないように思える。本来の輝きを取り戻すのには、少し時間が必要かもしれない。
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