【武蔵野S】常識は通用しない!「超特殊」なコースに潜む伏兵

昨年の武蔵野Sを差し切ったギルデッドミラー

昨年の武蔵野Sを差し切ったギルデッドミラー

11月11日(土)に行われる武蔵野S(G3、東京ダ1600m)。ときにこの東京ダート1600m、超がつくほど特殊なコースであることはご存じでしょうか。

JRA全10競馬場でダ1600mのレースが組まれているのは東京のみ。しかもスタート直後は芝を走る独特の形状ゆえか、他のダートコースでは見られない傾向が頻繁に表れます。

たとえば「脚質」などはその一つ。基本的に逃げ・先行が有利とされているダート戦ですが、この武蔵野Sでは少々趣が異なります。

▼武蔵野S脚質別成績
逃げ[1-0-1- 8]
先行[1-4-4-26]
差し[4-5-2-56]
追込[4-1-3-38]
(※過去10年)

興味深いことに過去10年の勝ち馬のうち8頭が差し・追い込みの競馬をしていました。また逃げて勝ったのは重馬場で前が止まらず、レコードの出るような馬場だった2016年のタガノトネールのみ。

逆に言えば、馬場の助けを借りなければ前に行って勝つことは難しい重賞・・・いうことになります。

象徴的な例が、2022年フェブラリーSの勝ち馬であり、先日盛岡で行われた交流G1南部杯でも大差勝ちしたレモンポップ。昨年の武蔵野Sでは3番手から抜け出しをはかるも、ギルデッドミラーの強襲を受けて2着に敗れました。

この原因は先ほども触れたとおり、独特のコース形状によるもの。スタート後に約150mほど芝を走ることで道中のペースが上がるうえに、直線は500m超えと日本のダートコースで最長。またそこに上り坂も加わるとあって、スピード自慢の先行馬といえど末脚が鈍るのでしょう。

今年の出走予定馬を見渡しても、ダート重賞らしく逃げ~先行で好走してきた馬が多い印象。しかし、武蔵野Sに限っては「ダート戦の常識」が通用しないコースだけに、前に行く馬に全幅の信頼を置くのは少々危険でしょう。

一方で、差し・追い込み馬は去年のフェブラリーS2着レッドルゼルをはじめ、後方からの競馬で好走しているセキフウタガノビューティーなど少数ながら精鋭揃い。特殊なコースによる展開の助けが加われば、逆転があっても不思議ではありません!