【スプリンターズS】玉座は再び女王を待つ。歴史の扉が今開かれる!

未だ成しえぬ牝馬の2勝に注目が集まるママコチャ

未だ成しえぬ牝馬の2勝に注目が集まるママコチャ


今年のスプリンターズSは春の高松宮記念の出走馬のうち8頭が参戦、また昨年このレースで1~3着となった馬が出揃うなど、変わらぬ顔ぶれが集まった一戦となりました。

となれば、やはり主役は春と同じくサトノレーヴでしょう。今年、待望のG1タイトルを手にすると、その実績を引っ提げて香港・英国のG1へ挑戦。いずれも2着と好走し、その実力が世界レベルにあることを証明しました。

昨年敗れた雪辱を果たし、再び世界の舞台へ。明確な野望を胸に、ここは断然の主役です。

しかし、その王者に待ったをかける存在としてママコチャを挙げたいと思います。

今年6歳の牝馬ですが、その実力は全く衰えていません。初戦のオーシャンSを快勝すると、春の大一番・高松宮記念でも3着に健闘。続く京王杯SC、セントウルSでは連続2着と、常にG1・G2戦線で上位争いを演じており、その安定感は現役屈指です。

もちろん、中山スプリントへの適性も疑いようがありません。JRA屈指の急坂も苦にせず、スプリント戦では昨年の当レース4着以外はすべて勝利。その4着も勝ち馬とは僅かクビ差ですから、コース適性は証明済みです。

一昨年にはこの舞台でG1馬の称号を手にし、同年の最優秀スプリンターにも輝いた実力馬。3年連続の出走となる今年、改めてこの馬を推す最大の理由は、このレースが「リピーター」の活躍する舞台だからです。

▼過去10年におけるリピーター
23年(3着)・24年(3着) ナムラクレア

19年(3着)・20年(2着) ダノンスマッシュ

16年(1着)・17年(1着) レッドファルクス

一般的に競走馬の成長期は4歳秋までと言われますが、G1で常に上位争いをするトップホースともなれば話は別です。年齢による衰えを感じさせず、息の長い活躍を見せる馬は決して少なくありません。

また、ゴール前の急坂に象徴されるトリッキーな中山コースへの適性も、リピーターが生まれる大きな要因でしょう。だからこそ、この舞台を得意とするスペシャリストが繰り返し好走する訳です。

近10年に限った好走例は上記の通りですが、さらに遡れば、12・13年のロードカナロア、93・94年のサクラバクシンオーなど連覇を挙げている馬もいます。

しかし、これが牝馬となると話は変わってきます。90年のG1昇格後、このレースを2勝した牝馬は未だ1頭もいません。02年の覇者ビリーヴ(翌年2着)、11年優勝のカレンチャン(翌年2着)、リベンジで優勝した15年のストレイトガール(前年2着)など、歴史に名を刻んだ名牝たちでさえ、あと一歩でその偉業を逃してきました。

ママコチャもこの分厚い歴史の壁に阻まれるのか…いや、歴史は日々塗り替えられるものです。御年6歳ですが、陣営が最終追い切り後に「昨年よりもいい感じ」と太鼓判を押しているように好調を維持しており、能力に衰えはありません。

であれば、このG1で再びの栄光を掴み、史上初の快挙でその名を歴史に刻んでもらいたい。そう願いながらレースを見守りましょう!