【菊花賞】長距離で輝く職人技!“淀を知り尽くす男”の読みと腕が光る!

臨機応変な騎乗で栄光を掴んできた武豊騎手

臨機応変な騎乗で栄光を掴んできた武豊騎手


“長距離は騎手で買え”。そんな競馬の格言を聞いたことがある方も多いでしょう。

長距離戦は、道中での駆け引きが多く、勝敗を大きく左右します。思い切った逃げ切り、ペースを読み切った早めのスパート、あるいは前が潰れるのを見越して脚を溜めるなど。状況に応じた大胆な判断が求められるだけに、経験豊富なジョッキーほど有利な舞台と言えるでしょう。

今週末は3歳牡馬最後の関門、菊花賞(G1、芝3000m)が行われますが、過去10年間でデビュー10年未満の若手騎手が菊花賞で好走したのは、横山武史騎手(21年・23年)と鮫島克駿騎手(22年)のわずか二人のみ。

もちろん、素質馬に騎乗できるかどうかやレース当日のコンディション、不利の有無なども影響しますが、結果的に上位を占めているのはやはりキャリアを積んだジョッキーたちです。

その中でも“騎手で買いたくなる”存在が、レジェンド・武豊騎手

▼武豊騎手の菊花賞成績
[5-2-4-23]複勝率32.4%

●主な好走馬とその人気
88年 1着スーパークリーク(3人気)
96年 1着ダンスインザダーク(1人気)
05年 1着ディープインパクト(1人気)
06年 3着アドマイヤメイン(3人気)
18年 3着ユーキャンスマイル(10人気)
19年 1着ワールドプレミア(3人気)
24年 3着アドマイヤテラ(7人気)

キャリア39年目を迎えた武豊騎手は、これまでに34回の菊花賞に騎乗し、32.4%という安定感のある複勝率を記録。

また、デビュー2年目で初G1制覇を飾ったスーパークリークをはじめ、エアシャカールやディープインパクトなどの名馬たちで勝利を重ね、1980年代から2010年代まで4つの年代で5度制覇。史上最多優勝記録を誇ります。

様々なビッグレースで好騎乗を見せてきたレジェンドジョッキーですが、この菊花賞でも臨機応変な騎乗をしています。

昨年のアドマイヤテラでは、2週目3コーナーから、まくる競馬で7番人気ながら3着と健闘。一方、06年のアドマイヤメインでは、スタート直後からハナを奪い11秒台後半のラップで突き放すと、すぐに13秒前後まで落として息を入れる巧みな逃げを披露。自在なペースコントロールで3着に粘り込みました。

そして今回騎乗するのは、そのアドマイヤメインを彷彿とさせるような逃げ切りで勝利を上げたマイユニバース。前走のパフォーマンスは、長距離戦とは思えないスピードと持久力でファンの度肝を抜いたものでした。

武豊騎手とは初コンビとなりますが、道中でうまく折り合えるかが鍵。スムーズに運べれば、先週の秋華賞・エリカエクスプレスで見せた逃げっぷりが再び見られるかもしれません。

キャリアと経験がものを言う3000mの淀の舞台。“菊男”武豊の手綱さばきから、今週も目が離せません。