有馬記念!東京大賞典!さあ暮れの大一番へ!【戸崎圭太コラム】

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週刊!戸崎圭太

いよいよ2025年の開催も最終週を迎える。今年はホープフルSが27日に行われ、翌日に有馬記念という日程。さらに今年はジョッキーにとって勝ちたいレースの一つである東京大賞典にも騎乗予定がある。

本来であれば、ホープフルSも上位人気候補に騎乗予定で、3日連続G1で上位人気の可能性もあったところだが、スタートラインに立つことのできる残りのレースで好結果を期待したい。

ラヴェニューは直前に回避

——今週は平日から何かとお忙しい一週間だったかと思いますが、よろしくお願いします。まず、ホープフルSラヴェニューに騎乗予定でしたが、残念ながら回避となってしまいましたね。

戸崎:報道された朝に連絡をいただきました。残念ですが、こればかりは仕方がないですね…。楽しみにしていた一戦でしたが。

——土曜は当然ながら中山での騎乗ですね。オメガディコンは新馬でも好走しましたが、中山替わりもいいんじゃないでしょうか。

戸崎:新馬は、いいレース、いい内容でしたね。体の緩さも感じたので、そこが変わってくれば尚良さそうです。中山も合いそうな印象はあります。

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——ウィッシュツリーは当週の追い切りに騎乗されました。

戸崎:動きは動けそうでしたが、良くなるのはまだ先かなと感じました。体は線の細さもありましたし、現状でどこまでやってくれるかですね。

——ルシードは所属する田島厩舎ということもあってか、2週連続で追い切りに騎乗されています。

戸崎:追い切り自体はすごく良かったですよ。これがレースに繋がってくれるとすれば楽しみです。

——アマキヒは菊花賞に挑むも11着と結果は残せませんでしたが、自己条件に戻ります。

戸崎:乗り味はすごくイイものがあって、能力自体は感じています。ただ、気性が難しいのでね。そのあたりで集中して走ってくれるといいのですが……。能力はあるので気持ち一つだと思います。

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——日曜のアイアムユウシュンはおなじみの存在ですね。

戸崎:2週前の追い切りはまだもう一つかな、という感触でした。そこから段階を経て残り2週でどう変わってくるか、期待したいです。

——カニキュルも継続して乗られています。

戸崎:折り合いがポイントですね。それに東京ばかりで走っていたので、中山で上手に走ってくれるかどうかもポイントです。上手に立ち回ってほしいです。

精神面さえクリアすれば連覇も

——そして、ダノンデサイルと挑む有馬記念(G1)ですが、木曜には枠順抽選会も行われました。5枠9番となりました。

戸崎:枠順は早めに引く出番。枠は外もだいぶ空いていましたし、10番以内に入ると、とてもいいかなと思っていました。比較的、いい枠を引けたなとホッとしています。

——今年は各所で緊張について話されていたことが多かったですが、枠順抽選会は緊張するものですか?

戸崎:めちゃくちゃ緊張します。特に今年は後半になれば外枠しかなかったじゃないですか。あの出番なら気が楽でしたけど。そういうわけじゃなく、ほとんど空いていましたからね。

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——安田翔伍調教師とは壇上でもやり取りがありましたね。

戸崎:「壇上に上がって、じゃんけんでもして、どっちが引くか決めようか」なんて言っていたんです。それが、その場で「任せる」ということだったので、聞いていた話と違うな、「来たか」と。そんな流れでしたね。

——今更な話ですが、枠順を視聴者や周囲に見せるシーンはご本人の方にも番号は書かれているんですか?

戸崎:裏面は無地ですが、透けて見えるのでね。枠を引いた時はホッとしました。

——重要な枠の並びはどうでしたか。

戸崎:人気馬候補が比較的、内にいきましたね。この並びならスムーズなポジション取りができると思います。

——これまでのレースを見ても、概ねスタートしてからスイスイ行っていますね。

戸崎:スタートは安心しています。あとは枠の並びだけじゃなく、ゲートでうるさい馬が隣に入ってこなければと思っていたのでね。クリアできたのかなと。

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——前走時は1週前追い切りで重さを感じると口にされていましたが、中間は最終追い切りまで速い時計の追い切りを数多く重ねていた印象でした。レース当日は馬体重も減っていましたが、コンディションはどうでしたか。

戸崎:確かにけっこう動かしていましたね。ただ、体重に関しては、特に気にはならなかったです。自分も調整をお任せしている立場ですし、そこまで過敏に気にはしていません。

——今回はレース間隔が詰まっていることもありますが、前走とはまた違った調教内容ですね。

戸崎:やはりそれよりもテンションが変わってくるのかなと。一度使ったことでのガス抜きや上積みもあるんじゃないかと思います。

——ジャパンCの敗因は既に伺っていますし、他でも語られています。やはり前走のように折り合いを欠くようなことがなければ、ということですか。

戸崎:そう思いますね。最近のレースでは気持ちが前向きなところもあるので、そこが落ち着いて臨めるといいですね。JCは入線後に落馬もありましたが、影響もなくこられているようなので、あとは当日も落ち着いて挑んでほしいです。

——有馬記念といえば複数回勝たれているレースです。このレースで求められる資質はどう感じますか?

戸崎:器用さ、乗りやすさは大事ですね。ダノンデサイルは持っているポテンシャルはありますし、スタートも安定しているのでね、繰り返しになりますが、テンションが一番ポイントだと思います。

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——コース適性に関してはどうでしょうか。

戸崎:去年も敗れてはいますが、走れているのであまり気にしていないですね。

——万が一、前走くらい力んでも中山なら誤魔化しが利くということはないですか。

戸崎:さすがにそこは東京との違いはないと思います。ただ、距離自体は問題ないと思っているのでね。

——週中は雨がありました。冬場なので、それなりに雨が降ったら週末は硬い馬場になるとは考え難いですが、いかがでしょうか。

戸崎:別に緩い馬場でも大丈夫かなと思いますよ。それでいて速い馬場にも対応できていますし、幅が広い馬だと思います。

——今年はジョッキーとして連覇が懸かる立場ですね。

戸崎:レガレイラがいたことで、今までにない、特別な気持ちはあります。もちろん難しい選択ではありました……ダノンデサイルの本来の力を出し切れば、いい結果が出るんじゃないかと思います。

やっぱりドバイの時の走りが記憶に残るもので、感動的でした。あの感触を求めて、力を出せるような騎乗をして、いい結果に結びつけたいです。

大井の環境がいい方向に向いて欲しいナルカミ

——先週のレース回顧ですが、ターコイズS(G3)チェルビアットはスタートをしてジャンプしてしまっていましたね。

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戸崎:返し馬からテンションが高いことがあるようで、先出しでした。けっこう汗もかいていましたね。普段の雰囲気は比較がつかないですが、同じような感覚だったんじゃないかと思います。待機所でもけっこう興奮しているようなところがありました。

ゲートの中では大外だったこともあり、うるさいということはなかったのですが、出て行き方がジャンプをするようでしたね。後ろからになるかとは思っていましたが、そこでリズムを崩したことで、狂ってしまったことが誤算ですね。

後ろから構えていきましたが……伸びなかったですね。力的にはもっと走って良さそうでしたが。先生も中山は影響しているのかなと言っていました。乗り味的にはいいモノがありましたが、精神面は課題になりそうですね。悪影響がないといいですが。

——スノーサイレンスはどうでしたか。

戸崎:いいスピードは持っていて、すごく乗りやすかったです。逃げて勝った馬もモマれ弱い馬だったので、行くべきか悩んだところではありました。あの流れでも後ろからも差し込まれてはいましたからね。十分勝負になるとは思います。

——ホウオウヘッセンは前回が芝で今回はダート。調教は動いていましたね。

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戸崎:特に乗り難しさもなく、いいスピードをみせてくれましたね。道中は忙しさを感じました。今後は逃げるより、モマれて差していく方が良さそうですね。芝でも悪くないのかと思いました。距離は1400mより短い方が良さそうですね。

——ジュナベーラは緩い馬場が気になっていました。

戸崎:馬場は綺麗な方が良さそうですね。ゲートも遅れて、外枠もあって、道中も遅かったのでポジションをあげていきましたが、踏ん張れなかったですね。左に張るところもあって、現状は左回りの方が走りやすそうです。

——ジッピーチューンはペースが流れましたが、着差もつけて勝利しましたね。

戸崎:返し馬での集中力が散漫で、まだまだ変わってきそうですが、レースに行ってからはしっかり走れましたね。最後まで足取りもしっかりしていたので、今後が楽しみですね。

——シャドウメテオは昇級ながら連勝でしたね。

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戸崎:馬場も合っていたのかもしれません。意識せずに内々を通って、ロスなくいけましたね。ただ、馬は良くなっていましたね。クラスが上がっても対応できていますし、楽しみかと思います。

前回なんかは内にモタれていたのが、そんなこともなく、体の使い方も良くなっていましたからね。上でも活躍して欲しいです。

——デコラシオンはもどかしい結果が続きますね。

戸崎:本当にタフで調子を持続していますけど、勝った馬が強かったものの、勝ち切れないのが特徴なのかなと感じます。

——シルトホルンはテン乗りで比較はないと思いますが、減っていたところから馬体重が増えていましたね。

戸崎:はい、そこはスタッフ、先生からも聞いていました。気にせず乗れましたし、重さも感じませんでした。すごく乗りやすいですし、上手に走っていますね。どこでも走ってくれそうな印象ですね。

——一応、先週は節目の勝利でしたね。

戸崎:自分もすっかり忘れてました(笑)。

——レース映像をみていると、あれだけの着差だったわけじゃないですか、それであの挙動だと忘れているんじゃないかなと思いましたね。

戸崎:はい、引き上げてきて言われて気づきました(笑)。

——大台へ残り300を切ってきましたね。

戸崎:本当に一つ一つやっていくだけですが、何とか2000勝は達成したいです!

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——そして、東京大賞典(G1)ナルカミに騎乗されます。

戸崎:強い相手もいるレースになりますが、前走はテンションの高さが顕著に出てしまいました。大井は同じ条件で強いレースをしていますからね。あとはテンションも上がらず、レースを迎えてくれるといいなと思います。

——大井競馬場はパドックから馬場までの導線という点ではすごくシンプルに映りますね。

戸崎:そうですね。そのあたりはポテンシャルがあるので、何とかカバーをしてほしいです。大井なら短い導線ですからね。いいんじゃないのかなと。もちろん前走はダメでしたが、その時のテンションもあるのかもしれないですからね。

——かつて乗っていた馬とも初対戦ですね。

戸崎:展開的には、ゆるくなることはなさそうですが、交流重賞は展開がやりやすくはなるところはありますからね。そういった面でも巻き返してほしいです。

——その後にエキストラ騎乗もないので年内最後の騎乗ですね。

戸崎:東京大賞典はあまり乗る機会がなく、大井(出身)の騎手ながら勝ったことがないレースなのでね。何とか勝ちたい、そういう気持ちもあります。

——今年の更新はこれが最後になると思いますが、今年は色々と露出が増えた一年でしたね。あまり年末っぽい締めにはなりませんが、今年もありがとうございました!

戸崎:ありがとうございました!