騎手時代に約20万人が来場した90年ダービーをアイネスフウジンで逃げ切った中野栄治元調教師が、
独自の視点で重賞の好調教馬を導き出します!
【有馬記念】いざグランプリ!レジェンドの本命はブレず!君がナンバーワンだ!
2024/12/21(土)
当週 美浦ウッド(良) | ||||||
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83.7 | 67.2 | 52.2 | 37.6 | 11.6 | 馬なり |
いやはや…。ドウデュース出走取消のニュースには驚いたね。天皇賞・秋、ジャパンCを連勝して、連覇の懸かる引退レースの有馬記念だった。ファン投票でも歴代最多の票数を獲得したんだろう?
それだけファンも多かっただけにより残念だよね。発表後に友道師が「ファンの方に申し訳ない」と言っていたが、その気持ちも本当に良く分かる。いずれにしても種牡馬になる事は決まっているからね。イイ馬を輩出してほしいな。
有馬記念の予想に入る前に、ちょっと昔話をさせてもらってもいいかな?予想コラム用に取っておいた話があるんだ。
昔…もう50年近く前か。有馬記念でスピリットスワプスという馬に乗った事があるんだ。50年近く前だし覚えている方は少ないと思うけどね。何しろあのトウショウボーイ、テンポイントと同じ時代だから…
実は僕、その時の有馬で"鞭を口にくわえながら"レースに乗ったんだよ。何を言っているの?と思われるかもしれないな(笑)
僕もやる気はなかったんだ。でも父親が大井でジョッキーをやっていた時に鞭を口にくわえて乗ったことがあったらしくて、「お前もやれよ」と言われていてね。
なんでそんなことをするんだって?そんなに大きな意味はない(笑)。ジョッキーは歯が大事って言われていてね。歯が弱いと上手く追えないんだ。それだけ噛む力が重要ってことで口にくわえて乗ったらしい。あと鞭がなくても勝てるよっていう威嚇もあったようだ。
僕もちょっと乗り気で、一度はやってみようかと思ってスピリットスワブスの有馬記念で試したんだけれど、案の定マスコミがウルさかった。今なら騎乗停止だよ(笑)
前置きが長くなってしまったな。ドウデュースの回避関係なく、今週のナンバーワン評価は決めていたんだ。アーバンシック、君がナンバーワンだ。
1週前追い切りは少し動きが重いような気がしたけど、日曜に坂路でビシッと追ったことで今週は実にリズミカルな素晴らしい動きだった、ここまで変わってくるのかと思う雰囲気で、菊花賞の時より更に良くなった感触を受けるね。今一番勢いがあるのがこの馬だ。
次点で評価したいのがスターズオンアース。昨年の2着馬だ。今季はまだ2戦しかしていなくて、前走は8カ月ぶりだったから上積みは当然ある。1週前追い切りは内の馬に併せることで闘志を奮い立たせ、今週は川田君を乗せての実績形式のスパーリング。併せた相手を問題にしない豪快な動きは若々しかった。
ダノンデサイルも良かったよ。菊花賞は不利もあって不完全燃焼だったんだけれど、この中間は伸び伸びと走っていて、菊花賞の時よりも動きが軽くなっている。ダービーでのパフォーマンスを思えば巻き返して不思議ない状態だと思うな。
最後にレガレイラ。これも前走は可哀そうな競馬だった。3歳牝馬って事で人気はなさそうだけど、フットワークの良さが目に付いたし、牡馬相手に揉まれてきただけあって風格があった。これは面白い存在だ。
ジョータルマエ
昇級してからの2戦は5着、3着と詰め切れていないものの、厳しいペースにあたることの多い馬。楽にハナに行ければ現級でも力上位じゃないかな。
プロフィール
【中野 栄治】Eiji Nakano
1953年大分県生まれ、東京都出身。父は大井の元調教師という家庭で育ち、1971年に騎手デビュー。数多くの活躍馬に騎乗し、約20万人が詰めかけた1990年日本ダービーをアイネスフウジンで逃げ切り伝説を作る。1995年には調教師に転身。短距離G1を2勝したトロットスターなどを育て、日本競馬にその名を残した名ホースマン。