騎手時代に約20万人が来場した90年ダービーをアイネスフウジンで逃げ切った中野栄治元調教師が、
独自の視点で重賞の好調教馬を導き出します!
【日経新春杯】昨年は管理馬でV!レジェンドに"目を引く"と言わしめた馬は…
2025/1/18(土)
当週 栗東ウッド(良) | ||||||
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80.6 | 65.2 | 51.2 | 36.7 | 11.4 | 馬なり |
今週はやはり日経新春杯に触れないといけないよね。
なんでかって?昨年、僕が引退前に管理していたブローザホーンで最後に勝った重賞だからさ(笑)
今だから書けるけれど、実は前年の暮れに有馬記念を使いたかった馬だったんだよ。それが京都大賞典でまさかの心房細動になってしまって出走が叶わなくてね。
でも復帰戦の日経新春杯は自信があったんだ。この馬のお母さんのオートクレールも僕が管理していたんだけど、お母さんもヴィクトリアマイルの時に心房細動になってしまって、その後の復帰戦の準オープン(現在の3勝クラス)を5馬身差で圧勝してね。それと被るものがあったんだよ。
だから日経新春杯を勝った時、改めて"血統だなぁ~"とつい思ったよ。しかもお母さんは心房細動からの復帰戦を勝った時が不良馬場でね。道悪を得意としていたから、その後ブローザホーンが雨の宝塚記念を制したのも納得だった。
僕の手を離れてから勝ったのが少し寂しかったけれど(笑)。でも宝塚記念をブローザホーンが勝ったのは嬉しかったな。
ごめんごめん、前置きが長くなってしまった。日経新春杯の話に移ろうか。
今週のナンバーワンはヴェローチェエラだ。3連勝中なんだけれど、この中間の動きはまさにその勢いを感じる動きだった。
折り合いもついて乗り手の指示に従順なところがあるし、重心の低い、軽快なフットワークが目を引くね。元々は重賞でもいいパフォーマンスを見せていた馬だし、川田くんがロードデルレイではなくこちらを選んだのも分かる気がするなぁ。
次点でホールネス。先週CWコースでビシッとやっている分今週は芝コースでも調整程度だったけれど、凄くリラックスして走っていて気分が良さそうな感じだった。500kgを超える大型の牝馬でも、それを感じさせない素軽さがあったよ。
あとはロードデルレイ。今週は坂路で自己ベストに迫る時計が出ていた。いやぁ、力強い動きだったなぁ。復帰後で一番良く見えたね。
最後にタッチウッド。前走、1年7カ月ぶりで勝ったのには驚いた。反動がないかどうかがポイントだったけれど、むしろ上向いているように感じるね。躍動感のある動きで、走りたくてたまらない雰囲気だった。
ガールズレジェンド
前走展開が合わなかったガールズレジェンドの巻き返しに期待してみたい。外にも先行馬がいるけれど、何が何でもハナというタイプではない。3走前にこの舞台で逃げ切った時のような形に持ち込みたいね。
プロフィール
【中野 栄治】Eiji Nakano
1953年大分県生まれ、東京都出身。父は大井の元調教師という家庭で育ち、1971年に騎手デビュー。数多くの活躍馬に騎乗し、約20万人が詰めかけた1990年日本ダービーをアイネスフウジンで逃げ切り伝説を作る。1995年には調教師に転身。短距離G1を2勝したトロットスターなどを育て、日本競馬にその名を残した名ホースマン。