騎手時代に約20万人が来場した90年ダービーをアイネスフウジンで逃げ切った中野栄治元調教師が、
独自の視点で重賞の好調教馬を導き出します!
【セントウルS】中野栄治元調教師の調教診断コラムスタート!レジェンドの読みは"一強"!?
2024/9/7(土)
当週 栗東CW(良) | ||||||
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54.2 | 38.7 | 11.9 | 馬なり |
競馬ラボをご覧の皆さん、初めまして。中野栄治です。今週末から調教診断コラム"ナカノコール!"を連載させてもらうことになりました。ジョッキーとして約25年、調教師として約30年この世界に携わりましたが、55年間で得た経験を皆さんに還元できるように頑張ります。よろしくお願いします。
さて、挨拶はこれくらいにして、早速日曜のセントウルSの推奨馬について取り上げていこうかな。記念すべき最初のS評価はピューロマジック。え、人気だって?これは人気でも逆らえないよ。
全体時計は軽め。予定を3週間延ばした分もう強くやる必要はない。上がり重点とはいえ見た目より時計は出ているし、全体の動きもこの馬が一番だね。デキはかなり良さそうだよ。
そういえばピューロマジックは今年のダービーを勝ったダノンデサイルと同じ安田翔厩舎か。ダノンデサイルは皐月賞を回避しダービーを勝っていたけど、この馬もケガではないとはいえCBC賞回避からセントウルS、なんか雰囲気が似てるなぁ。暑い時期に間隔を詰めているわけではないし、これはイイと思う。
2番目に目に留まったのはサウザンサニーだね。前走は函館への輸送を考慮した仕上げだったかもしれないけど、今回は攻め強化で動きは相当いい。これ人気?僕の手元にある新聞にはあまり印がついてないな。なんでだろう(笑)
お隣のジョウショーホープの動きも目立ってるね。馬体もいいし、この動きなら穴で面白いね。この馬も印が全然ついてないな。
あとは昨年のスプリンターズSを勝ったママコチャ。高松宮記念以来の実戦になるけれど、だいぶ長い間トレセンで調整されていたみたいで、映像を見る限り随分と気持ち良く走っていたねぇ。馬は生き物。気持ち良く走れているかどうかも調教の大きなポイントだと思うよ。
重賞1Rの予想だけだと物足りないって思う読者の方もいるかもしれないから(笑)、こんなコーナーも設けてみたよ。ここでは日曜日のセントウルS以外のレースで面白いと思った逃げ馬を選んでいこうと思う。
狙ってみたいのは中山11R・京成杯オータムハンデのセルバーグだ。今回は距離短縮なんだけど、そもそも唯一の重賞勝ちはマイルでのもの。4走前の小倉大賞典では前半1000m57.2なんていうハイペースで逃げていたようにスピードは豊富。
何より今回は(武)豊くんが騎乗するのが魅力だよね。彼は逃げ馬に乗せると本当に絶妙なペースを刻んでくるんだ。ウチの厩舎にも何度も乗ってもらって、絶妙なペースで逃げて圧勝したこともあった。
開幕週の中山なら多少速いペースで入っても簡単には止まらないはず。ハンデも据え置き57kgならお手頃じゃないかな。名手の技に期待してみたいね。
プロフィール
【中野 栄治】Eiji Nakano
1953年大分県生まれ、東京都出身。父は大井の元調教師という家庭で育ち、1971年に騎手デビュー。数多くの活躍馬に騎乗し、約20万人が詰めかけた1990年日本ダービーをアイネスフウジンで逃げ切り伝説を作る。1995年には調教師に転身。短距離G1を2勝したトロットスターなどを育て、日本競馬にその名を残した名ホースマン。