
騎手時代に約20万人が来場した90年ダービーをアイネスフウジンで逃げ切った中野栄治元調教師が、
独自の視点で重賞の好調教馬を導き出します!
【函館記念】先週のリベンジへ!レジェンドの目を引く弾むような走りを見せた馬は…
2025/6/28(土)
当週 函館ダート(良) | ||||||
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66.8 | 52.3 | 38.7 | 12.5 | 馬なり |
いやはや、悔しい…。
先週の府中牝馬Sの予想コラム、見てくれたかな。一番に取り上げたタガノエルピーダと甲乙つけがたいと思っていたセキトバイーストが勝った上に、A評価馬3頭で決着してしまったんだ…。
競馬だから仕方ないんだけれど、結果的にタテ目決着になってしまったのは悔しいね。この世界は切り替えも大事。気持ちを入れ換えて今週もやっていこう。
今週は函館記念。函館の話は先週もこの場で話したんだけれど、僕がデビュー1971年にも思い出があるんだ。この年、函館で初めてオープン馬に乗せてもらって勝ったんだよ。
騎乗したのはメジロアサマ。天皇賞・春の勝ち馬にして、メジロマックイーンのおじいちゃんだ。当時はオープンでも減量が利いていてね。僕の時は3kg減だった。それでも60kgだったんだけどね。
そういう意味では今のルールでは若手ジョッキーが可哀そうだよ。減量の利く下級条件が主戦場となる傾向が強いから、良い馬に乗る機会が少なくなっている。その分経験値が絶対的に足りていないんだ。
正直、車で言えば軽自動車とベンツほどの違いがある。ずっと軽自動車に乗っている人がいきなりベンツを乗りこなせないでしょう?
実はオープンでも減量が利くように僕もJRAの方に相談したことがあるんだ。ただなかなか難しいようだね…。
ちなみに、北海道では他にも面白い話があるんだけれど、それはまたの機会にさせてほしい。来週の重賞は北九州記念か。来週は小倉の裏話をしちゃおうかな。
本題に戻して、今週の函館記念の予想に移ろうか。ナンバーワンはディマイザキッドだ。
先週末に函館に移動して今週はダートコースで追い切っていたけれど、輸送も無事にクリアして順調にきているね。追い切りでは岩田康誠くんが跨って、弾むような走り。一番目を引いた。ディーマジェスティ産駒は洋芝を得意としている馬が多いし、コースも合うんじゃないかな。
次はボーンディスウェイ。1週前は跨った助手さんとの折り合いが付いていなかったけれど、今週はジョッキーを乗せて上手く折り合いも付いて気分良く走れていた。前走を叩いた上積みは大きそうだよ。
昨年の2着馬グランディアも良かった。成績的にも暖かくなってきてからの方がいいようだね。前走から復調気配が感じられたし、今週は伸び伸びと走れていた。今年も目が離せない。
最後にトップナイフ。これは黒光りしてイイ馬体だよね。今週は芝コースで追い切ったけれど、無駄のないリズミカルな動き。ここで復活しても何ら驚けないね。

ミラーダカリエンテ
福島の芝は開幕週らしく内、前有利だったね。ここも狙いは逃げ馬。ミラーダカリエンテは今回53kgで出走できるのは大きいと思う。ソルトブリーズが58kgという状況だし、5kg差なら粘り込めてもいいんじゃないかな。
プロフィール
【中野 栄治】Eiji Nakano
1953年大分県生まれ、東京都出身。父は大井の元調教師という家庭で育ち、1971年に騎手デビュー。数多くの活躍馬に騎乗し、約20万人が詰めかけた1990年日本ダービーをアイネスフウジンで逃げ切り伝説を作る。1995年には調教師に転身。短距離G1を2勝したトロットスターなどを育て、日本競馬にその名を残した名ホースマン。