騎手時代に約20万人が来場した90年ダービーをアイネスフウジンで逃げ切った中野栄治元調教師が、
独自の視点で重賞の好調教馬を導き出します!
【紫苑S】松本好雄オーナー、ありがとうございました
2025/9/6(土)
| 1週前 栗東CW(良) | ||||||
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| 81.0 | 66.0 | 52.0 | 37.2 | 11.0 | 直線強め | |
今週はやはり"メイショウ"の冠で知られる松本好雄オーナーについて触れなければいけないよね。
僕は新聞を見て初めて知ったんだ。ショックは隠せなかったよ。調教師時代には愛馬を預かっていたこともあって、本当にお世話になったオーナーなんだ。
オーナーがどんな人かって?とにかく馬を愛し、人を愛していた人。僕のような者にも常に低姿勢でお話してくれたことをよく覚えているよ。
それほど回数は多くなかったけれど、東京に来る時は某ホテルで食事しながら一杯やっていたものさ。あと所有馬は北海道の浦河で生まれた馬たちがメインで、牧場に行った時もお世話になったなぁ。懐かしいね。
浦河の馬産地をとにかく盛り上げようと尽力されていたことでも有名だよね。本当に偉大な人だったし、それだけに本当に寂しい。ご冥福を心よりお祈り申し上げます。
さて、話を戻して、今週からいよいよ秋競馬の開幕だ。G1に向けたトライアルや前哨戦が増えることで、ファンの方も盛り上がりを増しているんじゃないかな。
今週は秋華賞のトライアルでもある紫苑Sをやっていこうか。ナンバーワンはリンクスティップ。オークス後に骨折したようだけれど、軽度だったのであまり気にする必要はなさそうだね。
1週前のCWコースでも併せ馬で機敏に反応していたし、ひと回り体も増えて成長もうかがえる。トライアルとはいっても、イキナリやれそうな態勢だと思うよ。
実績でいえばテリオスララは見限れない存在だ。前走は骨折で8ヵ月ぶりの実戦だったし、息遣いも本当ではなかったと思うんだ。その前走を叩いての変わり身が凄くて、札幌の時と比べてもフットワークが素軽くて、ガラリ一変と言ってもいい。
エストゥペンダは復帰初戦を勝って更に状態を上げているね。追い切りでは抑えるのに若干苦労していたけれど、今週のWコースでは直線で手綱を緩めてからの弾け方が凄かった。実戦で溜めが利けば面白い存在だろうね。
最後にケリフレッドアスク。夏にひと叩きしてスイッチが入ったのかな。1週前にはCWコースで3勝クラスの馬を相手に手応えで勝っていたし、今週の坂路でもリラックスして走っていたのが良かった。実績では劣るけど、権利を獲りたい立場だから侮れないと思うよ。
チュウワクリスエス
日曜の狙い馬は札幌9Rのチュウワクリスエスにしようか。この馬、500kg近い大きな馬でワンペースなんだよね。
内枠で控える形だと持ち味が生きないから、内枠を引いた前走のように強引に行くしかない。外枠ならマイペースで行けるから見直せるんじゃないかな。
プロフィール

【中野 栄治】Eiji Nakano
1953年大分県生まれ、東京都出身。父は大井の元調教師という家庭で育ち、1971年に騎手デビュー。数多くの活躍馬に騎乗し、約20万人が詰めかけた1990年日本ダービーをアイネスフウジンで逃げ切り伝説を作る。1995年には調教師に転身。短距離G1を2勝したトロットスターなどを育て、日本競馬にその名を残した名ホースマン。




