騎手時代に約20万人が来場した90年ダービーをアイネスフウジンで逃げ切った中野栄治元調教師が、
独自の視点で重賞の好調教馬を導き出します!
【ローズS】深夜のハプニング!?トライアルの思い出!
2025/9/13(土)
| 当週 栗東CW(良) | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 83.3 | 67.5 | 52.7 | 37.2 | 11.6 | 馬なり | |
先週の紫苑Sに続いて、今週は同じく秋華賞トライアルのローズS。オークスの上位組もいて盛り上がりそうだよね。
若い子たちは知らないかもしれないけれど、昔は牝馬三冠目が秋華賞ではなくエリザベス女王杯だった。そのトライアルとして中山でクイーンSがあったんだ。
僕がこのクイーンSをスーパーファストという馬で勝った時はまだトライアルではなかったんだよね。もう44年前か。
クイーンSを勝った後、エリザベス女王杯を目指して当時、栗東で調整していて、1週前追い切りにも騎乗しに行ったくらい期待していたんだよ。でもその後故障してしまい、出走が叶わなかったのは悔しかったなぁ…。
この馬のオーナーである長島一民さんには生前お世話になっていてね。1週前追い切りにも栗東に一緒に行くことになっていて、前日の火曜日には京都の旅館に泊まって、水曜の3時にタクシーを予約していたんだ。
3時集合なのに夜飲みに行くのが僕の悪い癖なんだけれど、飲み終えて1時間前の2時に旅館に戻ってきたら、オーナーの側近から「君はちゃんとしてるね」って逆に褒められて焦ったよ(笑)
長島オーナーは呉服屋を経営していてね。僕がアイネスフウジンでダービーを勝った時に、お祝いで着物や浴衣を仕立てる前の布地である反物が家に200本届いた時には驚いたなぁ。
なんでこんなにくれたのかと思いオーナーに聞いたら、「関係者に配ってやりなさい」と言うわけだ。懐の深い、人情みのあるオーナーだったね。懐かしい思い出だよ。
では本題に移して、ローズSのナンバーワンはタガノアビーだ。今週のCWコースでは単走だったけれど、大きなストライドでイイ感じに仕上がったね。
タイプ的に使って良くなる馬だし、休み明けを1度使ったアドバンテージは大きいと思うよ。賞金的には何としても権利を獲りたいだろう。それに応えられる状態だと思う。
チェルビアットの1週前追い切りは凄かったね。ルメール騎手を背に負荷をかけてきたけれど、トモの蹴っぱりが力強くて、チップを高く飛ばしていたんだ。距離も問題ないと思う。
あとはパラディレーヌ。首を上手く使ってリズミカルに、そして脚の回転が速かったのが目立っていた。オークスでも差の無かった馬だし、これくらいの距離がイイはずだよ。
最後にミッキージュエリー。3連勝中で、動きにも勢いを感じたな。重心の低いフォームはそれこそアイネスフウジンを彷彿とさせるし、イイ雰囲気。いよいよ試金石も、潜在能力はかなり高いと思うな。
エンペラーズソード
日曜は中山最終のエンペラーズソードを狙ってみようかな。まだ内の状態もいいし、中山マイルは内枠有利だからね。スタートを決めて好位で運べればチャンスがあるんじゃないかな。
プロフィール

【中野 栄治】Eiji Nakano
1953年大分県生まれ、東京都出身。父は大井の元調教師という家庭で育ち、1971年に騎手デビュー。数多くの活躍馬に騎乗し、約20万人が詰めかけた1990年日本ダービーをアイネスフウジンで逃げ切り伝説を作る。1995年には調教師に転身。短距離G1を2勝したトロットスターなどを育て、日本競馬にその名を残した名ホースマン。




