
騎手時代に約20万人が来場した90年ダービーをアイネスフウジンで逃げ切った中野栄治元調教師が、
独自の視点で重賞の好調教馬を導き出します!
【スプリンターズS】騎手人生が変わっていたかも…?レジェンドの思い出のレースの本命は…
2025/9/27(土)
当週 美浦坂路(良) | ||||||
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51.8 | 37.3 | 24.3 | 12.1 | G前仕掛 |
いよいよ秋のG1が開幕するね。翌週には東京開催も開幕するので、もう秋本番といった趣だ。ファンの皆様も盛り上がっているんじゃないかな。
秋シーズンのG1第一弾となるのがスプリンターズS。このレースがG1に昇格したのはバンブーメモリーが勝った1990年から。
これはまだジョッキー時代の話。1978年のスプリンターズSでマイエルフという馬に乗って、メイワキミコの2着に入ったことがあるんだ。4分の3馬身差で当時は悔しかったなぁ。
その頃はまだオープン特別だったんだけどね(笑)。ごめんね、だいぶ昔の話で。でもマイエルフは思い出深い馬なんだよ。
というのも、その翌年のスプリンターズSもマイエルフに乗る予定でいたんだけれど、小島太さんが騎乗停止中で、小島太さんが騎乗予定だったサクラゴッドが僕に回ってきたんだ。
小島太さんは僕の兄貴分。当時は2番手として、小島太さんが乗れない時は僕が乗っていたんだ。そのおかげで良い思いもしてきたけれど、そのスプリンターズSでは大崎昭一さんに乗り替わったマイエルフが3着で、僕のサクラゴッドは6着。まあ、これも巡り合わせだから仕方ないね。
その後10年以上経って、さくらコマースさんの所有馬で強い短距離馬が出てきた。そう、サクラバクシンオーさ。
もしサクラゴッドとかでしっかり勝って、僕が小島太さんの代わりに1番手になっていたら…サクラバクシンオーが勝った93年スプリンターズSは僕が乗っていたかもしれないね(笑)
昔話がここまでにして、話を本題に移そう。スプリンターズSのナンバーワンはトウシンマカオだ。
前走のセントウルSではあくまで先を見据えた仕上げたったように感じたので、どこまで良くなるかなと楽しみにしていたんだよ。
今週の坂路では横山武史騎手が騎乗して、ずいぶん気持ち良く走っていたね。G1ではあと一歩の成績が続いているけれど、体に締まりもあって、凄くイイ雰囲気だった。
スプリントG1春秋連覇を狙うサトノレーヴも良かったよ。先週は変則日程で金曜に速い時計を出していたけれど、今週もモレイラ騎手を背に、気負いもなくゆったりとした動きで、キッチリ仕上げてきた。当然、連覇を狙える状態だと思うな。
ルガルは昨年の覇者だね。その後は精彩を欠いているけれど、この中間の動きは良かったよ。1~2週前には坂路で51秒台をマークしているように、この時点で仕上がっている感じ。
今週は息を整える程度とはいえ上がりも速かったし、リズムに乗ってバランスの取れた走りは完全復活を思わせるものだった。
最後にナムラクレア。G1では常に惜しい競馬をしている馬だ。6歳の牝馬なので何とか勲章がほしいところだろう。
それもあってか今回がラストチャンスと言わんばかりの猛稽古を積んできたね。1週前には坂路で49秒台を叩き出している。落ち着いているのが何よりだし、力強い捌きが目を引いた。チャンスはあるはずだよ。

ショウナンサムデイ
日曜の狙い目はこの馬。北海道シリーズで馬が良くなるパターンは昔からあるけれど、完全に軌道に乗っているね。春とはまるで別馬のよう。いい枠だし、今回はチャンス十分だと思うよ。
プロフィール
【中野 栄治】Eiji Nakano
1953年大分県生まれ、東京都出身。父は大井の元調教師という家庭で育ち、1971年に騎手デビュー。数多くの活躍馬に騎乗し、約20万人が詰めかけた1990年日本ダービーをアイネスフウジンで逃げ切り伝説を作る。1995年には調教師に転身。短距離G1を2勝したトロットスターなどを育て、日本競馬にその名を残した名ホースマン。