騎手時代に約20万人が来場した90年ダービーをアイネスフウジンで逃げ切った中野栄治元調教師が、
独自の視点で重賞の好調教馬を導き出します!
【スプリンターズS】実際このレースを勝ったレジェンドが選ぶ"最も順調な馬"!
2024/9/28(土)
当週 栗東坂路(良) | ||||||
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53.5 | 39.2 | 25.7 | 12.2 | ゴール前仕掛 |
この馬が一番順調に来ていると思うよ。蹄の不安で京王杯SCこそ回避したようだけど、その後のケアも上手くいったんだろうね。
セントウルSの時は正直まだ太かった。それもあって直前の坂路では終いビシッと追ったんだけど、今回は同様に前に馬を置いて軽く仕掛けただけで一杯に追う相手を子ども扱いだ。
前走時よりも我慢が利いているし、体もスッキリしているね。明らかに動きは素軽くなっているし、馬が完成している印象を受ける。
余談だけど、俺もスプリンターズSは勝っているんだよ。2001年に管理馬のトロットスターでね。知ってる?若いファンは知らないか(笑)。
あの時は4番人気だったんだけど自信があったんだ。3連勝で高松宮記念を勝った後に安田記念を使ったんだけど、疲れもあったか体を減らしてしまってなぁ…。
そこから立て直していい雰囲気に戻っていたんだ。会心の勝利だったね。体重を戻したこと、成長分もあって安田記念から+24kgという馬体重で、マスコミの皆さんからは散々「太い、太い」って言われたのをよく覚えているよ(笑)
マッドクールもいいね。プールを併用して本数もこなしていい仕上がりだ。直前の坂路は相変わらず掻き込みが力強くてパワフル。今回も海外帰りだけど、何より高松宮記念とは中間の過程が違う。
高松宮記念の前は脚元を気にしていた時期があって、乗り出しが遅れた経緯があったそうだね。それでも勝っちゃうんだから厩舎もよく仕上げたと思うし、その時よりも順調だよ。
ナムラクレアもいいよ。1週前にビシッと追って今週は予定通りの馬なり調整。先週の坂路では追ってから加速が今イチに見えたんだけど、今週は馬なりでスムーズだった。上がり重点で終いは鋭いし、イイ時の気配にある。
もう1頭挙げるとしたらサトノレーヴだ。1週前は舌がハミを越していて少し重い感じがしたんだよな。ただ今週は相手に併せる形でも集中して気分良く走れている。レーン騎手が直前にコンタクトを取ったのも良かった。いい形で臨めそうだよ。
ウンガイソウテン
前走中山ダート1800mの1勝クラスを1.52.6の好タイムで逃げ切った馬だ。翌日の同条件1勝クラスの勝ちタイムが1.53.4だから、ウンガイソウテンの内容の良さが目立つ。
逃げ馬の昇級戦というのは周りもテンが速くなるから難しい部分もあるんだけれど、フルゲート割れで極端に速い先行馬がいないここは再度先手を奪えるんじゃないかな。昇級戦でも狙いたいね。
プロフィール
【中野 栄治】Eiji Nakano
1953年大分県生まれ、東京都出身。父は大井の元調教師という家庭で育ち、1971年に騎手デビュー。数多くの活躍馬に騎乗し、約20万人が詰めかけた1990年日本ダービーをアイネスフウジンで逃げ切り伝説を作る。1995年には調教師に転身。短距離G1を2勝したトロットスターなどを育て、日本競馬にその名を残した名ホースマン。