北村宏司

オーシャンS(G3)でキングハートを勝利に導いた北村宏司騎手

●癖を掴んだ相棒に初重賞のタイトルをプレゼント!

東北出身とはいえ寒がりで末端冷え症に苦しむ検量室前パトロール隊員にとって、ここ3ヶ月は苦痛以外の何物でもなかった。ところが先週土日は気温も急上昇。実に過ごしやすく、冬眠から覚めた熊のごとく検量室前を徘徊していた。

そんな中、土曜のメインレースであるオーシャンステークス(G3)を勝ったのはキングハート(牡5、美浦・星野厩舎)。管理する星野忍調教師にとっては12年日経賞を単勝167倍のネコパンチで制してアッと言わせた日経賞以来、6年ぶりの重賞制覇だった。終始にこやかな表情で久々の重賞制覇の味を噛みしめる姿は非常に印象的だった。

そのキングハートを1着に導いたのが、北村宏司騎手である。今年でデビュー20年目、関東を代表する名手として存在を確立させている。これまで4着、2着だったキングハートとのコンビで臨んだ今回は「ちょっとズルいところがあるので、そういう面を出さないように(直線で他馬に)併せていきました」と語るように、癖を掴んだ上での好騎乗。早くから素質を見せていたものの、脚元の不安もあり紆余曲折あった『相棒』に初重賞のタイトルをプレゼントした。

「相手なりに走れる馬なので期待していましたし、勝てて良かったです。上手くいきましたね。今後も無事にいってくれればいいなと思います」と、この先に続くビッグレースへ向けて気持ちを新たにする。

●2週連続でチャンス!相性の良さを武器に挑む

そんな北村騎手は、今週の中山牝馬ステークスフロンテアクイーン(牝5、美浦・国枝厩舎)とコンビを組む。前出キングハートは6度目の重賞挑戦の末の戴冠だったが、フロンテアクイーンはここまで重賞挑戦すること9回。2着3回、3着1回と惜しいレースが続いている。「惜しいレースが続いていますが、馬はよく頑張ってくれていますよ」という北村騎手とはこれまで(1.3.1.2)と好相性を誇っている。これについて「相性がいいかは分かりませんが、ちょうど馬が良くなっているタイミングで乗せてもらっていますからね」と語りつつ、「今週も追い切りに乗りましたが順調でしたし、このままレースにいってくれればと思います。頑張りたいです」と翌週に控えるレースに向けて気合を込める。

北村宏司

レースで初コンビとなった初音Sでは圧巻の勝ちっぷりを披露した

昨年の中山牝馬ステークスでは中団からレースを進めるも、8着に終わった。「あのレースはうまく運べなかったですね。外枠もあったし、それ以外の部分もうまくいきませんでした」と当時を振り返る。ただそれでも1着とは0.3秒差。力のあるところを見せていた。

あれから1年。6戦使って、崩れたのはG1ヴィクトリアマイルだけと更に安定感を見せているが、その原因について「レース前に落ち着きを欠くところがある馬でしたが、馬に落ち着きが出てきましたね」と分析する。初重賞タイトルはもう目の前に迫っていると言っていいだろう。

そんな北村騎手は来月、4月2日(月)、渋谷の東京カルチャーカルチャーで行われる競馬ラボ主催のイベント、競馬ラボpresents「生うまトークサミットvol.7~馬券攻略本出しちゃいますSP 春が来た!アンカツ&山本昌も来た!桜花賞・皐月賞クラシック大トークショー祭り~」の第2部・ジョッキートークショーにゲストとして出演することが予定されている。競馬ラボのイベントに初出演となる今回。「僕も初めて出るのでどんな感じか分かりませんが、楽しめたらいいなと思いますのでよろしくお願いします」と来場者へ笑顔でメッセージを送った。

皐月賞を2週間後に控えるタイミングでのイベントだけに、オウケンムーン(牡3、美浦・国枝厩舎)との秘話も飛び出す可能性も十分。当日はぜひ、生でそのエピソードを聞きに渋谷へ足を運んでいただきたい。

なおこのイベントの第一部には検量室前パトロール隊員も出演する。検量室前での秘話ももしかしたら飛び出す…かもしれない。