競馬YouTuberとして一躍名を挙げ、各媒体に引っ張りだこの佐藤ワタルが、地方&海外レースを展望。若くして人並み外れた知識量、分析力を披露する。
【中京記念】血統ドンピシャ!馬場と枠を味方に逆襲だ
2018/7/21(土)
何とも情けない負け方だった。昨日7月20日(金)の、我らが阪神タイガースの負け方である。横浜DeNAベイスターズとの3連戦初戦で、3-10と完敗を喫した。しかも試合会場はなぜか阪神が異様に強い横浜スタジアム。得意の舞台でこの大敗、もはやシーズンオフである。今年も短いシーズンだった。また来年の阪神タイガースに期待することにしよう。
そんな文章を今、福岡・博多で書いている。福岡も東京に負けず劣らず暑い。ニュースは先日の豪雨被害から、酷暑の話題が増えてきた。なんと、日曜の福島の最高気温は38度、名古屋の最高気温は36度だという。この暑さは人はもちろんのこと、馬にも厳しい。7年前の小倉記念のレース後、出走したヤマニンウイスカーが熱中症で倒れたように、馬も命がけ。ただただ、事故が起きないことを祈る。
土曜は中京12Rで推奨したキャッチミーアップが3着と頑張ってくれたが、全体的には不本意な成績に終わってしまった。暑さに負けず、日曜の競馬も頑張りたいところだ。
ただし日曜の3場メインレースはどれも難しいレースばかり。一番難解なのが中京記念。人気の読みにくいメンバーに加えてハンデ戦という難易度S級のこのレースは◎ロジクライで行く。前走マイラーズカップは前半3F33.9秒という厳しい流れを逃げて7着に敗れたものの、敗因は明白。このレースと相性の良いトニービンを持っており、開催後半の芝にも対応可能だ。土曜の中京芝は外枠の先行馬に向いた馬場でもあり、枠にも恵まれた今回は巻き返してくるのではないか。
中京得意のリライアブルエースも有力。最終週とはいえまだ内の芝が使えているだけに、ロスのない競馬ができれば一発が期待できる。穴で面白そうなのはミエノサクシード。元々はワンターンのコースで差す競馬をしていたが、前走のマーメイドSはそれまで実績のなかった一周コースで先行し、4角4番手から流れ込むという今までにない競馬を見せた。距離短縮は歓迎。少々枠が外すぎる部分がどうかも、展開がかみ合えば差し込めるだけの力はある。
もう1つの重賞、函館2歳Sは◎トーセンオパールで攻めてみたい。1200mとはいえ、新馬を勝ち上がったばかりの馬たちが2戦目で行きっぷりが良くなり競り合うようになることから、ペースが速くなりやすい。持続力が問われてくるだろう。トーセンオパールは伯父に菊花賞馬オウケンブルースリがいる、持続力に優れた一族出身だ。
何より注目したいのは父と母父の組み合わせ。父スウェプトオーヴァーボード、母父ダンスインザダークは、2012年に5番人気ながら2着に好走したコスモシルバードと同じ。翌2013年に8番人気ながら3着だったトーセンシルエットは、父トーセンダンス、母父スウェプトオーヴァーボード。トーセンダンスの全兄がダンスインザダークであることから、ひっくり返したような組み合わせだ。トーセンオパールの血統も要注意なのである。
しかもこの3頭の共通点は馬番が6番以内であること。どうしても内枠が有利になりやすいレースだけに、2枠4番は絶好枠と言える。もちろん初戦でしっかり揉まれていないことから、削られた場合どうかというネックはあるものの、それを踏まえても楽しみである。
2歳夏から活躍したアイリスモレアを母に持つカルリーノ、早い時期から走るストームキャット系のアスターペガサス、そして配合的にも芝向きの可能性がある門別所属のレコードチェイサーあたりを上位評価してみたい。
福島テレビオープンも難解。血統的にはテオドールが良さそうだが、距離延長で掛かる可能性がある。そこで◎ミュゼエイリアン。楽に先行できそうなメンバー構成に加え、父がロベルト系のスクリーンヒーロー、母父がキングマンボ×サドラーズウェルズのエルコンドルパサーとパワーあふれる組み合わせで、福島の最終週の芝は合いそうだ。少々内ラチ沿いが良くないだけに、進路取りさえ気を付ければ足りるだけの力はある。
平場からは福島7R・3歳未勝利の◎ヤマニンフォルツァ。デビューから9着、5着と今一歩の成績が続いているものの、どちらもダートでの着順。半兄ヤマニンボワラクテは芝で5勝を挙げ、この舞台の福島民報杯では3着に食い込んでいる。弟も芝向きの可能性が高いだけに、芝替わり一発目から積極的に狙ってみたいところだ。
おまけにもう一頭。中京8R・3歳上500万下の◎カレンガリアードを推す。前走のわらび賞(新潟ダート1800m)では1着から4.7秒の差をつけられて9着と大敗したが、これがこの馬の力ではないだろう。2走前に1800mから1400mに距離短縮した際は最後までしぶとく粘って5着だったように、集中力が足りないタイプ。距離短縮が合っていると推測できる。思えば兄のカレンジェニオも似たようなタイプで、最初は中距離で走っていたものの、歳を重ねて短距離路線で走るようになった。調教もよく動いており、調子も悪くなさそう。人気もそれほどないだけに、楽しみはある。
プロフィール
佐藤ワタル - Wataru Sato
1990年山形県生まれ。アグネスフライトの日本ダービーを偶然テレビで観戦して以降、中学生、高校生、大学生と勉学に勤しむ時期を全て競馬に費やした競馬ライター。『365日競馬する』を目標に中央、地方、海外競馬の研究を重ねている。ジャンルを問わない知識は、一部関係者に『コンビニ』とまで評されている。早稲田大学競馬サークル『お馬の会』会長時代に学生競馬団体『うまカレ』を立ち上げたり、北海道の牧場などに足繁く通うなど、若手らしい行動力を武器に、今日も競馬を様々な角度から楽しみ尽くしている。現在はサラブレ、一口クラブ会報などでも執筆中。血統派で大の阪神ファン。甘党でもある。