一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
世界の名手との対戦が楽しみです
2019/11/21(木)
先週はコスモカレンドゥラ(2人気)でやっと勝つことができました。初めて乗せていただきましたが返し馬から落ち着いていて文句なしの気配。レースに行って立ち回り上手で追ってからもしっかり。最後は2着馬に出られていたのですが、それを根性で差し返してくれて、本当に頭が上がらない内容でした。マイネルチューダ(4人気3着)は気持ちが前向きになってきたので、距離を詰めたのが良かったと思います。一戦毎に走れる態勢が整ってきており、改めて次走が楽しみです。
この土曜は東京で7鞍に騎乗します。2Rのマイネルアルモニコの初戦は立ち回りも良く頑張ってくれました。大きな馬ではないので上積みがポイントでしょうが、競馬慣れの分でもう一歩の前進を見込んでいます。3Rのコスモクウはまだハミを取ったり取らなかったりがありますが、2戦目は終いの脚がしっかり。競馬を覚えてくれば1ハロン延長するのも良さそうなので、持っている力を発揮できれば好勝負です。
9Rのコスモインペリウムは札幌2歳Sから間隔を空けての初ダート。気が良くて仕上がりは早そうで、血統的にダートは向くはず。ここでもいい競馬になるのではないでしょうか。11Rのアンノートルの前走は重賞で相手が強く、14キロ増で久々という部分もありました。この中間は先週、今週と追い切りに乗せていただき、使われた分の上積みを感じています。少し時計がかかるような馬場も歓迎で、巻き返しに力が入る一戦です。12Rのスペキュラースも馬場がマッチしてくれそう。競馬が上手な馬なので、枠順が出てから展開を研究して前進を見込みたい。
日曜も東京で7鞍に騎乗します。1Rのマイネルピカソの初戦は返し馬の感触は良かったのですが、競馬に行くと気を使ってか全くハミを取らず。競馬を理解してくれれば、もっともっと走れそうな雰囲気を持っています。6Rのムーンロードは半年近い休み明け。地方に移籍して勝ち上がってきた馬でもあり、次に繋がるレースを第一にと考えています。
8Rのコスモインザハートの2走前は東京の同クラスで目途が立つ内容。重賞で乗せていただくなど思い入れある馬でもあり、久々の騎乗を楽しみにしています。9Rのマイネルキャドーは体質が弱く骨折で間隔が空いていますが、初めてのダートは合いそうなイメージ。休み明けの分がどう出るかだと思います。10Rのプレミオテーラーは相性の良さを感じる馬で道悪も得意。3走前のように自分のリズムで走らせることができれば、定量戦でも差のない競馬ができるはず。
今週は水曜夜に毎年恒例のBunkamuraオーチャードホールで葉加瀬太郎さんのコンサートに行ってきました。もはや感想を語るまでもないのですが、東京最終週に向けて力をもらい気持ちが高ぶっています。そして、ファン同様に僕達も楽しみにしているのがデットーリ騎手の来日。追い方、動かし方がまず格好良くて、あの綺麗なフォームは憧れです。一緒のレースに乗れること自体が幸せで、色々と勉強させてもらいたい。世界のトップジョッキーが一堂に集結し、凄いレースが繰り広げられるので、とりわけJCウィークはファンの皆さんにも競馬場に来ていただきたいと思っています。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。