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ヴォージュ

(牡6、栗東・西村厩舎)

ナカヤマフェスタ
ギュイエンヌ
母父タニノギムレット
通算成績25戦7勝
連対時
平均馬体重
511kg (最高:522kg)
(最低:502kg)
前走時馬体重518kg
POINT
前走時で518キロの馬体重が示すように、見た目から筋肉質なガッシリとした体型をしている。ステイヤーは全体的に細身な造りの馬が多い中、この馬は3000mの万葉Sを勝っているとはいえ、長距離馬らしい形ではない。重厚感のある体付きで、スピードよりもパワーで勝負するタイプと言っていいだろう。起き型の蹄で、繋ぎも短く立ち気味。高速馬場よりもある程度時計の掛かる馬場が合うと見ている。天皇賞(春)は長距離レースながらスピードも問われるため、どこまで対応できるか。一雨降って道悪になるようなら評価を上げたいところ。キャリア26戦の6歳馬だが、筋肉にもしっかりと張りがあって若々しく、充実期を迎えている印象。肋骨が薄っすらと浮き上がっているように、1週前の時点でキッチリ仕上がった。
今週のイチオシ

エタリオウ

(牡4、栗東・友道厩舎)

ステイゴールド
ホットチャチャ
母父Cactus Ridge
通算成績10戦1勝
連対時
平均馬体重
464kg (最高:472kg)
(最低:450kg)
前走時馬体重466kg
POINT
前走時の馬体重が466キロ。ずば抜けた馬格の持ち主では無いものの、骨格に対して付くべきところに筋肉が付いている。四肢もスラッと長く見せているため、立ち姿は数字以上に迫力がある。骨格・筋肉の付き方を含めた全体の雰囲気として13、14年に当レースを連覇したフェノーメノを一回りコンパクトにしたようなところがあり、3歳になってから2400m以上のレースを一貫して使われているが、中距離にも対応できる素軽さを感じさせる。高速決着になっても対応可能と見ていて、天皇賞(春)への適性は高いと見た。キ甲の辺りを見てもまだ背丈は伸びそうで、成長真っ只中といった印象も、現状の完成度でも好勝負できるポテンシャルの高さを秘めた馬。菊花賞時が素晴らしいデキだったが、その時と同じくらいの好仕上がりと言っていい。
今週のイチオシ

カフジプリンス

(牡6、栗東・矢作厩舎)

ハーツクライ
ギンザフローラル
母父シンボリクリスエス
通算成績27戦4勝
連対時
平均馬体重
517kg (最高:528kg)
(最低:510kg)
前走時馬体重528kg
POINT
父ハーツクライ譲りの胴が長い体型をしており、四肢もスラッと見せている。中長距離向きの骨格をしており、距離延長も苦にしないだろう。前走時で528キロと長距離馬の中では大柄で、バランスが良いために重苦しさは感じさせないが、全体に迫力のあるがっしりとした肉付き。筋肉量も豊富で、素軽いスピードを発揮できる体型と言える。時計の速い新潟記念で3着した実績もあり、高速決着になりやすい当レースへの適性は高い。特筆すべきは馬体の張り。前回の立ち写真と比較すると明らかに良化していて、下腿部には血管が網目のように浮き上がっている。筋肉の陰影もより明瞭になってきた印象があり、使いつつ状態は上向き。好仕上がりで注目の1頭。

クリンチャー

(牡5、栗東・宮本厩舎)

ディープスカイ
ザフェイツ
母父ブライアンズタイム
通算成績14戦3勝
重賞勝利 18年京都記念(G2)
連対時
平均馬体重
480kg (最高:486kg)
(最低:476kg)
前走時馬体重494kg
POINT
肩周り、トモに立派な筋肉が付いていて、骨格もがっしりとした体型。中長距離を主戦場としている馬の中では、全体的に重厚感のある、パワーで勝負するタイプの馬と言えるだろう。蹄の角度も立ち気味で、道悪・荒れ馬場のような時計の掛かる馬場状態も問題なくこなす。パワー寄りの馬体構造も含め、時計はやや掛かって欲しいクチ。昨年の当レースで3着しているものの、勝ち時計はCコースで行われるようになった近7年(いずれも良馬場)で最も遅かった。高速決着になった場合、どこまで対応できるかがカギになるだろう。腹袋が大きいため太めに映るのはいつものこと。ただ今回の立ち姿に関しては、過去の立ち写真と比較しても立派に見せている。もう一絞りあっても良い。馬体の張りは前回の立ち写真よりも上回っている印象だ。

グローリーヴェイズ

(牡4、美浦・尾関厩舎)

ディープインパクト
メジロツボネ
母父スウェプトオーヴァーボード
通算成績7戦3勝
重賞勝利 19年日経新春杯(G2)
連対時
平均馬体重
442kg (最高:454kg)
(最低:432kg)
前走時馬体重454kg
POINT
前走の日経新春杯時は自己最多馬体重だったが、それでも454キロと牡馬の中でも小柄なタイプ。それでも3歳春の立ち写真と比較して明らかに肩周りやトモの筋肉はパワーアップしており、まだ成長の余地を残している。素軽い身のこなしから生み出される瞬発力が武器で、高速決着にも対応可能。全体的に筋肉の付き方はなだらか。肉付きは長距離馬らしいと言えるが、胴や脚は決して長いタイプではなく、本質的には2000~2400m辺りがベストの馬になるだろう。ただ天皇賞(春)は純然たるステイヤーでなくとも好走できるので、距離適性に関して評価を下げる必要は無い。前走時よりも腹周りはスッキリした印象があり、今回当日に大きく増やして来ることはイメージしづらい。1週前にして仕上がっている印象だ。毛艶も黒光りして体調も良さそうだ。

チェスナットコート

(牡5、栗東・矢作厩舎)

ハーツクライ
ホワイトヴェール
母父クロフネ
通算成績20戦4勝
連対時
平均馬体重
454kg (最高:458kg)
(最低:450kg)
前走時馬体重468kg
POINT
胴長な体型の馬が多いハーツクライ産駒だが、成長とともに全体に肉付きが良くなってきたため、以前よりも胴が詰まって見えるようになってきた。昨年5着と善戦してはいるものの、本質的に距離適性は中距離にあると見ている。前脚をスラッと長く見せており、跳び自体も綺麗なタイプであるため、持ち時計こそ無いが良馬場での高速決着にも十分対応できるのでは無いだろうか。距離は幾分長い印象も、このレースで求められる要素は満たしている。完成度に関しては今年の方が当然上回っているのだが、毛艶や馬体の張りに関しては昨年の方がよく見えた。前走との単純な比較はできないが、ピークの出来と言ったイメージではない。それでも下腿部には血管が浮き始めているので、この1週間で変わり身があれば。

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パフォーマプロミス

(牡7、栗東・藤原英厩舎)

ステイゴールド
アイルビーバウンド
母父タニノギムレット
通算成績17戦7勝
重賞勝利 18年アルゼンチン共和国杯(G2)
18年日経新春杯(G2)
連対時
平均馬体重
450kg (最高:454kg)
(最低:438kg)
前走時馬体重460kg
POINT
父ステイゴールド、母アイルビーバウンドが共に小柄な馬のため、この馬も牡馬の中では平均よりもやや小さめ。年齢的なことも考慮すると、現状が成長のピークと考えて良いのでは無いだろうか。決して見栄えする馬格ではないものの、肩周り、トモの筋肉には陰影が浮かび上がっているように、相変わらず馬体の張りは抜群。全体の骨格に対して背中が長く、クラシックディスタンスを得意としているのも納得。3000mは気持ち長い印象もあるが、心肺機能は高い馬なのでこなせると見た。飛節の折りは父譲りか深めで、瞬間的に速い脚を使うこともできる器用さがあり、その素軽さから発揮できるスピードの絶対値も高い。天皇賞(春)では器用さも求められるので、この馬体構造はプラスに働きそうだ。肋骨も薄っすら浮き上がり、ムダ肉の無い万全の仕上がりでレースを迎えられそうだ。

フィエールマン

(牡4、美浦・手塚厩舎)

ディープインパクト
リュヌドール
母父Green Tune
通算成績5戦3勝
重賞勝利 18年菊花賞(G1)
連対時
平均馬体重
482kg (最高:488kg)
(最低:476kg)
前走時馬体重480kg
POINT
父ディープインパクトから遺伝したと思われる斜尻直飛。真っ直ぐな飛節「直飛」は長く良い脚を使える造りと言えるが、その一方で小脚を使うという観点では折りの深い「曲飛」に軍配が上がる。このレースは勝負どころで器用な立ち回りが要求されるため「曲飛」の馬が活躍する傾向にあるが、この馬はレースぶりを見ても終始外目を回すことが多く、割と大味な競馬をする傾向にある。中距離にも対応出来るスピードを秘めているため軽視は出来ないが、長く脚を使える長所を引き出す騎乗が必要になるだろう。天皇賞(春)は基本内枠有利だが、この馬に関してはスムーズにレースを運ぶため、内過ぎない方が良いのかもしれない。背中には銭型が出ており、代謝の良さを感じさせる。アップで見ると全身に血管が浮き上がっていて、馬体の張りは抜群。デキに関しては文句なし。

メイショウテッコン

(牡4、栗東・高橋忠厩舎)

マンハッタンカフェ
エーシンベロシティ
母父Lemon Drop Kid
通算成績11戦5勝
重賞勝利 19年日経賞(G2)
18年ラジオNIKKEI賞(G3)
連対時
平均馬体重
493kg (最高:510kg)
(最低:482kg)
前走時馬体重510kg
POINT
背中~腰のラインは父と似ており、胴長で四肢もスラッと見せている長距離体型。神戸新聞杯~菊花賞辺りでは全体にシャープな印象を与える筋肉の付き方をしていたが、日経新春杯の前辺りからふっくらとした形に馬体が変化してきており、短期間での確かな成長を感じさせる。実際に馬体重も近2走合計で12キロと増えており、完成度が高まってきた印象だ。1800m戦を押し切るスピードもあり、高速決着への適性も悪くはなさそう。ただ、500キロを超える大型馬で四肢が長いことから、あまり器用なタイプとは思えない。気性的な難しさもあり、自分の競馬に持ち込むことが出来るかが最大のカギと言って良いだろう。ただ肩周りや前腕、後肢の下腿部には太い血管がハッキリと確認出来る。馬体の張りは素晴らしいの一言。前走との比較はできないが、間違いなくデキは良い。
今週のイチオシ

ユーキャンスマイル

(牡4、栗東・友道厩舎)

キングカメハメハ
ムードインディゴ
母父ダンスインザダーク
通算成績10戦4勝
重賞勝利 19年ダイヤモンドS(G3)
連対時
平均馬体重
483kg (最高:492kg)
(最低:476kg)
前走時馬体重484kg
POINT
キングカメハメハ産駒は父譲りの筋肉量豊富な馬が多いため、自然と長距離向きの馬は少なくなるのだが、この馬は骨格に対して胴周りがゆったりした造りをしている。ムダ肉の少ない筋肉の付き方をしているからか、馬体重以上にシャープな印象があり、文字通りステイヤーといった雰囲気。恐らく、母父のダンスインザダークが強く出ているモノと推測する。ただ、トモの筋肉は父に似て立派なモノを持っており、血管が網目状に浮き上がっていて素晴らしい張りを見せている。スピード決着になっても十分こなせると見た。キ甲の辺りを見てもまだ背丈が伸びそうな印象で、今後良くなる余地を残しつつもこの馬体、ポテンシャルは相当に高い。今回が初の立ち写真で前走時との比較は出来ないが、お腹周りもスッキリとして1週前の時点でほぼ仕上がっている。

リッジマン

(牡6、栗東・庄野厩舎)

スウェプトオーヴァーボード
アドマイヤモンロー
母父Caerleon
通算成績24戦5勝
重賞勝利 18年ステイヤーズS(G2)
連対時
平均馬体重
443kg (最高:452kg)
(最低:426kg)
前走時馬体重444kg
POINT
短距離馬が多いスウェプトオーヴァーボード産駒の中では異質な存在。父の産駒にしては骨格に対し胴周りにゆとりがあり、四肢も長く全体に素軽い印象がある。長距離をこなしても不思議無い体付きだ。ただ純粋なステイヤー体型ではなく、2~3歳時には短い距離でも結果を出しているので、スピード勝負にもある程度は対応可能できるのだろう。ステイヤーズS勝ち馬は当レースと相性があまり良くないが、秘めているスピード能力が目覚めれば…全くこなせないとも言い難い。いずれにせよ胸の角度が深いため、心肺機能は高そうだ。トモに大きなスジが浮き上がっているように、馬体の張りは上々。前走時も毛艶・馬体の張り良く仕上がっていたが、今回も良い意味で大きく変化せず良い状態をキープしている。一度使って息も出来上がったはず。状態に関しては問題なし。

ロードヴァンドール

(牡6、栗東・昆厩舎)

ダイワメジャー
ジャズキャット
母父Storm Cat
通算成績24戦4勝
連対時
平均馬体重
487kg (最高:504kg)
(最低:468kg)
前走時馬体重498kg
POINT
ダイワメジャー産駒らしく筋肉量・骨量共に豊富な馬で、全体的にがっしりとした体型の持ち主。シルエットのイメージからやはり2000mくらいがベストといった雰囲気だったため、3000mの阪神大賞典で3着に粘り込めたことには驚いた。ただやはり骨格的にも筋肉の付き方も、長距離がプラスに働くタイプとは思えない。ある意味、前走で心肺機能の高さを見せつけたとも言える。筋骨隆々の体はパワータイプの印象があり、時計はある程度掛かった方が良さそう。脚元には前回の立ち写真では見られなかった、接着装蹄の痕が見られる点は覚えておきたい。毛艶、馬体の張りはさすがにピークといった雰囲気では無いものの、肩周りの筋肉を見ても血管が浮いており、仕上がり自体は良さそう。自分の競馬ができるかどうかだ。
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