競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【阪急杯・解説】4角の脚色が違った!スマートオーディンが完全復活か!!
2019/2/26(火)
19年2/24(日)1回阪神2日目11R 第63回 阪急杯(G3)(芝1400m)
- スマートオーディン
- (牡6、栗東・池江寿厩舎)
- 父:ダノンシャンティ
- 母:レディアップステージ
- 母父:Alzao
阪急杯(G3)の結果・払戻金はコチラ⇒
昨年の覇者、ダイアナヘイローが外枠からダッシュを利かせて前に出る。意外と内から主張する馬がなく、完全なる一人旅。前半3Fが34.4と、これ以上ない平均ペースに持ち込む。だが3F過ぎから1頭だけ脚色の違う馬がいた。スマートオーディンだ。
最後方から、馬群から少し後ろを進んだスマートオーディン。あと600のハロンから馬群の外を上がって行く。直線もそのまま勢い衰えず、最後はダイナミックにレッツゴードンキの傍を駆け抜けて行った。ロジクライが終いの脚で3着へ。ダイアナヘイローは坂を上がったところで止まってしまった……。
開幕週である。芝は青々としている。土曜と違って、今日は風もそんなになくアゲインストにはなっていない。
外枠からスッと内へ切れ込んでいくダイアナヘイロー。難なく内ラチ近くまで行ける。最初の1Fが12.3で、次が10.9。ここらは許容範囲であろう。2番手のラインスピリットの行きっぷりがもうひとつ。絡まれずに、そのまま1馬身の間隔で11.3の同じラップを刻んで行く。あと200のハロン棒を過ぎたあたりまでは完璧だった。ただそこでレッツゴードンキが並んで来た時に、意外にも脚がもう残っていなかった。
いいタイミングで前を捕らえたレッツゴードンキ。セーフティリードだったはずである。ところがそこへ強襲したのがスマートオーディン。大外から凄い脚で上がってきたが、最後は内へと少し切れ込んで来た。レッツゴードンキの1馬身外ぐらいまで迫って、なお先へと行く。レッツゴードンキの心境は如何に。勝ったと思った瞬間に交わされた馬の気持ちはどうなんだろうか。
火曜朝に梅田師に聞いた。『あんな脚を使うなんて…、勝ちパターンだったのに。ええ、高松宮記念に行きます』と苦笑していた。
坂路上の調教師室で池江師に聞いた。『金杯で負けたけども、コンマ4ぐらいでいい脚を使ってましたからね。ジッとして終い脚を生かす競馬で、3Fから上がって行く脚が良かったですね。高松宮記念には使いません。京王杯あたりになると思いますよ』との事だった。 脚元で2年も休んだスマートオーディンである。マイル前後の距離でと進路が定まった。一戦一戦が勝負なのは間違いなく、出走する毎に注目しないといけない馬だろう。
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。