競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【皐月賞・解説】サートゥルナーリア、長い審議にヒヤリもキッチリと勝つ!
2019/4/16(火)
19年4/14(日)3回中山8日目11R 第79回 皐月賞(G1)(芝2000m)
- サートゥルナーリア
- (牡3、栗東・角居厩舎)
- 父:ロードカナロア
- 母:シーザリオ
- 母父:スペシャルウィーク
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1.7倍と圧倒的な支持を受けたサートゥルナーリア。アメリカのG1を勝ったシーザリオの子供。兄弟馬も強い馬が多くいたが、それら以上の器。その期待を見事に4ケ月ぶりの実戦でも余すことなく発揮。直線半ばでは並走するヴェロックスと接触したのかの審議。スタンドを物見したと鞍上の説明、それでも勝ち切ってしまうのが真の王者。
ダノンキングリーも内から際どく迫ったが、惜しい3着。アドマイヤマーズは直線半ばで伸びが止まった。ダービーへと戦いは続く……。
この皐月賞を現場で見られないのが残念でならない。その場でいろんなものを感じながら見ることの大事さ。鈴木康弘さんの解説を聞きながらのTV観戦。丁寧な語りで1頭、1頭が良く判る。おそらく過去の競馬解説でもっともふさわしい人かと思っている。サートゥルナーリア、ヴェロックス、ダノンキングリーと、画面からいい状態だとひしひしと伝わってくる。馬場に入って返し馬、そしてゲート前の輪乗り。ゲートへ入る前にサートゥルナーリアのテンションが少し高くなっていた。はやる気持ちが出ていたのだろう。どの馬が先手を取って、好位にはこの馬達。レース前はその展開の読みもまた楽しい。
スタートで、ファンタジストが躓いた。もしかして先手を奪う騎乗もあるのかもと思っていたが、好位でのレースとなった。ゲートを低く出て行ったランスオブプラーナが先手。外からダディーズマインドが前へと出てくる。クルノガウディーも大外から前へと出る。驚いたことに、ヴェロックスにサートゥルナーリアがけっこう外へと出している。内の荒れ気味の馬場を嫌っての行動か。
1番枠のアドマイヤマーズも、最初のカーブに入る前に内から外へと少し出して、ダノンキングリーの横へと動いた。この2列目に主力馬が固まる。ヴェロックスの後ろにサートゥルナーリア。そこを追いかけるようにニシノデイジーも続いた。
前半の1000mが59.1。良馬場ならこれくらいは流れるだろうし、決して速い流れでもなかろう。各馬がそう動かないまま3角を過ぎて行く。
ラスト600を過ぎて、ヴェロックスが徐々に前へと出て行く。ラスト400のハロン棒が過ぎる4角手前では外から先頭へと立ってカーブへと入って来た。
直線では、ダノンキングリーが内へと進路を取る。その外にいたアドマイヤアーズは外へと出て来る。だがすでに前では、ヴェロックスが先頭でサートゥルナーリアがそれを追いかけていた。4角先頭の馬がそのままゴールまで突っ走るケースを何度も見て来た。実際にヴェロックスの勢いは衰えていない。サートゥルナーリアのルメール騎手もステッキを使って追い出す。2頭の追い合いかと思いきや、内からグイグイとダノンキングリーも凄い勢いで伸びている。3頭が重なるようにゴールへなだれこんだ。
TVの前で見ていても、最内が一番有利かと思えたほど。だがスローでの映像を見ると、外の2頭。それもサートゥルナーリアが勝っていたと思えた。そこから審議放送があって、長い長~い時間が過ぎる。サートゥルナーリアの進路の取り方が問題になった様だ。現場にいないとその実際は判らない。画面ではサートゥルナーリアもヴェロックスも検量室前にいる。それほどまでだったのかとヤキモキするが、掲示板の順番は変わらず。
負けなかったサートゥルナーリアも強いが、早めに仕掛けて行ったヴェロックスのしたたかさ。そしてダノンキングリーもなかなかである。そしてアドマイヤアーズが4着で、5着がクラージュゲリエ。これは共同通信杯の着順のままに入って来ている。ここらが競馬の正直なところだ。
サトノルークスとかは、意外と走れなかった。もっとやれると思っていたのだが。3冠の最初であるが、ここから路線をNHKマイルCへと向かう馬もいるだろう。そして別路線からダービーへと向かってくる馬もいる。5月26日の府中での戦い。サートゥルナーリアが頂点に立ったとは言え、絶対ではなさそうだ。そこへ至るまでの動きをこれからも見つめて行きたい。
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。