古馬初対戦のパートナーは岩田騎手

-:気になるのは、ミッキーアイルがNHKマイルCの後に安田記念に挑戦しました。古馬を相手にハンデ的に有利な面もあったのですが、当日の馬場状態があまりにも悪く、世代間の力差を図らずして終わっています。その点、タガノブルグと古馬が初めて戦って、物差しができると思います。

鮫島一歩調教師:関屋記念に出る3歳のウチの馬やショウナンアチーヴと、古馬との比較ですよね。それもまた見所だと思います。自分のところの馬なので、多少の買いかぶりがあるのですが、NHKマイルCで33秒2、その前の1400で20秒を切っているというタイムからいっても、3歳の54キロの斤量ならば、面白いんじゃないかと思います。

-:心配としては馬場状態が悪くなることくらいですか?

鮫:そうですね。馬場は良い方がいいです。

-:アーリントンCの時のミッキーアイルとの着差を考えたら、NHKマイルCの時よりも馬場が悪かったですよね。だから、僕がこの馬を見てきた感じでは、馬場の良い方がパフォーマンスが高いと思います。

鮫:時計と終いの脚を見ると、馬場が良い方がいいですよね。

-:そう考えると、新潟の舞台はいかがですか?

鮫:東京と似たような感じですよね。


「前回乗った三浦騎手が乗れなくなって、岩田騎手で行くのですが、この前の内を回ってきて、抜け出してくるというレースを見ていると、岩田騎手にピッタリ合うんじゃないかと感じています」


-:新潟はそんなに速い流れにはならないと思うので、団子状態で行って、終いの切れでどれだけ交わしきるかですよね。

鮫:前回乗った三浦騎手が乗れなくなって、岩田騎手で行くのですが、この前の内を回ってきて、抜け出してくるというレースを見ていると、岩田騎手にピッタリ合うんじゃないかと感じています。

-:先週から新潟が始まっていますが、例年よりも芝丈が長く、開幕週の割に逃げ先行が有利ではないと感じました。これがタガノブルグにプラスなのか判断しかねています。

鮫:経験も浅いですし、ピッチとストライドの間で走る馬なので、走法から見てもそんなに問題はないと思います。まだ分かりませんが、可能性はあります。上積みがあって、スッと行くようであれば、さらに、というだけですね。

-:体を見ても完成形ではないと思います。メリハリがなくて、筋肉もまだ完成してない感じのところがあります。これからが楽しみです。現時点では、NHKマイルC当時と比べて、何か変わった面はありますか?

鮫:ふっくらした分、体重はありますが、そんなに急にグンッという感じはないです。使いつつ、これからもっと大きくなってくるだろうと思いますが、もう一回りは大きくなって欲しいです。450、60あれば、十分何とかなるのですが。

-:見せて頂いた時が440くらいだったと思いますが、言われないと分からないですよね。あの体で450と言われても、そんなにないとは思わないです。

鮫:外見は横から見て、体高とかで判断してしまいます。けっこうバランスも良いし、横にバンッと張った短距離馬の形もしてないから、横から見ても小さくは見えないです。


「競走馬は1ヶ月見ないと変わりますからね。ガラッと変わる時期があるので、そういうところを見逃さないよう、考えながら調教して、100%の力を出せるように成長させて行くことが僕らの仕事です。そういう面でも、まだまだ楽しみのある馬です」


-:日本で走る芝馬の特性は薄さです。ヨーロッパの馬は幅とか胸前があって、日本ではダート馬みたいな芝馬も走っていますが、日本で芝を走っている馬は薄いですよね。

鮫:軽さがありますよね。

-:ヨハネスブルグ産駒を見慣れているわけでもないですが、首差しの太さや逞しさがあります。それと同じぐらいボディにも筋肉がついてきた時が完成する時なのでしょうか。

鮫:この時期ですからね。あんまり筋肉が乗ってきても、というところもありますよね。

-:それも軽さに関することですからね。

鮫:だから、馬に合わせて成長を促しながら調整していって、その馬の完成された本当の形というのが、どうなるか楽しみですが、無理にこういう形をつくろうとか、もっと筋肉をつけてやろうとか、そういうのは思わないです。

-:先生が馬術部出身ということもあり、馬との関わりには長けていますものね。

鮫:競走馬と乗馬は違って、乗馬はある程度完成された年齢だけど、競走馬は1ヶ月見ないと変わりますからね。ガラッと変わる時期があるので、そういうところを見逃さないよう、考えながら調教して、100%の力を出せるように成長させて行くことが僕らの仕事です。そういう面でも、まだまだ楽しみのある馬です。



今後の選択肢を占うレースが関屋記念

-:先生としては、NHKマイルCから関屋記念までの間というのは、成長を促しながら疲れを取る時期としてあけたのですか?

鮫:関屋記念と決めていた訳ではなく、ああいう強行軍で行って、目一杯走ってきたわけですから、まずはリフレッシュ。そして、オーナーの育成場なので、ある程度はお任せして、良い時にどこに行こうかという意味で、あったレースが関屋記念でした。丁度良い状態で出せますし、また秋に向けて、という感じで使います。向こうでやってきて、トレセンでも2本を54くらいでやっているので、万全の態勢で出せます。あとは週末と来週やればしっかり仕上がります。

-:この後をマイル前後の距離体系で考えていくと、京成杯やマイルCS、阪神Cなど色々と選択肢はあります。

鮫:可能性は大きいです。このレースでどういう競馬をしてくれるか、ですね。どこと決める必要もないですし、馬に合わせて良いレースがあれば使っていきます。まだまだ無理にローテーションを決めていく時期でもないですから。

-:もしかしたらマイルCSに出ているかもしれないですね。

鮫:それは分からないです(笑)。

-:もしかしたら秋の天皇賞に行っているかもしれないですしね。

鮫:超一流のジョッキーがどう判断するかですよね。乗った後のコメントも楽しみです。



-:岩田ジョッキーは直前には乗らないのですか?

鮫:最終の調教に乗ります。今週も乗せようかと思っていたのですが、調教はチャカチャカしますし、NHKマイルCの時も慣れた助手が乗っての最終調整でした。今回は初めてで間隔もあきましたし、乗ってもらおうかと思っています。

-:人気薄のフロックではなかったというレースを期待しています。

鮫:この馬に運があるのは、あそこで3着ではなく2着だったことですよね。3着のキングズオブザサンも強かったですし、あそこで3着だったら、ここに出られるか分からなかったです。あそこで賞金を加算できたのは大きかったです。運も大事ですよね。

-:実力で取ったんですけどね(笑)。競馬の世界では1と2や、2と3の差が大きいですよね。

鮫:重賞だと2と3の差も大きいです。

-:是非、早目にタイトルホースになって、ヨハネスブルグの代表産駒になってください。

鮫:この馬で何とか重賞を、さらにはG1を獲りたいです。

タガノブルグ・鮫島一歩調教師インタビュー(前半)はコチラ⇒

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