
開幕週に末脚光ったナンヨープランタンが重賞V一番乗りへ!
2017/7/20(木)
ナンヨープランタンが、絶対能力の違いを見せる。函館開幕週のデビュー戦は鮮やかな差し切り勝ち。2、3着馬はともに勝ち上がり、レースレベルの高さを証明した。調教どおりの動きを実戦でも見せた馬について、額田洋介調教助手にセールスポイントなどを聞いた。
-:額田助手には、過去にピオネロ、シャルールと取材させていただきましたが、久しぶりの取材をよろしくお願いします。まず、6月18日(日)、函館開幕週の新馬戦なのですが、あの週は特殊な馬場。レコードが頻発する高速馬場で差し切りを決めたということが、かなりの強調材料に感じました。いかがでしたか?
額田洋介調教助手:よろしくお願いします。ゲートが速いことは練習の段階で分かっていたのですが、むしろ普段の練習からはもうちょっと行き脚がつくと思ったんですよ。そこは意外だったのですが、逆に脚が溜まったのかな。追ってからしっかりしているのは調教通りでしたね。
-:調教の段階で良い感触を得ていたということですね。負かした相手の2着馬(カシアス)も3着馬(リンガラポップス)も、その後勝ち上がっているのを見ると、時計の額面以上に価値のある一戦だったと思います。
額:そうですね。2着、3着の勝ち上がり方を見ていたら、新馬のレベルで言ったら一番高いレベルなのかなと。

▲6月18日の新馬戦を制したナンヨープランタン 左から2人目が額田助手
-:開幕週に勝ったということで、間隔は他の馬よりもあると思うのですが、レース後の雰囲気はいかがですか?
額:1回(短期)放牧に出して、7月9日にもう1回函館に入って、すごく良くなったわけではないのですが、変わらず順調ですね。もともと最初に栗東に入厩した時に、今の時期の2歳にしてはすごくしっかりしている感じでしたから、良い状態で競馬には挑めそうです。
-:目方はそんなに変わらないですか?
額:ちょっと増えていますね。前回が436キロ、今回は440キロくらいにはなりそうかと。
-:それは良い意味で捉えてということですね。
額:そうですね。入厩した時は腹周りがボテッとしていたのが、ちょっと締まって身が入ってという具合ですね。体重自体は(あまり)変わっていないのですが、まだ成長しそうです。
-:ルーラーシップといえば大柄なタイプの印象ですが、血統的にはお父さん(ルーラーシップ)が出ているのか、母系(スペシャルウィーク)が出ているのか、どう見られていますか?
額:実は一応、厩舎ではルーラーシップ産駒が初めてなので、何ともわからないのが本音です……。今の3歳世代からだけど、去年はゼロでウチでは(この馬が)初めてだから、未知数ですね。牝系は新馬で勝ち上がっている馬が多いらしいですね。

-:調教で乗られていて、フットワークはいかがですか?
額:乗り手の指示にちゃんと従ってくれますよね。上で促せば反応するし、扱いやすいです。そういう点も含めて、2歳にしては「しっかりしているな」という印象だったんですよね。栗東でも1頭で坂路に行って、ゲートに行ったりしていたので、2歳っぽくないというか。
-:経験の浅い馬たちと闘う中では、かなりの強みですね。
額:そうですね。ただ、この時期の2走目、3走目というのは全然(新馬と)違うじゃないですか。それで、前回よりも多頭数になるから、前回みたいにモタモタして後ろから、というのでは外を回りますよね。理想を言えば、もう少し流れに乗るような競馬の方が良いでしょう。ただ、そこらは2戦目なので、ちょっと変わるかと思うんです。
-:ただ、繰り返しになりますが、やっぱりあの開幕週の馬場で差し切ったというのは。しかも、反応が少し鈍めだった点は、今回に関しては良くなるのかなという感じも受けました。
額:そうですね。まあ、1200m自体よりはもう少し長め、マイル以上のタイプかなと思っています。
-:レースを観ていても、そう感じました。乗られている範囲で、現段階ではかる距離適性はどれくらいでしょうか?
額:マイル以上になると思うんですけどね。
-:血統的に見てもそうですよね。完成度でココを使えているのでしょうが。
額:多分、2歳戦って、1200にしてもマイルにしても道中はスローでという感じだから、そういう意味では良いのかなとは思いますね。
-:今回の取材に当たって出走馬の全レースを見直しましたが、どの馬も好位にいないと勝負になっていない。見た目は似たようなレースが多いので比較が難しいですよね。
額:実際はそういう競馬が確実ですからね。函館の直線も短いですしね。

▲例年、北海道での滞在競馬を任されている額田助手
「先生も任せてくれるし、自ら調教メニューを考え、自ら乗るから充実しています」と語る
-:新馬戦だと折り合いも考えなくてはいけないし、どうしてもスローになりやすいですからね。ちなみに、今週末は雨で馬場が悪くなるかもしれません。
額:他の馬と同じような感じじゃないですか。特に馬場が悪かったらダメという感じでもなさそうですけどね。ウッドを走っている時も別にそんなにノメって、ノメってという感じでもないですから。
-:ウッドが重くなった時の走りは、芝の道悪での参考になりますか?
額:今のところ、そういうウッドでノメって、ノメってみたいなのはないですからね。6月はじめくらいから函館に来ていますが、乗っている感じでは、ハロー明けや開門直後は良いですが、ちょっと時間が遅れたら、もう悪いですもんね。
-:ちなみに、いつ頃、栗東トレセンには入厩されたのですか?
額:運動自体は4月半ばくらいから運動していたので。
-:相当早くからやっていらっしゃるんですね。当面の目標として、ここまで良い流れで来られたと。
額:そうですね。(函館)2歳Sはレースの結果次第だったのですが、新馬は函館に連れていって使おうかというのは決まっていたので。

-:下馬評では、1番人気かなと見ております。早々と狙ってきたレースで結果を残せるのか、最後に意気込みを聞かせて下さい。
額:2歳の今の時期ですから、本当に良くなったりするのはまだ先でしょう。結果が良ければ(賞金加算が出来て)この先が楽になるので、頑張って欲しいですね。
-:額田さんはクイーンS(G3)に挑むシャルールも担当されているということで、こちらも改めてお話を聞かせてください。後ほど伺いに来ても大丈夫ですか?
額:ええ。今からシャルールに乗るので。また、来てください。

【追い切りチェック】19日(水)の最終追い切りは額田助手自身が騎乗
ウッドコースを単走で69.4-12.8秒をマークしている
プロフィール
【額田 洋介】Yosuke Nukada
高校時代から乗馬を始める。卒業後、福岡の実家近所の乗馬クラブで手伝いをしていた関係で、ノーザンファームを紹介してもらうことに。牧場勤務当時はゴールドティアラやブロードアピールなど、松田国英厩舎関連の馬達と触れ合う。そこから競馬学校卒業後は鹿戸幸治厩舎に所属し、解散の流れで松永幹夫厩舎に異動。開業時からのスタッフとして厩舎の屋台骨を支えている。最近では、シャルール、ロイカバードなどを担当。