富田暁騎手 決意の海外遠征を表明! 2年目のホープを直撃!
2018/10/28(日)
-:今は2年目を迎えて、プロとしてどんな一週間を過ごしていますか?
富:それこそ調教は火曜日から日曜日までビッシリ乗っています。調教は競馬に直結するので、1頭1頭意識しながら。自分のことも、馬のことも日々意識して乗るようにしています。トレーニングもしていますし、木馬でのフォーム確認もやっていますし、自分の出来ることを考えながら行動していますね。
-:レースの日も乗らますよね。
富:レースの日も阪神、京都だったら、調教はしているので。
-:ほぼ毎日のように乗っている訳ですね。今のところ、騎手としてのセールスポイントを教えていただけますか。
富:セールスポイントはさっきも言ったのですが、騎乗面じゃなくて、人に恵まれてきたことだと思うので。騎乗面は、本当にないんですよねぇ…。まだまだ目指しているものがあるので、それに達していない部分があるので。
-:それが3~5年後だったら、言えるようになっていますかね?
富:なっていたら良いですけど、多分なっていないですね。馬乗りに正解はないので。強いて言えば、これを活かせればと思っているのは、他のジョッキーよりもちょっと身長も高く、手足も他の人よりもちょっと長いと思うので、それを活かせるような騎乗が出来るようになってきたら、もっともっと成績も上がってくるんじゃないかなと思います。周りから観ても目立てるところだと思うので、追い込みだったり、そういうところをもっともっと伸ばしていけたらなと思いますね。
-:それこそ四位さんが他のインタビューで「手が長いのはジョッキーとして有利だ」と言っていた記憶がありますね。海外に行っている若手がたくさんいますけど、そういう考えはありますか。
富:ハイ、あります。実は僕も海外に行こうと思っていて。まだ行く日取りは決まっていないのですが、徐々に進んでいます。本当は年内には行きたかったのですが。
-:もうちょっと後に話を伺いに来ていたら、日本にいなかったわけで。どれくらい行かれるのですか。
富:長い間行きたいです。1年以上行こうと思っています。やっぱり減量がなくなったら、キツいなと自分で思っていて、自分の武器を身に付けたいし、海外に行って、何か得てマイナスにはならないと思います。そこでダメだったらもうダメなので、自分のモノの出来るように、ちょっと飛び出したいなというか。今はビザの関係で、色々と調整してもらっている段階ですが、予定しているところはかなり田舎らしく、けっこうチャンスはあるみたいなので。日本のスタイルにも合っているし、僕のスタイルにも合っていると言われて。
-:海外に行くことで本当に実力が上がって、戻ってきても減量の恩恵も残っている状態だったら、活躍のチャンスが増えそうですね。
富:そうですね。アピールになると思いますし、そろそろ2キロ減も消えそうなので、本当は2キロの内に行きたかったんですけど…。
-:若手も海外長期研修の時代になってきたんですね。
富:それこそ小崎先輩、(坂井)瑠星先輩、野中(悠太郎)先輩が道標を作ってくれたというか。僕も以前から考えていたのですが、海外に行ったことで、それだけでもアピールにもなると思います。それで成長しなかったら、全く意味がないですけどね。外国人騎手が沢山来る時代ですし、僕たちの世代で変えていかないと…。もちろん日本人の先輩ジョッキーもすごく頑張っていますし、僕たちもドンドンその先輩たちを越えていかないといけないですし、外国人にも負けたくないですし、その中で…。
-:今の若い人たちが、そうやって行って帰ってきて、もちろん個人の騎乗もそうですけど、向こうでの調教のノウハウがトレセンや日本馬の海外遠征でも活かされたりすることもあるかもしれないですし、決して悪いことではないですからね。そういう流れが出来てきたら、それはそれで面白いのかなという感じがしますね。今年は残り3カ月くらいですけど、残りの間の目標は何かありますか。
富:年の初めから、「何勝」など目標らしい目標はなかったです。「一つ一つしっかり乗る」と言っていたので。一つでも多く勝ちたいという思いはもちろんあるのですが、そんなに絶対達成してやる、といって目先の勝利に捉われて、バタバタはしたくなったところはあります。これからのことを考えて自分は乗らないといけない時期だと思うので。若手らしくないかもしれませんが、もっと色々考えて、落ち着いて乗って、その先に勝利があればと思うので。やっぱり減量が取れてからが勝負だと思いますし、今はそれに向けて、自分の武器、引き出しを1個でも多く吸収している時期でもあるので。
「いい意味で欲がないというか。減量も5年ありますし、それは本当に僕にとってはプラスなので、海外研修も含めて今は焦らず、本当にこれからのことを考えて、1鞍1鞍大事に乗りたいなと思っていますね」
-:いい意味で結果に焦ってはないということですね。
富:そうですね。いい意味で欲がないというか。減量も5年ありますし、それは本当に僕にとってはプラスなので、海外研修も含めて今は焦らず、本当にこれからのことを考えて、1鞍1鞍大事に乗りたいなと思っていますね。
-:関東圏での騎乗がまだないとのことで、今後、経験したいところですね。
富:自厩舎で乗る馬がいたらチャンスはありますが、まだ自分自身、関東で依頼されるレベルに達していないので。あと特別レースもまだ2個しか勝っていないですし、やっぱり減量があって勝っている、という印象だと思うので、そういうのもドンドン打破していきたいんですけどね。それに、両親も福島の時には観に来てくれることもありましたが、中山、東京にも招待したいです。
-:勝ち鞍を見させていただきましたけど、確かに特別はまだこれからですね…。11レースでの勝利はまだないですか。
富:今年の特別勝ちはまだ1個ですし、メインレースはないですね。川又にも負けていますし、ここから巻き返してやりたいですけどね。
-:まだまだ騎手人生は長いと思いますが、これまで記憶に残るレースや馬はいますか?
富:自分の中では初勝利が印象的だったし、初騎乗も印象深いですね。やっぱり初勝利の時はずっと勝てていなくて、焦りもあって。今までで一番嬉しかった瞬間ですね。あれは言葉で表現できない喜びですね。
-:それが重賞になったら、また違ってくるのでしょうね。
富:それこそ特別を初めて勝たせてもらった時も、また平場のレースと違った感覚でしたし、重賞、G1となったら、もっとすごい感動なのだろうなと思いますね。もちろん一つ一つ勝つのもすごく嬉しいのですが、やっぱりそれは思いますね。
▲左は師匠である木原一良調教師
-:自分で勝ちたいレースとなるとどうでしょう?
富:やっぱりダービーというのは特別なものかと思いますし、やっぱり乗ってみたいし、やっぱり勝ちたいレースではありますね。他の方のダービーでも、四位さんのウオッカ、ユタカさんのキズナなども印象的です。
-:四位さんとは食事されることもあるのですか?
富:それこそ日曜の競馬終わりに、たまに四位さんに誘ってもらったりします。そういう時に色々な話を聞けるので、それが僕の財産ですね。
-:四位さんはどんな先輩ですか?
富:すごく面倒をみてくれます。もちろん指摘すべき時は指摘してくれますし、本当に思ってくれていなきゃ、そういうことは言ってくれないので、かわいがっていただいていると思います。
-:これから四位さんが厩舎を開いた時は、ちゃんと主戦をやれるようにならないといけないですね。
富:本当に、そういう気持ちでこれから成長したいですね。これから海外に行く前の目の前のレースも大事ですし、行ってからもしっかり成果があるように頑張ってこようと思います。
-:長々とありがとうございました。
プロフィール
【富田 暁】Akatsuki Tomita
1996年生まれ、茨城県出身。学生時代はサッカー少年だったが、競馬ファンだった父の影響で高校時代に騎手を志す。栗東の木原一良厩舎所属で、四位洋文騎手や武英智調教師(元調教助手)らの指導を受けてきた。今年6月にはフランス若手騎手招待レースに参加。今夏の小倉では5勝を挙げるなど徐々に頭角を現してきた、いま注目すべき若手ジョッキー。日々の息抜きは競馬終わりの食事や買い物など。栗東の同期は川又賢治騎手。