オジュウチョウサン 偉業へ向けて 最強ハードラーが目指す新たな飛躍
2019/3/6(水)
王者が挑戦者となり、再び王者として君臨したハードル界に戻ってきた。障害G1を5勝、その圧倒的な強さから歴代最強ジャンパーとの呼び声も高いオジュウチョウサンが、芝のG1挑戦を経て、慣れ親しんだハードルコースへ帰ってくる。王者をここまで導いてきた石神騎手、和田調教師が、競馬界の中心的存在だった2018年を振り返り、2019年の挑戦を語る。
-:阪神スプリングジャンプに挑むオジュウチョウサン(牡8、美浦・和田郎厩舎)につきまして、まずは昨年の中山グランドジャンプの話から伺わせてください。17年の同レースより勝ち時計を7秒も縮める圧勝でしたね。
石神深一騎手:強いレースでしたね。本当にその感想以外にないです。
-:オジュウチョウサンは障害馬として、どのような点が優れているのでしょうか。
石:全部まとめて言いくるめると、"安定感"かなと思います。もちろんメンタル、フィジカルの面でも抜けてはいますけどね。必ず勝つという安定感はこちらから見ても凄いと思います。
-:騎乗していて一番気をつけているところはなんでしょう。
石:一番は邪魔をされないことですね。あの馬のリズムで走りさえすれば、アクシデントがなければ、まず負けないと思っています。他馬の落馬などに巻き込まれないよう気をつけています。
18年JRA賞授賞式パーティーで飛躍を誓った石神深一騎手
-:オジュウチョウサンがこれほどの馬になると当初から感じていたのでしょうか。
石:最初はそこまで期待はしていなかったかもしれません。ただ16年の中山グランドジャンプを勝った後、こちらが驚くくらい成長してくれました。どこまで強くなるのか…と思わされます。
-:石神騎手の理想に近づいてきましたか?
石:僕の理想はとっくに超えています(笑)。まずはこのまま変わらずに行ってくれればと思います。
-:8歳になりましたが、まだ伸びしろはあるのでしょうか。
石:どうでしょう……。ただ底を見せていませんし、乗っていても底が測れないなという思いはありますよ。
-:現在放牧先で管理している和田正道元調教師は「大変一生懸命に走る馬だ」と評していました。
石:そうですね。ただ元々、一生懸命走りたがらない馬だったんですよ(笑)。こうして一生懸命走るようになって、ジョッキーとして嬉しいですね。
-:有馬記念に向けて調教で気をつけていたことはありますか?
石:一番は脚元ですね。いい仕上がりにする際はどうしても脚元も気になってきますし、長沼厩務員さんと相談しながら、壊さないよう気を付けました。
-:調教での思い出はありますか?
石:有馬記念の一週前にも調教で落とされたのが思い出です(笑)。たまに僕を落としにかかるのですが、まだそんなことするのかと思いましたね。突然立ち上がったり、横に飛んでみたり、いきなり止まってみたり……。急にやってくるので、気をつけていても対処しきれないんですよ。僕ももっと上手にならないと……と思う時でもあります。
-:鞍上を振り落として、そこからどこかに逃げるということはあるのですか?
石:それはないですね。落とした後は何もしないんです。落としたら満足しています(笑)。面白い馬ですね。(3月1日の調教時も石神騎手を振り落とし放馬したものの、特に問題はないとのこと)
-:障害練習をしながら有馬記念に向かう馬はそういないと思います。
石:障害練習をやりながら有馬へ向かったのは、あの馬のリズムを変えずに行ったほうがいいのではと、和田正一郎先生と相談しての調整でしたね。
-:再び障害を使う一戦で気にしないといけないことはありますか?
石:1つ目の障害ですね。馬も緊張すると思います。1つ目の障害をいかに気をつけて飛ぶかは重要なんですよ。どんなにG1を勝った馬だろうが、1つ目は結構人馬転倒しやすいんです。キングジョイとか、メルシーエイタイムとか、障害に戻って緒戦で転倒していますし、どんなに凄い馬でも起こりえるアクシデントなので、気をつけたいと思います。
-:平地から障害に戻るとペースは遅くなりますが、折り合い面は大丈夫なのでしょうか。
石:折り合い面は大丈夫だと思いますよ!
-:平地で2勝できると正直思っていらっしゃいましたか?
石:そうですね……。1個は勝つかなと思っていましたよ(笑)。ただ1000万特別もあんなにあっさり勝つとは思いませんでしたね。
-:今年の石神騎手の目標を教えてください。
石:僕もG1連勝が掛かっているので、しっかり技術を身に着けて、人間もいい状態でG1に出られるよう頑張っていきたいと思います。
-:ファンへメッセージをお願いします。
石:オジュウチョウサンに負けないよう、僕もしっかり切磋琢磨しスキルアップして、オジュウ以外でもいいレースができるよう努めていこうと思います。よろしくお願いします。