【中山グランドジャンプ】"無事に走ればウチが一番"!マイネルグロンが復活のVへ!

王者への返り咲きを狙うマイネルグロン

王者への返り咲きを狙うマイネルグロン


中山グランドジャンプ
マイネルグロン
青木孝文調教師

——前走の中山大障害は落馬競走中止となってしまいました。当日の馬の雰囲気など振り返っていただけますか。

青木調教師(以下、青):福島でのひと叩きを経て臨みましたが、脚元の具合も馬体の感じも良好で「全体的な雰囲気がとても良いな」と私はもちろん厩舎スタッフもジョッキーも感じていました。

ただレースでの走りを踏まえて振り返ると「結果的に仕上がり過ぎていた」という考察を否定できないと思います。体は良いですが気持ちが先に行ってしまう感じで、行く馬がハッキリせずペースが遅い展開に馬がイライラしてしまいました。自分で速いペースを作っていくよりは、前の馬を見ながら競馬をしたかったのがジョッキーの気持ちだったと思いますし、そのようなやりたい競馬ができなかったことも敗因のひとつかと思います。

G1は程よいソフトな仕上げというわけにはいかず、目一杯ギリギリまで作り上げて勝負をかけていく舞台だと考えていますし、それだけの作りだったからこそグロンもあれだけの行きっぷりを見せてくれたと思います。

落馬に関しては、前半に折り合いを欠いた分余力がなくなってしまい、普段はしないような斜飛をしてしまいました。落馬の瞬間は目の前が真っ暗になりましたが、グロンと石神ジョッキーがケガなく無事に帰って来られたことで「もう1回チャレンジしていこう」と気持ちを切り替えることができました。馬券を買って応援してくださったファンの皆様には本当に申し訳なく思います。

——前走後の過ごし方を教えてください。

青:レース後は年内のうちにビッグレッドファーム鉾田へ放牧に出しました。早い段階で阪神スプリングジャンプは使わず、ぶっつけでグランドジャンプへ向かおうとオーナーから話があったので、牧場と相談してレース6週前の3/8(土)に厩舎へ戻してもらいました。

3/20(木)過ぎ辺りに、騎乗者の感覚や獣医の触診でも「背中からトモにかけて広い範囲で疲労感を感じられる」と意見が一致したので、3/22(土)にショックウェーブをかけました。そこからトモの感触がグッと上昇カーブを描いて、最終追い切り後の背腰の状態も非常に良かったです。騎乗者と獣医の触診の意見も「グッと上向いている」と一致しています。

帰厩後は15−15程度の軽いものも含めて、週2回欠かさずトータルで12本乗り込んできていますし、乗り込み量も十分です。

——4/16(水)に行われた最終追い切りの狙いと動きの評価をお願いします。

青:1週前追い切りである程度しっかりした時計を出していますし、最終追い切りは平地準オープンのマイネルクロンヌと併せる形でやりました。私としてはもう1秒くらい速い時計でも良かったかなと思いましたが、石神ジョッキーとしては「先週までに体はできているのは分かっていますし、感触が良いので大丈夫ですよ」という評価でした。

1週前追い切りと比較すると2秒くらい時計は違いますが、併せ馬で相手に取りつくときに1週前は肩ステッキの合図があってからグッと伸びていたところ、最終追い切りではジョッキーのアクションがなくても馬なりでグッと伸びていました。馬が自分からグッと伸びている点で良化を感じられましたし、追い切り後の体調も問題ありません。

——4/18(金)に中山競馬場で行われたスクーリングの様子をご覧になっての印象は。

青:前走の大障害のときはテンションが高く、私たちはそれを「気持ちを乗せられた」と思っていました。今回は大障害の結果を踏まえて、もちろんぬるい仕上げをするつもりはありませんが、なるべく他馬に近づけないように気を付けてスクーリングをしました。

障害G1のスクーリングはほぼ全馬が一斉に馬場入りしますが、意識的に1頭だけでやりました。1頭だけでは物見をしたり予期せぬ動きをするかもしれないというリスクはありますが、それも考慮した上で1頭でスクーリングすることを選びました。元気がないというのとは違う、非常に落ち着きがある良い雰囲気でした。

金曜の中山競馬場は風がありながらも気温は高かったので、暑さ対策をしっかりしています。暑くなり始めて体が暑さに慣れていない時期には、4月でも熱中症が起こる可能性はありますし、馬体をしっかり冷やしてあげて体調面をケアしています。この対策はグロンに限らず、厩舎全体として取り組んでいることです。

——レースへ向けて意気込みをお願いします。

青:ここまで順調に調整を進めて来られたことが何よりも嬉しいですし、厩舎もジョッキーも自信を持って大舞台に臨めます。戦線復帰後は脚元もずっと良い状態が続いていて、こちらがやりたいと思っている負荷をしっかりかけられて、万全といって差し支えのない状態で送り出せるのでとても楽しみです。

メンバーを見ると新興勢力もいますが、私たち厩舎スタッフも石神ジョッキーも「無事に走ってくればウチのグロンが1番」だと思っています。もちろん、まずは無事に走ってきてもらいたいという気持ちが強いですが、そのうえで「勝つのはウチの馬。グロンがチャンピオンだ」という思いで胸を張って臨みます。