元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
新エース誕生やデイ
2015/11/26(木)
それでは競馬の話に行きましょう。秋の続くG1戦ではマイルCSが京都競馬場で行われました。1番人気に支持されたのは皐月賞馬イスラボニータで、それに続くようにフィエロ、サトノアラジンの重賞未勝利コンビ、そして安田記念を制したにも関わらず、背痛で予定していた毎日王冠を止め、ぶっつけ本番で挑戦してきたモーリスが選ばれました。
レースはスタート直後、1番人気のイスラボニータが出遅れる形となる歓声が悲鳴へと変わりましたね。それを横目にハナを奪ったのはレッツゴードンキでした。そして続くようにクラリティスカイ、トーセンスターダムが付ける中、少し口を割ってうるささを見せたロゴタイプがその後につけました。そして、迎えた4コーナーでは外、外を回ってきたモーリスが追い出すと、もうエンジンが違うとばかりに引き離し春秋マイル制覇を達成しました。そして2着には、去年に引き続きフィエロ、3着にイスラボニータが入る結果となりましたね。
今回パドックからモーリスを見ていても、70%程しかデキていなく、逆にフィエロは120%のデキだっただけに逆転もありえるなと思っていましたが、それでも、あの圧勝は正に怪物。そして、本当の意味で日本マイル界のエースの誕生だったと思います。2着に敗れたフィエロは馬体のデキ、騎乗、レース内容、どれを取っても完璧なレースだったと思います。それでも負けたのは、相手が悪すぎたとしか言いようがないと思います。3着に入ったイスラボニータは出遅れがあったものの、マイル適性の高さを見せてくれましたね。今後の路線にも注目をしていきたいと思います。
そんなマイルCS後には1・2着馬のモーリスとフィエロの香港遠征が決定しましたね。今回のレースでは、モーリスの怪物さが一際目立ちましたが、今回の勝利でマークされる立場となったことで、香港ではフィエロの逆転もあるかもしれません。その他にもヌーヴォレコルトやダノンプラチナ、エイシンヒカリにステファノス、ミッキーアイルと続々と出てくる豪華な遠征メンバーに、当日は香港まで競馬を見に行こうかなとすら思わされますね!見逃せない香港国際G1デイは12月13日ですからね!!
今週は複数G1ではありませんが、日本でも国際G1のジャパンカップが行われます。世界からは4頭の挑戦者が登録され、迎えうつ日本勢としても負けられない戦いとなりそうです。まず、1番人気には大関から横綱へと上り詰めたラブリーデイが挙げられるのではないでしょうか。それに続くのが、白い怪物ゴールドシップ、そして、ミッキークイーンとなりそうですね。
その中で、私の注目もミッキークイーンになります。今回は、前に行く馬が少ないことからもペースはそこまで速くならないのではと思いますし、そうなればヨーイドンの競馬になった時、終いに切れる脚を持ち、尚且つ53キロといった斤量も魅力的だからです。秋2戦を戦ってきたことでの見えない疲労も気になる所ではありますけどね。その他には、距離が保てばラブリーデイの貫禄勝ちもありそうですし、シルバーコレクターサウンズオブアースの覚醒にも期待しています。そして、切れ味勝負となれば楽しみなショウナンパンドラもいますしね。外国からの刺客が紛れ込めば間違いなく荒れた馬券になるでしょうし、この日は皆様にとって稼ぐデイになってもらえたらと思います。
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。