元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
パンドラの箱
2015/12/3(木)
そして、ふと疑問に思ったのがエントリーを見ていて五郎丸?とハテナマークが付いてしまいました。確かに、素晴らしい活躍で日本を沸かせたラグビー日本代表ですが、個人名が流行語にノミネートされているのは、少し変に感じましたね。それならば、サクラジャパンをノミネートして欲しかったなという思いになった流行語大賞となりました。
そんな個人名が流行語大賞にノミネートされた五郎丸選手がプレゼンターを努めた、国際G1 ジャパンカップを振り返りましょう。2015年の今年は海外から4頭が挑戦してくることとなり、迎え討つ日本勢にはラブリーデイ、ゴールドシップ、ミッキークイーンなどが集まりました。豪華なメンバーが揃った宝箱のようなレースで、パドックでも抜群の馬体を見せており、五郎丸選手の背番号15番ショウナンパンドラと池添謙一君が、日本代表として勝利を手にしました。まさに宝箱はパンドラの箱だったんでしょうね。今回のパンドラは歩様もゆったりとし、柔軟な筋肉と馬体のバランスが本当に素晴らしかったです。勿論、馬だけではなく、レース運びも素晴らしかったですよ。
スタート直後、逃げ馬不在のレースのためカレンミロティックが自然とハナをきる形となりました。それに続いて、外からアドマイヤデウス、イトウが追走していきました。1コーナーでは軽い接触があり、それぞれの馬がポジション変更を余儀なくされる中、勝利したショウナンパンドラは、あまり影響を受けずに運べました。そして、迎えた4コーナー手前では、ゴールドシップのまくりが出た際、付いていくことを余儀なくされたメンバーをよそ目にじっくりと脚をため、直線では狭い所を付きぬける技術と根性の騎乗は素晴らしかったですね。そして、それに答えたパンドラも本当に素晴らしかったです。
2着に入ったラストインパクトもよく頑張りましたね。ムーアのマジックの様な騎乗に、それまで内ラチべったりで勝利を挙げていただけに、走るコースを完全に把握していたと感じました。そして、3着に敗れたラブリーデイは、やはり距離の壁があるのかな?と疑問に思う負け方でした。次走は有馬記念を予定していますが、ここでも脚が同じ色になってしまう走りをしてしまうならば、距離としては2000mを限界に考えてローテーションを組む必要があるため、ここは大事な一戦になるでしょう。そして、余談ですが、ここにドゥラメンテが出ていれば、とふと思ってしまいました。もし、出ていれば去年のエピファネイアみたいな圧勝もあったかもしれません。そう考えさせられるのは、やはり絶対的エース不在という、日本競馬界が抱える問題にあるかもしれません。
今週からは舞台を中京、中山、阪神に変更し、中京競馬場ではエースだらけのダート界でG1チャンピオンカップが行われます。まず、注目されるのはコパノリッキーになるのではないでしょうか。バランスの取れた強靭な肉体と鋼の様な筋肉、そしてく鞍上が豊ちゃんとなると更に期待は高まります。そして、続くのがホッコータルマエ、ノンコノユメとなるのではないでしょうか。ホッコータルマエは、前走休み明けでの3着と叩いて良くなるタイプだけに、ここでも目が離せませんし、上がり全て最速で、前走は古馬相手に58キロを背負っての勝利は、まさに本物の強さノンコノユメからも目が離せません。
そんな中、私の推奨馬は、やはりコパノリッキーとなります。JBCを制した当馬ですが、ここに来て、更に馬がよくなっている様に感じますからね。そして、2番手にはサウンドトゥルーに期待したいですね。高木厩舎と大野君のコンビ。これは、本当に怖いですよ。その他には、やはり人気所のホッコーやノンコ、更に香港から参戦のガンピットも怖い存在です。JRAで2つしかないダートG1を制するのは、どの馬か。今週はトリプルスリーだけに3番と13番からも目が離せませんよ!!!是非、中京競馬場に脚を運んでほしいダギャー!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。