元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
ゴドルフィンブルー
2018/3/28(水)
皆様、こんにちは!街中では桜が咲き始めました。咲く前はまだかまだかと思っていましたが、薄く淡いピンクの花びらが、晴れ上がる青空のキャンパスに浮かび上がる。この季節の、この景色が大好きなんですよね。特に栗東トレーニングセンターに通じるシンザン像がある坂があるのですが、そこの坂に咲く桜とシンザン像のコラボはこれまた綺麗な春の風物詩となっています。しかし、競馬界の桜の女王を決める戦いは、もう少し後。果たして、そこまで桜が残っているのか。咲く前は早く咲かないかなと楽しみになり、咲けば咲いたで桜花賞まで大丈夫か!?と毎年、心配させてくれる桜です(笑)。
それでは競馬の話に参りましょう。日曜日に中京競馬場で行われたのは高松宮記念でした。咲き誇る桜のピンクと綺麗な勝利のコラボレーションをしたのは川田君騎乗のファインニードルでしたね。戦前より芝が長く見え、金曜日に振った雨の影響からか馬場も柔らかく映りましたね。こうなればタイムがかかってくるレース+前残りになるだけに、この馬だろうなと戦前に思っていましたが、その通りの結果となりました。2着にはレッツゴードンキが入りまし。スプリントG1、3度目のゴール目前での負けということで非常に悔しい内容でした。ダートを走ってみたりと色々と試す中で、見出したスプリント路線。次こそは!という思いを持ち、リベンジしてほしいと思います。
1番人気に選ばれたレッドファルクスですが、スタート後から追走するために鞍上が押すも反応せずにポジションが取れないため、内から外から前に入られることに。こうなるとスプリントG1を戦うためには、厳しいですね。その展開から更に前残りの馬場ということも重なり、これはもダメだと向正面で感じました。今回、勝利した馬とレッドファルクスの2頭の違いは、私は前哨戦にあると思います。
新王者ファインニードルの前走は地元のスプリント戦、その上、余裕残しの馬体のまま勝ち切りました。負けたレッドファルクスは遠征競馬で、距離は1400m。その上で控える競馬からの大外一気。馬は賢い生き物です。距離やレースの仕方は一回ずつ変わり、乗る人の影響を受けやすいです。そういう意味でファルクスの前哨戦は、歳がいってきた馬に対して、1200mの競馬に向けての準備だったとは言えなかったと思います。前哨戦から完璧なレース選択と体を作ってきたファインニードル陣営の見事な勝利だったと思います。鮮やかなゴドルフィンブルーに変わり早速結果が出たことで、更なる高みに到達しそうな気がします。関係者の皆様、本当におめでとうございました!
今週もG1が続きます。阪神競馬場では第2回大阪杯が行われます。絶対王者キタサンブラックの引退に伴い、新たな王者の誕生に心躍ります。まずはグランプリホース、サトノダイヤモンドの復活に注目しています。前走は久しぶりのレースにも関わらず、最後は流しての3着。しかし、流しながらでも伸びていた脚を見ると、今度こそは完全復活か?と思わされます。その他にもアルアインとペルシアンナイトといった池江厩舎のG1馬がどのようなレースをするのか非常に楽しみです。
それに待ったをかけたいのは、前走で少しズルくなったところを見せたスワーヴリチャード。右回りでは結果が出ていませんが、ここでも上位食い込みを見せてくれるだろうと思っています。関東からはウインブライトにミッキースワローもいますし、年を越して成長してきたトリオンフやダンビュライトもいます。強豪が集まり、どの馬にも難しいレースになると思います。勝利を決めるのは、一瞬の閃きと準備の万全さだと思います。レース後には皆様が笑顔で「おおきに!」と言って帰ることを期待しています。
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。