元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
相棒の全てを知ったからこその勝機
2019/6/5(水)
皆様、こんにちは!世間はこのニュースで持ち切りの週ではないでしょうか。南海キャンディーズの山里亮太さんと女優の蒼井優さんが結婚を発表しました。朝から我が家も例外ではなく、えーーー!!という驚きの声につつまれていました。これこそ、人生大逆転と言ったところでしょうか。山里さんは仕事でもプライベートでも充実した生活になるのではと思うと、本当にこれは努力の結果だったのではと思います。粘り強く諦めずに戦った賜物だと思わされました。
そんな中、豪華メンバーが揃った安田記念が東京競馬場で行われました。結果はこちらも驚きに包まれましたね。レースはスタート直後、大外にいたロジクライが内に斜行し、ダノンプレミアム、アーモンドアイ、ペルシアンナイト、そしてロードクエストに影響を及ぼしました。その結果、騎乗していた豊ちゃんは1日の騎乗停止となりました。本来ならば、10万円かなと思っていましたが、G1かつ被害馬の多さや質からも騎乗停止になったと考えています。今の日本ではこれが最大限の採決内容だったと思います。
しかし、これを機に日本のスタートルールを見直す必要が私はあると思います。オーストラリアなどではスタート後100~200mは進路変更をしてはならないというルールもあります。それを破った場合は大きな騎乗停止処分が下ります。これが意味するのは、スタート後の影響はレースにとって大きいというところです。今回は被害馬が単勝1.6倍のアーモンドアイを含んだために、より大きな話題になっていますが、この採決は頻繁に起きているのも日本競馬です。だからこそ、もう一度このルールに関しても見直す必要があります。また逆に馬の責任が100%と判断できる場合は騎手ではなく違う形の採決にも期待しています。
そんな悲鳴にも聞こえるスタートの後、レースは淡々とアエロリットのペースで流れました。このペースのおかげで、後に回された馬達にとっては非常に苦しいレース展開となったと思います。しかし、その中でも見応えあったのが1番人気のアーモンドアイだったと思います。外をダノンプレミアムに張られるあの展開で、一頭ケタ違いの末脚で追い込んできました。負けて尚強しという言葉がすぐに出てきましたから。しかし、勝ったのは同じ勝負服のインディチャンプと福永君でした。この馬は、岩田君が騎乗していた時からG1を獲る馬だと思っていましたが、今回、福永君の完璧すぎるエスコートもプラスされ怪物退治となりました。
2着には逃げたアエロリットが入りました。こちらも満点の競馬で戸崎君にとっては悔しい連続2着となったと思います。そして、ゴール後にはダノンプレミアム騎乗の川田君が下馬するシーンが映されました。この瞬間、思ったことは「やっぱり」の一言でした。なぜなら、レース前からテレビに映し出されたダノンプレミアムは歩様が悪く、少し引きづるような素振りを見せていたからです。思わず、こんな馬なのか?と前走のパドックなどをレース前に見ると、確かに少し引きづるようなところは見えましたが、今回は以前より更にひどくなっていたように映りました。ずっとコンビを組んできたから鞍上だからこそレース前に止めるのではないかと個人的には思いました。
無事にスタートし、直線半ばまでは川田君も必死に追っていたので大丈夫かと思っていたのですが…。スタートで不利を受けたこともありますが、あの引きづる歩様が何でも無ければと心配しています。レース後にはすぐJRAからは現在のところ問題なしとなっていましたが、後から出てくるものかも知れませんし、乗っている人にしかわからない違和感があったのかと思います。事前に止めていればという後悔が残る結果にならないことを祈ります。
さて、G1ラッシュも一休み。今週は阪神競馬場では伝統のハンデ戦マーメイドS、東京競馬場ではエプソムCが行われます。その中でもマーメイドSは面白そうですね。まず注目したいのは54キロのセンテリュオです。前走の勝ちっぷりも見応えがありましたし、ここも通過点になるのではと思います。その他にも54キロからモーヴサファイアも見逃せません。本格化が期待されるスカーレットカラーや51キロ組も非常に面白いと思います。その中でダンサールやレッドランディーニがどこまで太刀打ちできるのか、休み明けを叩いた上積みに期待したいレーツェルもいます。荒れることで有名なハンデ戦を制するのはどの馬か。全馬の無事を祈りながら見届けましょう!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。