元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
良いお年を!
2019/12/25(水)
皆様、こんにちは。そして、メリークリスマス!皆様のお家にはサンタクロースが来てくれましたか?フィンランドの国営放送では、サンタクロースがプレゼントを配るためにトナカイが引っ張るソリに乗ったニュースが流れていたみたいです。この様に、大人でも子供心を持って国が遊び心を形にするというのは非常に嬉しくなります。なかなか大人になれば固い頭でふざけることが制限されますが、そのふざけることが注目を集め、より頭に入る出来事になる気がしています。真面目もいいですが、少し遊び心を入れた世界であってほしいと思っています。
競馬界も遊び心を入れ、ロックバンドKISSと阪神競馬場がコラボしてTシャツを出したりと色々挑戦していました。非常に面白い試みで、是非、このようなイベントを引き続き行ってもらいたいと思います。そのようななか、中山では中山グランドジャンプ、有馬記念が行われました。中山GJでは石神騎手の連覇記録に注目が集まっていましたが、勝利したのは金子騎手とシングンマイケルでしたね。勝利後には初のJG1制覇に金子騎手の目に流れる涙は、嬉しさもありながら、今までの悔しさや努力を思い出しての涙でもあったと思います。本当に素晴らしい走りでした。諦めない限り、チャンスは来る。しかし、それは続けなくてはいけない。そう思わせてくれました。
有馬記念では圧巻の走りでリスグラシューとレーンのコンビが、豪華メンバーを全て負かしました。本当に、強いという一言でした。枠順発表を見ていた時、アエロリットの位置をまず注目していました。その時に外を引いたことからも、少しペースが速くなる予想を立てました。その他に、キセキの出遅れも考えていたため、キセキは真ん中より外が好ましいだろうな等、沢山のシミュレーションをしていました。その中で、アーモンドアイの枠を見たとき、少し難しくなる気がしていました。
それは、初めてのコースであの枠では内に入れる、もしくは前に馬を置くことが難しくなるかもしれないということです。しかし、それでも大丈夫なのかなと思いながらレースを観ていると、アーモンドアイにとっては最悪の形になってしまいました。いつも100%以上の走りをすることからも、初めの直線では馬自身がゴールと思ってしまい、かかってしまいました。鞍上のクリストフも何とかなだめていましたが、やはりこの影響が響き、直線では早々と下がってしまいました。正直に、距離がやはり厳しく、初コースも厳しかったということだと思います。
その中、内でじっと我慢をさせることができたリスグラシューは4コーナーではドゥラメンテを彷彿とさせる瞬時の脚を使い、一気に外へ。外に出ると圧巻の走りで、サートゥルナーリアを振り切り見事勝利を挙げました。引退レースになるのが本当にもったいないほどの覚醒に、もっと見ていたいと思わされました。レッツゴードンキのようにギリギリまで走り続けるのもひとつ。もっと見たいと思われている間に辞めるのもひとつ。これは本当にスポーツ界では永遠のテーマだなと改めて思わされたレースになりました。2019年の中でもベストレースだったと個人的には思います。
今週は28日(土)に最後のレースが行われます。中山競馬場ではヤングジョッキーシリーズの決勝とホープフルSが行われます。G1昇格後、1番人気が勝利していることからも、1番人気が気になります。今年は福永君とのコンビ復活のコントレイルが推奨されるでしょうね。前走では圧巻の走りで、世界を考えさせられただけに、ここも通過点であってほしいと思います。しかし、そこに待ったをかけたいのが3年連続リーディング騎手を決めたクリストフとワーケアのコンビになるでしょう。その他にも、ブラックホールがどこまで頑張れるかに注目しています。
2019年も大変お世話になりました!次回、皆様に会えるのは2020年!素晴らしいお年玉をホープフルSと金杯で貰っていることを願います!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。