元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
ラビット?、いやバビット
2020/9/23(水)
皆様、こんにちは!菅首相の誕生と共にシルバーウィークという週末をいかがお過ごしでしたでしょうか?そんなハッピーな週に衝撃なニュースが流れましたね。元TOKIOの山口達也さんが、飲酒運転が原因での交通事故を起こしました。基準値の何倍ものアルコール値が出たらしく、テレビでは8倍にもおよんだと報道されていましたね。ビールでいえばビール瓶8本くらいにあたる量からも、かなりの飲酒をしたうえで運転していたことになります。
引退から金銭的にタクシーに乗れなくなったからなのか?と思うも、そんなのは言い訳になりません。いい生活から抜け出せない人は多くいます。しかし、それ以上に人様に迷惑をかけることは弁明の余地がありません。彼をどうにか救いたいと元メンバーは色々と動いていたと思います。その思いを全て台無しにしました。これで他の人は完全に見切りをつけたことでしょう。元メンバーのことを考えると怒りが収まりません。
TOKIOは置いておいて、TOKYOの隣の中山と中京で行われたレースを振り返りましょう。3日開催となった先週は日曜日に中京競馬場でローズSが行われ、リアアメリアが復活勝利を挙げました。2歳時から圧巻の走りをしていながら敗戦が続いていましたが、やっと本来の走りを見せてくれたレースとなりました。調教から川田君もポジションを取る競馬を教えてきていましたし、調子の良さからも狙い通りという感じだったと思います。
結果も着差以上に楽に勝てたと思いますが、デアリングタクトと比べると女王退治は難しいと思いましたね。やはり、以前にも書きましたが、全体的にレベルが低い年代な気がしてなりません。期待もしていましたが、目を見張る成長をした馬を今回からは見つけることはできませんでした。しかし、競馬は1頭で走るレースではありませんし、まだまだ本番では何が起こるか分かりませんけどね。
月曜日には中山でセントライト記念が行われ、バビットが重賞連勝を達成しました。鞍上には前回の勝利から内田君が選ばれ、見事その采配に応えた騎乗だったと思います。スタートから安定のハナを奪いに行くと、福島で見せたレースよりも少しゆったりとしたペースで流していきました。前回のレースからも早いまま押し切る馬と思っていたのですが、ゆったりしたペースから内田君はよーいドンにならないように少しずつ流していくピッチを刻んだことで、後ろに脚を使わせながらのレースを作りあげました。これに馬も応えたことは非常に大きな意味がある勝利になりました。
4コーナーでは勝ちパターンのサトノフラッグが一気に強襲をかけるも、それをさらに引き離しての勝利だったのですからね。バビットに関しては3000mという距離からも菊花賞でチャンスがないとは言い切れません。今回のレースでは豊富なスタミナを見せており、並ばれた時の勝負根性が素晴らしい馬ですからね。しかし、コントレイルのように別次元の走りで、一瞬で交わされると難しいですし、こちらも王者を倒すためには展開といくつかのラッキーが鍵になると思います。
さて、今週はその王者コントレイルが神戸新聞杯に出走してきます。春に比べて背が伸び、トモがパンとしてきた印象を写真からは見受けましたが、果たしてどんなレースをしてくれるのか非常に楽しみな一戦です。今年は中京で行われますが、コントレイルにとっては広いコースになることも歓迎だと思います。勝てるかどうかではなく、どう勝って本番に繋げるかの一戦ではないでしょうか。しかし、体の成長を見ていると、将来的にはマイル~2000mくらいがベストになる馬だとは思いますけどね。
そこにちょっと待ったをかけたいのが発熱の影響からセントライト記念から神戸新聞杯に切り替えたヴェルトライゼンデになるでしょうね。その他にも前頭組としてファルコニアやビターエンダーにレクセランス、マンオブスピリットと虎視眈々と王者退治を狙う馬たちが準備してきます。トライアルだけに、完全の状態で出てくることはないであろう無敗のコントレイルに土をつけるとすれば今回が最大のチャンスになります。トライアルでたくさんの収穫を得て、結果を残す馬はどの馬か。バビットのようにビビッと感じる勝ち馬を探してください!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。