元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
金子フィーバー
2022/1/19(水)
皆様、こんにちは!寒さが本格化して雪も降ったりと厳しい中、コロナ感染者数が増大しています。滋賀でも1日の最高感染者数が更新されるなど、油断ができない状態になっています。ただ滋賀の田舎ではウーバーイーツという出前もできないだけに、最低限の買い物は行っていますけどね。そして、大相撲が非常に面白くなっています。特に御嶽海関が好調で、さらに阿炎関と楽しみがでてきたのは嬉しい限り。競馬界でも新星がでてきたのか、それでは競馬の話をしましょう。
まずは何といっても土曜日に行われた愛知杯ですね。馬場の傾向などからも軽量の内枠馬に注目してくださいと言っていたのですが、まさにその通りになったレース。1枠1番で52キロの斤量だったルビーカサブランカが豊ちゃんの巧みな技で勝利。道中は中団のポジションを取り、4コーナー手前では一度外へ出すかと様子を見ていた豊ちゃんでしたが、勝ち切るには内だと名手の勘があったのでしょうか。外への進路をやめ、内へと進路を取りました。これが大正解、見事に抜け出しました。
これでデビューから36年連続の重賞勝利となり、まさに偉業を成し遂げました。経験が生み出しているとはいえ、この歳でも52キロにあっさりと乗れ、技術と経験でまだまだ戦えることを見せてくれたレースになりました。それと同時にいつかは訪れる武豊の引退がふと頭によぎり、その時がきたら心にぽっかりと穴が開いてしまうなと改めて存在の大きさに気づかされたレースとなりました。
日曜日に行われた日経新春杯では前日に続き、金子オーナーのヨーホーレイクが勝利しました。この血統といえば、いい馬を出してデビュー戦で圧巻の走りをするも扱いが難しく、ゆくゆくダメになってしまうというイメージがあったのですが、友道厩舎とオーナーが決断したダービーからの長期休養。これがまさに吉に出たと思います。川田君も流石はトップ騎手。久しぶりでも動けることを返し馬で感じると、成長した気性面を活かしながら素晴らしいレースをしました。沢山の強豪中距離馬が抜けた穴に新星の誕生となるかもしれません。
2着にはステラヴェローチェが入りました。出走自体に?がついており調教もバラバラでどうなるのかなと思っていましたが、相手を見てもこのスケジュールで走らせることを考えても勝ち切りたいレースだったはず。ましてや目一杯走らせての敗戦ということで多くある想定の中でも最悪の結果でした。これで春はどうなるのか非常に心配になっています。ここまで追い込んだ馬が放牧にいけば一気に緩むことも考えなければなりませんし、それとも在厩させるのかで大きな違いがでてきます。ここのポイントは是非、注目してみてください。
今週はアメリカJCCと東海Sが行われます。またまた金子フィーバーが起こり得るのか、それとも真打ルメールのエンジンがかかってくるのか非常に楽しみな週となります。しかし、先週までの騎乗を見ていると中山で一呼吸置きすぎているような気がします。競馬を覚えさせるためには最高の騎乗も、馬場の作りから勝ち切るのがなかなか難しくなっています。今週はどちらのルメールが出るかですが、AJCCではオーソクレースに騎乗予定。
ここで勝って一気にトップ集団へ入りたいところだと思いますが、金子軍団からはポタジェが出馬してきます。コースといい脚質といい、私はこちらに分があるのではないかと思っています。その他にこのコースなら勝ち切りたいアサマノイタズラやもう一皮剥けるかアンティシペイト、古豪キングオブコージなど難しいレースになりそうです。コロナには皆様も気をつけながら競馬を楽しみましょう!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。