
元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
父から継いだ天性の才能
2025/10/16(木)
皆様、こんにちは。先日行われたサッカー日本代表戦では、キリンチャレンジカップとはいえブラジルを倒すという感動的な勝利がありました。長い歴史の中で、日本代表が積み重ねてきた努力が次の世代へと引き継がれての勝利だったと言えるでしょう。
スタメンだけでなくベンチの長友選手を始めとするチーム全員が「勝つ」という強い気持ちを持ち続けたことも、勝因のひとつだと思います。本当に素晴らしい試合でした。競馬もまた積み重ねが非常に重要です。勝つことが難しい凱旋門賞も、いずれは日本馬が手にする日が来るはずです。

先週の東京競馬場では第1回アイルランドトロフィーが行われ、初代チャンピオンに輝いたのはラヴァンダと岩田望来君のコンビでした。スタートから馬のリズムを大切に運びながら、どんな競馬でもこなし鋭い末脚を持つラヴァンダの能力を最大限に引き出しました。
ボンドガールの位置を確認しつつもペースに合わせた運び方をしており、ライバルよりも少し早めに踏み込んだ判断、自信を持って回ってきた4コーナーを見て、差し切ると確信したほど完璧な騎乗でした。フランス、イギリスと海外で経験し、自分自身の騎乗を見直し積み重ねた彼が、日本でも有数のトップ騎手に成長したことを証明するレースだったと思います。

今週からは新潟が加わり3場開催となり、京都では秋華賞が行われます。残念ながらアルマヴェローチェが故障のため出走叶いませんでしたが、やはり注目はオークス馬カムニャックになります。そこに桜花賞馬エンブロイダリーがどう対抗するのかも楽しみです。クラシックホース以外にもパラディレーヌやテレサ、セナスタイルなどがどんな走りを見せてくれるのか?牝馬三冠最後のレースを存分に楽しみましょう!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。